第55話 五里霧中

 やあ、おいらです。


 小さな不快感が積もり積もっていつの間にか凶器になっておいらの精神をボロボロにしてしまいました。正直、動くのも億劫です。夏はわりと調子よく過ごせたのになあ。秋の始まりに身体がまず反応し、ついで精神の方もちょっとダメ。ゴミ捨ての時間には起きられるけれど、そのあと、夕方まで寝てしまいます。時々起きて、パソコン見たり、本読んだりするけど、すぐ眠たくなってしまう。

 Yahoo!ニュースを見ていたら、光浦靖子さんが「読書は逃避」って言っていたけれど、至極名言。至極同意。

 おいらが「趣味は読書」と言うと、多くの人が「頭良いからね」といって来ました。でもね、おいらは勉強のための読書なんか大嫌いだよ。学習テキストはあくまで勉強のツールであり、たとえ、ISBNコードが付いていたって、あいつらは本じゃない。大学の時のテキストなんてさ、おいら経済学部だったから、みんな横書き。長時間の精読なんてとても無理。一ページ読むのに途方もない時間がかかった。それに、頭に入ってこない。よく卒業できたもんだ。だいたい、おいら経済に興味ないし、本当は文学部に入りたかったのにさ、実父に「文学部出て、どんな仕事につけるんだ!」とどやしつけられて、泣く泣く経済の道を選んだのです。あの時、もう少し強い自分がいればよかった。でも、心身ともに惰弱なおいらは実父に逆らえなかった。自分でバイトして学費を稼ぐなどということは考えもしませんでした。もうその頃から腐り果てたヒトだったんですよ。情けないなあ。


 今、おいらが読書に耽溺しているのは、まさしく逃避です。この生活がいつまでも続くとは思えない。必ず落とし穴がある。鬼が出てくる。


 はあ。気分を変えましょうか? この前、内科の病院に行こうと思いましてね。二十日ぶりに髭を剃ったんです。大洋時代のシピンみたいなもんですから、そり終わるのに、三十分かかりました。

 その内科は木曜日しかやっていないので、患者ですぐ満杯になっちゃうんです。だから、少し早く行こうと思って、準備していたわけです。ところが、予期せぬことが起きてしまいました。(ここから、尾篭な話になりますので、苦手な方はスルーをお願いいたします)

 ええと、おいら便秘なんです。たぶん精神安定剤の副作用です。四、五日は平気で出ません。一週間出ない時もあります。出るときは一気にバーンと出るのですが、なぜか一回で終わらず、何回も何回もだらだら続きます。ところで、前にも申し上げましたが、おいらは痔持ちです。いぼ痔で切れ痔です。だからなんどももよおすと、お尻が痛くなります。激痛です。ここは監獄ですからシャワートイレなんかありません。そして、今回のヤツは粘り強くて、拭いても拭いても取れません。肛門が雄叫びをあげました。「もう勘弁してください」と。仕方がないので、看守に事情を打ち明けて、特別に、シャワーを使わせてもらって洗浄しました。

 もちろん、予定した時間に病院へはいけませんでした。しかし、なんということでしょう。待ち患者が三人しかいません。たぶん多くの患者さんがこの病院を見捨てたのでしょう。おいらは手続きが面倒なので潰れるまで、この病院を利用するつもりですが、一人の素晴らしい看護士さんを除いてロクなヤツがいないんだよな。ホント、良い病院ってないですね。それとも単に、おいらの病院運がないのでしょうかねえ?


 今日は読書日記はお休みします。さようなら。

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