第48話 支離滅裂

 やあ、おいらです。


 猛暑が蒸し返して来ましたね。なんか、太陽の角度が微妙に変化して来たみたいで、おいらの独居房に日差しがじゃんじゃん入って来て、まさに灼熱地獄。おいらは早々に逃げ出して、刑務所内図書館で本の背表紙を舐めるように見たり、刑務所内売店で、アイスクリームや、炭酸飲料を恨めしげに見て時間をやり過ごしました。

 昨日は精神病院の通院日でした。おいらはなんだかとっても病院に行きたくなくて、精神バランスを崩していました。まあ、そういうときだからこそ、行かなきゃならないんだけれども、なんかイヤ。でも、効かない睡眠薬をもらわないとますます眠れない。重い腰をあげて、夕方五時に独居房を出ました。幸い、通る道のほとんどが日陰で、暑さはそれほど感じませんでした。ギャッツビーのなんかアルコールの浸してあるシートで全身を拭いたのでスースーして気持ちいい。でも、アレルギーで痒くて掻き壊した部分はアルコールが染みちゃって大変。でも、暑いよりはマシ。だけど発汗をパーフェクトに抑えることは不可能でした。

 ふと、気がつけば百日紅が満開に咲いています。もう、そんな時期なんですね。おいらは赤味の強いやつより、ピンクの方が好き。遠くからヒグラシの鳴き声が聞こえます。猛暑だけど、秋は確実に近づいているんですね。ある日、ガラッと季節の様相が変わりそうで、ちょっと怖いです。


 病院には六時ちょうどに着いたのですが、行ったら、えらく待ち時間が少ない。いつも時間のかかるジイさん一家三人と、タクシーを毎回呼んで帰る、金持ちバアさんの診療がすでに終わっている。先生、時間前に来たみたいだ。


 先生に「調子はどうですか?」と聞かれたので「ちょっと落ち気味です。相変わらず、夜眠れません。その代わり昼間寝ていますけどね。ははは」と答えると「睡眠薬はいつ飲んでるの?」と質問されました。「寝る一時間前くらいです」と言うと「飲んだらすぐ寝てください。遅くとも二十分以内に。そうしないと効果が出ませんよ」とのたまう。おい、古賀先生! あんた六年間も付き合ってて、そんなこと今まで一度も言ったことなかったじゃないか! わしゃ、怒るよ。と叫びたかったが我慢して「そうですかあ、私、間違っていました。ははは」と言う。

 結局、処方された薬は前回と同じでした。鬱のことは無視されたのです。それでも、六時二十分に病院を出ました。新記録かなあ。やったね。とか思っていたら、突然、背中の左側の筋に激痛が。おいら動けなくなってしまいました。駐車場のフェンスやガードレールに掴まって、ストレッチをして、なんとかリカバリーしました。帰りはいつも使っている道をやめて、母の眠る、西方寺方面へ向かいました。いつもの道は信号のない危険な箇所が多いので、車が我が物顔で歩行者を無視して、ムカつくからです。ぼんやり歩いていると、寺と同じ道に神社がありました。神仏習合の名残でしょうか。神社の名は杉山神社。しっかし、杉山神社ってどこにでもあるなあ。来々軒より多いのは確実ですね。

 まあ、あとは独居房に帰ってフジテレビで『健康で文化的な最低限度の生活』を観て、身につまされ、本読んで、テレ朝のネオバラ『ソノサキ』を観て、入れ歯取って、寝るだけの体制を作って、さあ睡眠薬飲んでお布団に直行。でも、二十分経っても眠れねえぜ。ガッテム! と思ったのを最後に入眠しました。


 さて今読んでいる本は、恩田陸さんのとある作品なんですが、これがもう、プププ、やっちまったなあと言う感じでね。Amazonの評価を見ても酷評の嵐。しかもラストは恩田流らしい。逆に楽しみになって来ましたよ。


 今日はこれにて。

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