庭園
あの日は
色をたくさん見たけれど
私にとっては珍しく
音や香りのほうに気が向いた散策の時間だった
ひとつめの庭園を思い返すと、2つの花。
しなやかで艶やかな薄紫色の香り
リラ
高く抜けた青空のもとでも
長く嗅ぐとむせ返りそうだった
その香りの後に、
鮮やかな黄色のモッコウバラに近づいてみたが
モッコウバラの香りは感じなかった
そしてふたつめの庭園へ
こちらの庭園は、とにかく緑。
鳥の声はたくさん、きこえたけれど
鳥の姿は一羽しか見かけなかった
その一羽もすぐに飛んでいった
さらさら、さわさわ、
ざわざわ、
からちりから、
久しぶりに樹の葉の音を
「葉の音だけ」を
きいた気がした
帰りに、また、ひとつめの庭園に寄ってみた
最初の反省を活かして
リラより先に
モッコウバラの元へ向かった
ささやかな香りがした
ほろ苦いカラメルのような香り
感じられたことに満足して
再度
リラの樹に向かって
香りに心地よく酔って
家路についた
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