第87話 歌舞音曲

 やあ、おいらです。


 なんか、前回さあ「次回はそのうちに。時期未定」みたいなもったいぶった物言いをしていながら、舌の根も乾かぬうちに、のこのこやってきてしまいました。マイノリティーな存在でいらっしゃいます、割合とリアルタイムでこの駄文を読んで下すっている方は、もしかしたら「やっぱりね。ぺこりってせっかちさんだね」とか思って呆れているかもしれませんね。「まあ、そこがあいつの可愛いところよ」というところまで達観していただければ、おいらとしても「してやったり!」あっ、違います。嬉しいところなんですけど。どうも、カクヨムの衆は我慢が足りませんな。すぐに逃げちゃう。フィリピンから来た特別実習生さんかい? うーん、これは問題発言ですね。訂正します。ごめんなさい。おいら素直だ。韓国国防省のバカどもに見習わせたいよ。まあ、この話はいずれ、別稿で。おいら、池上彰の生まれ変わりですから……池上さん、まだ生きてるって? 知ってるよ。正月にテレ東で観たもん。途中までだけど。そのあと観た『有吉の壁SP』が予想以上に面白くてさあ。ああ、これも近いうちに別稿でね。


 さて、本題に入りたいんですが、ちょっとトラブルが起きちゃいましてね。ある筋から、「本を一冊、読んで欲しい。できれば軽く感想も頂きたい」という依頼が……いえ、正直に申し上げます、そういった脅迫というか圧力がかかったわけです。そういうのおいら嫌いなんですよねえ。普通なら意地を通して、お断り、シャットダウンするんですけど、そうもいかない。おわかりでしょう? わかんなかったらこの駄文読んでいない人です。そう、依頼者というか、脅迫の罪に問いたい、パワハラ野郎は元妻です。

 白状してしまうと、というか自分でも最近、はっきりと気がついたんですが、おいらって、コレクター気質を持っているんです。ただ、元が貧乏人の子供だから、我慢も知っているんですよ。だからずっと、これといった収集癖は表に出さずにひたすらマネーを集めていたわけです。家族間でのおいらのあだ名は“守銭奴”でしたから。古くは高崎のだるま弁当の外枠。だるまさんですよ。あれって貯金箱になりますから、小銭をちびちび入れてったわけです。それがいっぱいになりましてね。開けて、実父と実母に数えてもらったら結構な金額に、なったわけです。ただねえ、口惜しいのがそのお金、どこに行ったかわからないんですよ。あとねえ、毎年裕福な親戚の皆様方、ここで説明をインサートいたしますってえと、父方の本家ご兄弟にしろ、母方の本家ご兄弟にしろ、どいつもこいつも、いえ、どなた様もお金持ち、土地持ち。裕福なんですよ。なぜか、おいらのお家だけ、極貧な訳。なんで? 実父なんて何かというとすぐ下の弟さんにお金を借りていました。だって先様はどっかの金融系の大会社の幹部、重役を歴任し、最後は系列会社の社長さんまでやられたお方。そのお子様方も眉目秀麗。若干はね、血族ですからおいらに顔が似てるかなとも感じるんですけど、こっちはキチガイの上に保護受給者。そして未決の死刑囚ですから比べることもはばかられる。他の、おいらのいとこ衆も若干キチガイっぽいのもいますが、ほとんどはきちんと勤労、納税の義務を果たし、日本国に貢献していらっしゃる。日本は平等な国って言いますけれど、格差はあるんですよ。

 いや、毎度のことながら口が滑りました。おいら、落語家か、講談師にでもなればよかった……無理です。大勢の前では身体中が震えて、喋りません。『人間南海トラフ』です。でね、大人になってからの趣味が「五十円玉を集めること」だったんです。お家の形をした貯金箱にコツコツ五十円玉を入れていくわけです。その時の野望が「世界征服」と「日本から五十円玉の姿をなくしたい」すなわち、五十円玉を独占したいということです。二十代のこととはいえ、大人の考えることではないですよね。最終的にはね、七万円分の五十円玉を百枚ごと、麻ひもを穴に通して古銭みたいにしていました。寛永通宝じゃねえよ。その後も、続けていたんですけどね、結婚して、夢のマンション生活になったときに、元妻に全部、取り上げられて銀行でお札と交換されてしまいました。夢がないよね。現実を見せられたというわけです。まあ、元妻との結婚によっておいらは若干の化学変化を起こし、変な執着心ですか? そういうものが薄れました。でも、同時においらのストイックさみたいなものも消えてしまい。バカ書店の戸塚店において、バイトを味方につけるという得意技が使えなかったのであります。要するに、独身の時は、ちゃらんぽらんのようで、その実、仕事に対しては真摯っていうおいらの姿を見せて、バイトの信頼を勝ち取ってきたのに、戸塚では最初の雑誌担当の時は自身0からのスタートだったので(入社十年目で初めて、本格的に雑誌に触れたのです。なので、一般雑誌とムックの区別もつかないし、結構奥深い雑誌コードの秘密。一例をあげれば、月刊紙の雑誌コードの末尾は必ず奇数になっていて、それに1を足して偶数にしたのが増刊号。週刊誌の雑誌コードは2で始まり、末尾は表紙に書かれた発売週の数字であり、1〜5までが通常号のコード。6〜9が増刊号。でも週刊誌の増刊号は大部分がコンビニ限定であり、お客様からご注文を依頼されても、入荷しない確率が高い。まさに無駄知識。えっ? もっと教えろだって! たぶん幻聴だけどいっちゃうよ。レツゴー三匹。ムックとはまさにマガジンとブックのハーフであり、鬼っ子でもあって、アイテムが多いときにたくさんきちゃうと頭にきてしまうんですが、『ぺこりの雑誌格言』によりますと、「ムックを制するものは売り上げ目標を制する!」とありまして、噛み砕いていうと通常の雑誌だけ売っていたって、季節の変動や、付録の良し悪しで若干上下しますが、売り上げは伸びないし、売り場もマンネリ化してしまうのです。ところが、店ごとの特徴に合わせたムックを目利きして、それには日販速報などの業界誌をよく見て事前に情報を得ることが重要なんですけど、書店員って案外多忙で、勤務中はそんなことしていられないんですね。でも、おいらは近所でも大評判の(?)光速仕事術を身につけていたので、結構、茫々たる時間があったんですよ。かつて『笑点』で林家こん平師匠が地方収録に行くたび「わたくしの鞄にはまだ若干の余裕があります」ってワンパターンで叫んでいましたけれど、おいらのフリー時間はそれよりたっぷりあったのです。だから、手を替え品を替えてムックを拡販しましたわ。ちなみにムックには二つのコードがついていて6から始まる雑誌コードと書籍のISBNコード。いわば、大坂なおみ選手みたいに二重国籍を持っている。それは、NHKの語学テキストの別売りCDも一緒で、別名、教材コードと呼ばれる7から始まる雑誌コードとISBNコードがついているのです。ここからは業界人しか知らないディープ雑誌コード。8から始まる雑誌コードは日販などの取次を通さない直販雑誌についています。カープ人気で売上が伸びたと思われる『アスリートマガジン』はカープ、サンフレッチェとバレーボールのJTだったかな? を応援する雑誌なんですけど、直販か、地方小という、そういうちっちゃな地方出版の出版物を一元的に管理する会社があったんだけど……書いてるうちに不安になってきました。今もあるのかなあ? なんか、川上さんって方がほとんど一人で仕切っていたそうなんで……し、知らねーよ、おいらもう関係ないからね。さあ、最後、9から始まる雑誌コードはなんでしょう? 答えは、教えてあげないよ。ジャン。ポリンキー、ポリンキー……)

 ああ、かっこの中が長すぎ。おいらが信用を失ったのは雑誌から、文芸書に担当替えになったせいで、三上っていう、のちにバイトの残業時間を操作するという不正を働き、慌てて本部に召還されるようなちっちぇえ奴なんですけれど、全て、そいつの陰謀です。雑誌と文芸書って物量が全然違ってまして、ただでさえ、フリーの多かったおいらにはまさに役不足。もちろんやる気ないから自己研鑽も怠ってますからおいらも悪いんだけどさ。とにかくヒマ。それに優秀なおばさんバイトがいるからますますやることない。しょうがないから、商品管理課に置かれていた、壊れかけのパソコンの前に座って、当日の売り上げをリアルタイムで見るという暇つぶしをずーっとしていまして、ついには「ぺこりを探すなら、まず商品管理課のパソコンに行くべし」という格言が生まれちゃったんですよ。これで信用ガタ落ち。もうこの頃から鬱病だったのかもね。それで、最終的に長井という、定年間際で、おいら同様やる気のない店長に、おいらの社員としての終焉の地、北里大学売店に飛ばされたということです。明らかな左遷でして、みんなにかなり慰められたなあ。もちろん社員にだよ。バイトなんてほとんど総スカン。でもさあ、文庫にはいい娘がいたんだよね。異動が決まってから彼女に惚れていることに気がついたんだけど、ちょっと遅かったねえ。それにおいらには愛する、その当時はね。今はお互い愛はないのさ。あるのは情だけ。とにかく元妻と猫二匹がいたから。残念なことにおいらの辞書に浮気という言葉はないわけ。よく見ると“そのチャンスはない”って書かれていてさあ。口、あんぐりでした。はい、ちゃんちゃん。


 あーあ、本題に入る気力がなくなりました。このくだりは東京オリンピックの予算のように予定より大幅に増えてしまったのです。全ては森元総理と、USBメモリを知らない不心得者、桜田五輪相が悪いのです。おいらは被害者です。確かに韓国側からレーダー照射されましたって! 嘘でねえ。


 まあ、出だしだけ……このタイトルに合わせていえば、スーパーイントロドン! だね。

 ケチで有名、ケチ山ケチ蔵だったおいらがミュージックキチガイになるのは、離婚と躁うつ病が大いに関係があります。話違うけれど、キチガイって入力するとなんで基地外って自動変換されるのよ。Appleさん説明しろよ! おいら2ちゃんねるなんかに書き込みしていないよ。バカにするなよな。こう見えても、大人の分別あるよ。はあ? 分別ゴミだと! 辞書よく読め。電子辞書買え! あんなの買うの、お年寄りとバカだけだぞ。正月早々、CM連発するなよ。そんな宣伝費、ACに寄付しなさいってば。


 はい、ちょうど時間となりました。というかおいらの精神力がギブアップといってタップしています。申し訳ございません。次には終わらせますから。ええ、大した話じゃございません。クスッと笑っていただければ、おいら満足でございます。では、新時代の古今亭志ん生ことぺこりでした。(深く一礼。緞帳下がる)

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