第60話 野球小僧
やあ、おいらです。
男心の未練でしょうか……
最近、やたらと六年前に辞めた……というよりクビになったバカ書店が夢に出てきます。と言っても、過去の苦い思いのリフレインではなく、現実には無い店舗、それも新規店舗だったり、実在に存在する店名でも、レイアウトは全く違うものが登場します。働いている人も知らない顔ばかり。どのジャンルがどの位置にあるとか、レジの扱い方もわからないおいらが、カウンターにぽつねんといます。でも、不安なんて一切ない。だってこれが夢だってことをおいらは承知しているから。
しばらくすると、見知った顔が現れます。たまプラーザのお店で、おいらに本の売り方を少しだけ教えてくれた。鬼瓦、もしくはシーサー顔の店長と、おいらが外商のカキザワとオガワの嫌がらせに疲れてしまって、社員を辞めた時に救いの手を差し伸べてくれた、ラーメン大好き小池さんにそっくりな先輩です。なんか、二人ともニコニコしています。なんかいい気分です。現実には鬼瓦さんは早期定年に応募して自分で起業しようとして失敗。芳文堂だったかな? に再就職して、今度はきちんと定年して、なんかベストセラー塾とかいうのを開いていたけど、二年以上、ブログやFacebookの更新がない。突き詰めて調べると、コレド室町だかなんかの書店にいるんだか、いないんだか。詳細不明で、一方の小池さんはバカ書店の金正恩、ケンタロウお坊ちゃんに疎まれて、冷や飯を食わされているらしい。世知辛い世の中だな。
男心の未練でしょうか……
中学に入学した時、部活動というものがあるということを初めて知った。おいら虚弱だから、文化系におとなしく入っとけば良かったんですけど、美術部とか漫画研究部とかね。でも、友達がみんな体育会系に入ると言う。ならば、おいらは野球部に入ろうかなと思ったんですけど、みんなが「野球部は坊主にされるぞ」「野球部は毎日、グラウンド十周らしい」とネガティブで恐ろしいことを言う。今なら、坊主頭だってなんともないけれど、思春期のチェリーボーイには羞恥心満載。で、みんながサッカー部に入る、と宣言するので、追従してしまいました。結果、坊主頭にされ、毎日グラウンド十周させられました。なのにちっとも上達しない。一年間だけ我慢しましたが、二年からはバックれました。もし、あの時野球部に入っていたらどうなったのでしょうか? おいら、左利きだから重宝されたかもしれません。まあ、要するに、幼少の頃から道を踏み外していたと言うことです。
あの、大変申し訳ございません。実はここからが本題なんです。たぶん、長くなると思います。お時間のない方はこの辺で、お休みしてください。万が一、続きをお読みくださる方にも申し上げます。これから書く駄文は、ちーとも面白くありませんよ。おいらの自己満足です。お覚悟とご辛抱を。
『日本沈没』に脳と精神力と忍耐力を使い果たしたおいらは、小説を読む気力が衰えてしまいました。でも、なんか読みたい気はします。リハビリです。そこで、ノンフィクションでも読もうと思いました。そうしたら、いい具合に集英社文庫から御誂え向きの本が出ていました。
髙橋安幸『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』
根本陸夫と聞いてもほとんどのお客様はわからないでしょう。この駄文のお客様の年代がいくつなのかは知りませんが若い方は絶対知らないだろうな。ちょっとミドルな方には「西武ライオンズ初代監督」といえばわかるかな? 広岡監督は知っていても根本陸夫は知らないかな? 広岡は根本の次の監督です。
おいらは昔から根本陸夫に興味がありました。選手としての根本は法政大であの、関根潤三とバッテリーを組む一方、渋谷の闇市の顔役としてのしていて、安藤組の安藤昇とも親しかったそうです。そう言うとおっかないイメージが浮かびますが、面倒見のとても良い人だったそうです。反対に温厚そうな関根は鬼のようだったんですって。
根本と関根は近鉄パールズに入団します。パールですよ。真珠。勝つ気あるのかよってニックネームですよね。その後、巨人の千葉茂が近鉄の監督になった時に彼のあだ名の猛牛から、バファロー、やがて今も続くバファローズになります。
根本のプロ選手としての寿命は四年で終わり、マネージャーや二軍コーチを経て退団。野球界から身を引いて鉄鋼関係の会社の顧問をしながら野球解説者となります。そこで、当時、セ・リーグのお荷物と呼ばれていたカープにコーチとして招聘され、のちに監督になり、カープ初のAクラス、三位に導きます。でもこれが根本が監督として果たした唯一のAクラスになります。
なんか長くなっちゃったなあ。今日はここでやめます。不評だったら続きは書きません。なんかすまんと言う気持ちです。では。
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