第43話 夏休目眩

 やあ、おいらです。


 これを書いていられるから大丈夫だと思うんですけど、今日の午後から急に頭がクラクラするんですよ。でも、すごーくひどい状態ではない。なんだろう? まずはこの時期ですから熱中症かなと思ったんですが、水は10リットルくらい飲んでるし、エアコンの効いた部屋でダラダラしているだけだから、可能性は低い。ミネラルが足りないかな? でも、ミートソースと豆腐を食べたしなあ。次に考えられるのは、低血糖。おいら若干血糖値が高くて、お薬を二種類飲んでいるんですが、時々、低血糖らしき症状が出る。そういうときは何か糖分を取らないといけないのですが、ミートソースは昼に食べてしまって、発作の起きたときには、豆腐しかなかったんです。クソー、蒟蒻畑を切らしていなければ。豆腐って炭水化物含まれているのかな? パッケージ、見ないで捨ててしまったよ。まあ、とりあえず食べる。しばらくしたら目眩は治りましたので「なんだ、低血糖か」とその場は考え、要心のために、横になりました。


 深夜になって、珍しく元妻が面会に訪れまして、外出許可までいただきましたので、緊急食糧調達に行きました。被災者のみなさん、食糧、物資、送れなくてごめんなさい。今は自分のことで精一杯なんです。万が一、何かのはずみで、おいらが億万長者になったら、日本赤十字社に寄付します。サザエさん募金にもドラえもん募金にも寄付します。だからおいらを億万長者にしてください。神様、仏様、キリスト様、アラー様。


 で、出かけることになったんですけどね、やっぱり、フラフラする。もしかして、脳に異常があるのかなあ? でも、それだったらすぐに症状が出て、昼のうちに孤独死しちゃっているような気がしますわ。よろめきは、最初だけで、しっかり歩けますし、会話も通じます。こりゃあ、脳疾患ではないな。ってことはもしかすると……あの病気の前兆ではないでしょうか、お客さん。そう、躁病です。あの時も、なんだか、体がフラフラして、杖ついてバイトに行ったことがあります。脳内物質が異常に放出され、もう、ヒッチャカメッチャカです。今の所、延々と独り言を言ったり、街をさまよったり、ご近所トラブルを起こしたり、金を浪費することはありませんので、たぶん、気のせいだとおもいますが、この駄文で、おいらがおかしな文章をつづり出したら「ああ、いっちゃったんだ。あっちの世界へ」と思ってくださいね。ああ、間違っても余計な心配は無用ですよ。こっちは日記がわりに書いているだけだから。それを読んでいただけて大変感謝しております。では、出棺!

 ウソウソ、冗談ですよ。

 今日は少し、暗い話題で申し訳ございません。照る日くもる日、人生はトラブルの連続。中坊公平氏はこう言いました。「トラブル ウェルカム!」おいらはそんなのやだけどね。今日決めました。明日のことは考えず、今だけに生きる。動物に退化したんだね。


 さて、誰も読まない『読書日記』なんですが、読書が進みません。小泉喜美子の『殺人はお好き?』っていうのを読んでいるんですが、文体がおいらに合わなくてスラスラ読めない。アメリカのハードボイルドを訳したような、それでいて江戸っ子風な言葉使い。正直、読み辛い。なんか解説によると、最初期に書かれた作品なんだそうです。そして、なんということでしょう。叙述トリックの金字塔『弁護側の証人』も初期の作品なんだそうです。知らなかったな。確かに、トリックにはびっくりしたけど、あれも読み辛かったなあ。たぶん、売っちゃったよ。おいらは祈る。全盛期の彼女の文体は読みやすくなっていることを。だって、四冊、小泉さんの本を買っちゃったんだもん。できれば楽しく読みたいよ。苦痛な読書はいらない。


 新コーナー。

『今日の物忘れ』

・打ち水 柄杓でさあ、水まいて、涼を取ることなんていったっけ? 元妻「知らん」二十分後、水打ちという言葉が思い浮かぶ。でも、なんか違う。すると元妻が「打ち水!」と叫んだ。自力で思い出せなかった。無念である。しかし、老いることとは悲しいことだ。かつては暗記王と呼ばれていたおいらが、コノザマだ。トホホ……

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