第23話 青空通信

 やあ、おいらです。


 突然ですが昨日の話をしたいと思います。あっ、違った。もう日付が変わってしまっている。ですので、おとといの話をします。正直、今回は面白くありません。お忙しい方はスルーした方が良いです。いや、スルーしてください。時間泥棒にはなりたくありませんから。


 まあ始めます。おとといは、朝五時前に目が覚めました。目覚め自体はそんなに悪くなかったのですが、前日の夜に、早く寝るつもりが、いつもより三十分遅れの『マツコ有吉のかりそめ天国』を観てしまい、さらに読書なんかしてしまって、実質睡眠時間、三時間です。おいら、ナポレオンか? いやいやナポレオンズでしょう。頭がクルクル回ります。

 これが、冗談じゃなくて自律神経ですかね、目がクルクル回って、起きて早々ダウンです。とりあえずカーテンを引いて、窓を開けて外気を部屋に入れました。朝の清々しい風が気分を鎮めます。日の出の時刻は過ぎているようですが(面倒くさいので調べてません。すみません)まだ、読書をするには光が足りないなあという明るさです。気分が悪いのに読書する気かあ! と怒られそうですが、読んでいる本をとっとと読了して、次に進みたいと少々焦っておりました。理由はたぶん後述します。

 めまいは治まりましたが、なんとなく気分が乗らないというか、モチベーションが上がらないので、今日は一日、部屋にじっとしていようと思いました。早朝の暗さはとれ、部屋の縁側? というかコンクリートの小スペースに光が差し込んできました。今日(おとといですな)は快晴のようです。洗濯でもすればいいのでしょうが、男やもめの死刑囚はあんまり着替えをしないので洗濯物がありません。やがて、布団でウトウトしてしまい、気づけば昼を過ぎていました。空は真っ青で雲ひとつありません。強い日差しが感じられます。でも、この独居房には直射日光が入らないので、気持ちよく過ごすことができます。しかし、同じ空の青さでも、午前中と、午後では、その濃さが違う。スペクトルやなあと、頭ではわかっているのですが、自然の不思議を感じます。ようよう、活動を始めたおいらはネットニュースを閲覧し、カクヨムを開いて、自作の読まれなさを嘆くという俗物と化し、読書をするわけです。

 やがて空は一瞬白くなり、そしてオレンジに染まっていきます。

 実は、おいらは夜が怖いのです。それは、三月の体調不良の時に、睡眠薬を飲んでいるのにも関わらず、一時間しか眠れなかったからです。昼寝は余得ですが、夜の就寝はDNAに刻み込まれた本能です。それができないことに対する、恐怖と不安はとても耐えがたいことです。今だって、数時間しか眠れない。この先、死ぬまで睡眠薬を飲み続けなくてはならないのかと日々、悄然としています。

 この話はなんどもしていました。失礼いたしました。


 ところで、なんでおいらが死刑囚としてこの独居房にいるか、知りたいですか?

 それはですね。書店員時代、多くの書籍や雑誌を無慈悲に返品して、裁断という殺本を行ってきたからです。おいらはストックが大嫌いでした。できれば棚下のストックは空っぽがいい。どんどん返品しました。その中には作者が、命をかけ、丹精込めて書き上げた本や、編集者が知恵と汗を絞って作り上げた雑誌がありました。おいらは己の異常な性癖の為にそれらを地獄に落としたのです。生まれついてのシリアルキラーです。

 おいらは甘んじて、ギロチンでの公開処刑に臨もうとしましたが。なぜか、支援団体が立ち上げられて、再審の請求をしました。なので、おいらは処分保留の宙ぶらりんの位置にいるのです。


 信じました?


 さて最後に、読書日記を。今回は紅玉いづきさんの『現代詩人探偵』です。

 おいら、紅玉さんのこと全然知らなかったです。最近、おんなじ作家の本ばっかり読んでいるような気がして、Twitterの検索で「文庫」とか「書店」とか入れてみたんです。ああ、ちなみにおいら、Twitterやってません。他人のページから忍び込んでいます。

 それはさておき、「書店」のキーワードでツイートを見ていると『現代詩人探偵』をプッシュしているところが複数ありました。それに、おいらの大好きな創元推理文庫。触手が動きます。でも、現代詩人かあ。おいら、詩とか俳句とか大嫌いなんだよな。多分に哲学的要素とか、感性とかいう得体の知れないものが入ってくるからなあ。とりあえず、作者を検索しました。へえ、ライトノベルの人なんだ。十年のキャリアがあるんだ。ライトノベルから一般文芸に引っ越してきた人多いからな。勝負だ! と支援者に送ってもらいました。(お金は自分で払っていますよ。念のため)

 でもって、字数が増えちゃったから、結論だけ言うと「残念ながらこれはミステリーではない」というのがおいらの感想です。異論、反論大歓迎。おいらの私見は、まず、話が暗くて、重い。主人公が光を放っていない。二十五歳なんだから、もう少し、しっかりしろ! (言える立場か? おいらは)高校生が主役なら、成長小説として読めると思うんですが、もう、大人だからなあ。最後にちょっと成長したかなとも思うんですけどね。ミステリーの爽快さを求める人には向いてない感じ。そして、最後にこれだけは言いたいのが「句読点の位置がおかしくないか?」ということです。まあ、句読点にルールはないとも言われますが、なんかおかしい。プロの作家さんだし、編集者さん、校正さんの目を通っているんだから、素人のおいらが口出しすることではないかもしれないですが、違和感がぬぐいきれません。まあ、それはともかく、人生を突き詰めて考える人、哲学者なら面白いかも。続編は『現代哲学者探偵』で決まり!

 おいらには合わなかったけれど、最後まで読み通せたから、この小説に向いている人もいっぱいいるんじゃないかな。


 ああ、二千字超えちゃったあ。長過ぎてごめんなさい。ぺこり。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る