壁の時間

木目に触れた


てのひらほどの幅の板が組み合わさって作られた壁

焦茶色の板の木目

板によっては、小さな穴が開いていたりした


なぜだか妙に吸い寄せられて

その珈琲屋さんの

すみっこの席なのを良いことに

隙あらば触れていた

指先で

掌で

珈琲を待ちながら

プリンに舌鼓を打ちながら

名残惜しく水をのみながら


あれはなんだったのだろう


すべらかな時間の記憶


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スケッチブック 三波 雪 @melodyflag5

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