第42話 夏休隠遁
やあ、おいらです。
ちょっと色々ありましてね、こちらに参上できませんでした。ドモスミマセン。ワタシニホンジンです。
調子が出ないな。なんかねえ、猛暑とともに、鬱期がやってきたみたいなんですよ。もう、毎度のことですから「またかよ」と思う方もいらっしゃるでしょうが、これが躁鬱病の悲しさ。そういや、チャン・グンソクも躁鬱病なんですってね。これでおいらも韓流スターの仲間入り。と思ったら徴兵制度に引っかかってしまいました。二年間だそうです。
ま、ここはぺこりグッズ販売で儲けたあぶく銭でけりをつけて帰国しました。
そしたら、刑務所では大変なことが起こっていました。おいらの被害者団体の一部過激メンバーが、東南アジアあたりで
顔も体型もわからない。まあ、考えてみれば暗殺者としては当然ですよね。ゴル●さんみたいに世界中に顔が知れ渡っていたら、街を歩くたびに「ゴル●さん。大ファンです。サインお願いします」って言われたり「ゴルちゃん、インスタに載せるから写メとって」とオバサン連中に囲まれて仕事になりません。それでもしっかり、ターゲットを射止めているんだからさすがです。ゴル●さん。
さて、本筋に戻って、県警公安部長はおいらの命を守るため、万全の布陣を敷きました。まず、おいらを隣の角部屋の房に移しました。おいらを雪隠詰めにするつもりですな。思えばここは松本さんや林さんのいた房ですよ。毎日ワイパーでせっせと掃除していた、おいらの部屋とは違い、なんだかゴミみたいなものがいっぱい置いてあり、歩くのも大変です。異臭もします。噂では松本さんは毎日、垂れ流していたと言いますからね。オェッ、気持ち悪い。それに、パントリーには大量のカレールーが残っています。あの人、何人殺そうとしていたんだろう。
房の出入り口には武装した刑務員さんが二十名、詰めています。神奈川県警からも機動隊員が百名、応援に駆けつけているそうです。大げさだな。おいら、別に殺されてもいいのに。お国の金を無駄遣いすることないよ。
最初の三日間は何事もなく済みました。おいらは「仮の住まいだから」って、掃除もしないで、松本さん専用に作ったというジャンボベッドで、本を読んだり、昼寝したり、要するにいつも通り、ダラダラと暮らしていました。そうそう、ありがたいことにここのエアコンは電気代無料だって。猛暑初日の嬉しいプレゼントです。
そして四日目のことです。暗殺者は思いもしないところから侵入してきました。そう、おいらの脳の中に潜り込んできたのです。
−−ぺこりさん。あなたを殺しにきました。
こんにちは。待ってましたよ。手早くかたをつけましょう。
−−往生際が良くて結構。
はあ? 誰が簡単に殺されると言いました?
−−なんと?
おいらがなんで、特別な刑務所に隔離されているか、考えたことがありますか?
−−いや、別に。
それはねえ、人間界においておくと、どんな悪いことをするかわからないからなんですよ。例えばね……
そういうとおいらはおいらの脳内に棲みついた暗殺者に強力な電流をぶつけました。東京電力が一年間に生産する電力の千五百倍です。自分のお鉢が爆発するんじゃないかと心配になりました。
気づけば、暗殺者は消えており、なぜか県警公安部長が倒れていました。暗殺者は本部長経由でおいらの脳に侵入したのでしょうか? おいらはSF作家ではないので、どんな理屈もつけられません。本部長は救急車で運ばれて行きました。
危機は去ったのでしょうか? わかりませんが、おいらは真夏日の時だけ、タダでエアコンを使ってもいいというご褒美をもらいました。
暑さで、こんな駄作しかかけませんでした。みなさま、お見限りにならないでね。
今日の『読書日記』は若竹七海さん『御子柴くんと遠距離ダディ』です。この前、『東京……なんだっけ? (沈思十分)ああ、バンドワゴン』だ。を全巻読むって言ったけど飽きちゃったので、こちらに逃げました。相変わらず、コージーですな。意味わからんけど。会話やボケが面白い。東川篤哉に読ませたいよ。でも、いつも結末がぼんやりしちゃうんだな。でもいいの。八月には新刊も出るし『暗い越流』本やくらぶで注文しちゃったから、若竹祭りは続く。今は、小泉喜美子を読んでるんですけど、それが終わったら『ビブリア古書堂の事件手帖』全巻読む祭りを飽きるまで開く予定です。
では、暑さで亡くならないように。特に、農作業と部活が危険です。水飲んで寝ましょう。ぺこり。
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