第30話 恩田陸論

 やあ、おいらです。


 シリアルが食べたくなったんです。突然に。あー、フルグラみたいな高価なものじゃありませんよ。ただのコーンフロストです。

 子供の頃から、そういうことがありました。その時はケロッグのコーンフロストを買ってもらいました。トラのイラストのやつね。なんだか、いつの間にか商品名がコーンフロスティに変わったんですね。知らなかった。ちなみにあのトラの名前、知っていますか? フロスティ……安徳天皇、いや安直。

 当然おいらは貧乏ですので、コーンフロスティは買えません。以前はシスコーンという紙の箱入りのを買っていたんですが、急に店頭から消えてしまいました。しばらくしてプラスティック袋に入ったシスコーンがお目見えしたのですが、ボリューム感がなくて白けました。今はプライベートブランドのものを食べています。味はねえ、正直変わりません。

 シリアルって、ハマるとそればっかり食べちゃうんですが、ある日、ぱったりと飽きる。いつもそうです。米に代わる主食なし。

 そうそう、皆様は、ムーンライトってビスケット知っていますか? 森永から出ています。おいらはそれが大好きなんですが、ここでムーンライトをより美味しく食べる方法をご紹介します。まずは、コーンフロストに牛乳をたっぷりかけて食べます。当然牛乳が余ります。それを飲み干さないでください。余った牛乳の中にムーンライトを浸すんです。これがまあ、天にものぼる美味しい甘さ。癖になったら止まらない。

 ムーンライトは他にコーヒー、紅茶に浸しても美味しいです。下品な食べ方ですから、貴族の方はしないほうがいいでしょう。


 さて、ようやく本題です。ちゃんと書けるかとても心配です。『私の家ではなにも起こらない』という恩田陸さんの本を読みました。角川文庫です。前はMF文庫ダ・ヴィンチというところから出ていたそうです。薄い本です。

 なんの予備知識もなく読み始めたおいらは「しまった!」と叫びました。なんと本書、ホラーだったのです。おいら、ホラー苦手。だから、綾辻行人とか読まないの。書店のホラー文庫とか、実録怖い話なんて棚にはいきません。

 そういえば、恩田さんは初期にモダンホラーの旗手とか言われていたんだっけ。寒気がする。しかし、読まねば勿体無い。覚悟を決めて読みました。すると、そんなに怖くない。それに短編集なんだけれど、連作短編のように「あ、これ。さっきの話のことだ!」「つながっている。つながっている」とワクワクして、あっという間に読み終えました。おいら史上、恩田さんの最近の作品ではNo.1。

 恩田さんの本のストックはあと三冊あります。一気に恩田祭りといこうかと思いましたが、他のストックとの兼ね合いもありますので、今は、東直己さんの『猫は忘れない』を読んでいます。


 ここまでだとタイトル詐欺なので、持論を書きます。恩田陸さんを本当に楽しみたかったら次の本さえ読めばいい。『六番目の小夜子』『球形の季節』『三月は深き紅の淵を』『光の帝国 常野物語』以上です。理由は初期の恩田作品は兼業作家であったことが主因で執筆期間が長かった。なので推敲がたっぷりできた。だから、精度がものすごく高いと思うんです。専業作家になると締め切りに追われている感が散見されます。まあ、未読の方は『光の帝国 常野物語』を読んでください。たぶん、泣きます。


 ところでおいらは『蜂蜜と遠雷』を読んでいません。文庫化されたら読みますが、果たしておいらを唸らせてくれるか。それとも、コーンフロストみたいに飽きちゃうのかな?

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