3-9
目を覚まし、時計を見る。
もう二時間も時計の針が進んでいた。
重いと思ったら、姉貴が俺の膝に頭を乗せていた。子供みたいにすーすー寝息を立てている。
酒を飲んでいたからこのまま朝まで起きないかもしれない。
俺は近くに置いてあったタオルケットを姉貴にかけてやった。
身代わりの術で膝の代わりにクッションもしいてやると、姉貴はう~んと声を出した。
起きるかと思ったが、またすぐに寝息を立て出した。良い夢でも見ているのか寝ながらふふっと笑っている。
それを見て俺は一つ伸びをした。
するとズボンのポケット入れたままになっていたスマホがピロンと鳴った。
美鈴かな。
そう思って、スマホを取り出して画面を見ると、そこには神村の名前があった。
少し嫌な予感がした。俺が画面をタップすると、その予感が的中する。
送られてきたメッセージにはたった一言、
・うそつき
と書かれていた。
僅か四文字だった。
けどその四文字はあまりにも雄弁だった。少なくとも俺に頭を掻かせて、溜息をつかせるくらいは多弁だった。
頭を悩ます俺のすぐそばで、姉貴は赤ん坊みたいに指を口に当てていた。
人の気も知らずにのんきなもんだ。
俺は額に手を当てた。
寝起きってのもあるだろうが、この先一体どうなるのか。俺には全く想像が出来ない。
ただろくなことは起こらないだろうというのは分かった。
とりあえず姉貴を部屋まで連れてくか。こんなところで寝てたら風邪をひく。
俺は気合いを入れて姉貴を抱き上げた。
いわゆるお姫様抱っこ。こんなに重いお姫様がいてたまるか。
「・・・・・・重い」
俺がそう言うと、姉貴はむにゃむにゃと寝言を言った。
「あはは~・・・・・・涼ちゃん、大きくなってるぅ~・・・・・・」
「なってねえよ。ったく、どんな夢見てんだ? このバカ姉」
俺はうんざりしながら、この重いエロゲ声優を二階の部屋まで連れて行った。
これからのことを考えると頭痛がしてきた。
どいつもこいつも、自分の夢で俺を振り回しやがる。
いつかは逆の立場に立ってみたいもんだ。
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