第62話 黄昏ノ刻
ヒロシです……違ったわ。やあ、おいらです。
秋の日は釣瓶落とし。空から鶴瓶が落ちてきました。こちら海の見えない横浜では室温三十三度に達し、ただでさえ、ないやる気をますます削ぎ落とします。区役所に出さなくてはいけない書類もあるのに。それも住所氏名と収入のところに0って書いて、理由、精神病のためって記入するだけのことなのに、できません。締め切り近いぞ。焦るなあ。でも、体は動かない。
ああ、根本陸夫の話でしたね。ここまで『根本陸夫伝』と、記憶に残っている事柄を織り交ぜて書いてきましたけど、正直、面白いですか? たぶん、つまんないでしょう。PV、激減しているもの。だから、なんとか今回で終わらせましょう。自信ないけど。
太平洋クラブ〜クラウンライターという流れの中で、ライオンズは非常に苦しい財政状態に苦しみました。だって、個人の持ち物なんだもの。オーナーがアラブの石油王ならともかく、政界に通じているだけでは金は入ってきません。なので、中村オーナーはウルトラCを出してきます。西武グループの総帥、堤義明に球団売却を持ちかけたのです。実は堤は球団を持つことに以前から興味を持っていました。横浜スタジアムの建設に資金提供したり、ホエールズの株式を所有したりしていたのです。だから世間では堤がホエールズを買収すると思われていました。そこに飛び込んだウサギ、いやライオン。堤は新設するプリンスホテル野球部の本拠地にするつもりで所沢に建設した球場にライオンズを移転させるなら、球団を買収すると言い、中村は承諾します。これは中村に冷たく当たった、九州政財界への面当てであり、買収が発表されると博多っ子は猛烈な反対運動をしました。選手たちも行くべきかどうか侃々諤々の議論をしたそうです。でも、主砲の土井正博が「どこでやっても野球は同じ。俺は行く」と言ってチームをまとめたそうです。かっこいいですねえ。根本は引き続いて監督をやることになりました。で、堤と会談します。堤はウィンタースポーツが好きで、アイスホッケーの日本リーグに西武鉄道と国土計画という二チームを持っていました。同一リーグに二チーム持っているっておかしいですよね。それはともかく、堤は「自分は野球のことはわからない。根本に全て任せる」とし、根本を編成部長兼監督としました。これまで貧乏で、思い通りの編成ができなかった根本ですが、西武はお金持ちです。その潤沢な資金を使い、自分の持つ人脈を駆使してチーム強化をはかれるのです。その大きな例としてタイガースの田淵獲得があります。当初、田淵は西武に行くことを強く拒否したそうですが、大先輩の村山実に説得されて渋々トレードに応じます。ライオンズにきてしばらくは甲子園の方に向かって泣いていたそうです。元々は東京の人なのにおかしいね。でも、これで田淵の人生は大きく変わるのです。田淵を獲得する一方で、ライオンズは真弓、若菜といった若手のホープを失います。それでも田淵を獲ったのは全国区のスターが欲しかったからです。つまり、ライオンズを全国区のチーム、ジャイアンツに匹敵するチームを作りたかったのです。他にも南海、ロッテを追い出された野村克也や、二塁手の要にロッテの山崎裕之を獲得しています。そして、この年のメインは巨人入り確実と見られていた松沼兄弟をドラフト外で二人揃って入団させたことです。根本の本領が発揮されます。ドラフト一位は森繁和です。
編成に手腕を発揮した根本ですが、監督としては結構ドジでとんちんかんなことをしていたようです。しかし、これもわざとだったのではないかと勘ぐってしまいます。
さて、一年目は散々だった西武ライオンズですが、二年目にはちょっと兆しが見えてきます。すると、根本は監督の座を、スワローズを初の日本一に押し上げ、翌年は途中休養になってしまう広岡達朗に譲ってしまいます。「来年は期待が持てそうなのに、なんで監督を辞めるんですか?」と聞かれた根本は「広岡の方が俺よりチームを優勝させられる可能性があるから」と答えたそうです。でもカープ時代、この二人は喧嘩しているんですよね。不思議です。
広岡は徹底した選手管理で、就任一年目であっさり日本一になってしまいます。その一方で根本はスカウティングに専念し、石毛宏典、工藤公康といったライオンズ黄金期の中核になる選手を獲得していきます。球場にもしばしば顔を出し、目をつけた選手に熱心な指導をしたそうです。また引退した選手の面倒もよく見てコーチやスカウトに起用します。その時必ず「群れるな。他人と違う視線で野球を見ろ」と教えたそうです。
ああ、ダメだ。疲れた。最後のダイエー時代が書けません。あと一回、あと一回おいらにください。
ホント、つまらなくて申し訳ありません。では。
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