第38話 ごめんなさい


『今のブランコ動かしたのって、オリビア?』


『そうだよ!!風の能力で!!』


『え!!私を乗せながらできる?』


『できると思うよ!!』


『やって!!』


 きゃっきゃっ言いながら、二人は夜遅くまでブランコに夢中になり結局、チェイスとマーガレットにたくさん怒られた


 言うこと聞かない子供だったな。


 なんて、考えているとシェリルがオリビアの存在に気がつく。


「オリビア!!・・・どうしたの?その腕・・・。」


 シェリルの視線は、オリビアの腕に注がれた。


 後ろを振り返ると、少し遠くの場所でリアムとチェイスが優しく見守っていた。


「シェリル・・・私、争いを終わらせたくて・・・私が居なくなれば争いが終わるって思ってた。だから・・・」


「まさか、自分に呪いをかけたの?」


 困惑しているシェリルの顔が見ていられなくて、オリビアは顔を背けた。


「そんなことされて、私が喜ぶとでも思ってたの?」


「ごめん・・・なさい」


 オリビアの今にも消えてしまいそうな言葉に、シェリルの頬から涙が流れた。


「オリビアが居ない世界で私が笑っていられると思う?」


「いつか・・・笑ってくれれば・・・いいって思ったの。じゃないと、私のせいでシェリルが傷つけられてしまう・・・そんなの耐えられない・・・「私は!!!」


 涙を堪えているオリビアを遮って、シェリルが大声をあげる。


「そんな世界で生きたくない!!なんで親友が居ない世界で私だけのうのうと生きていかないといけないの?お願いだから・・・生きてよ。一緒に生きてよ・・・オリビアが居ない世界の方が私は、耐えられない」


 シェリルの言葉にオリビアは、堪えていた涙が溢れ出す。


「ごめんなさい・・・リル、本当に本当にごめんなさい」


 オリビアは、母親に叱られた子供のように涙を流した。釣られて、シェリルもポロポロと涙を流した。抱きしめてくれたシェリルの腕の中は、とても暖かかった。


「さて、僕たちも混ざりますか」


「いいの?結構、いい雰囲気のところよ?」


「いいんですよ。だって、オリビアは僕の恋人ですから。ここ大切ですよ、テストに出ますからね」


「はーい。先生」


 そのまま、四人は日が暮れるまで公園で遊んでいた。


「アレが、オリビア様!!なんて美しく凛々しんだ・・・」


「あのちんちくりんがシェリルね・・・」


「こらこら、自分のフィアンセになるかもしれない人をそう言ってたいけませんよ」


「・・・り。それより、今日は帰ろう・・・眠い」


「はいはい。そうしましょう・・・明日またお迎えにあがりましょう」

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争いの跡に ひな菊 @hinakiku

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