第35話 残酷すぎる計画


「戦争を終わらせる?・・・はっ?アンタ馬鹿なの?反対に争い起こそうとしてるじゃん」


 オリビアの言葉を理解ができないルイは、オリビアを貶すがレイはひらめく。どうやら、ルイよりレイの方が頭の回転が速いようだ。


「そうか・・・オリビアさん、アナタわざと・・・」


「はっ?どういうこと?僕にもわかるように説明してよ」


 置いてけぼりを食らっているルイが、一人騒いでいる中、立ち上がったギルバートがルイの頭をガシガシと撫でながら代わりに説明してやる。


「ルイ坊、神の国と魔の国争いが起きて決着のつけ方はわかるよな?」


「そんなの当たり前じゃん。片方の親玉をころ・・・え?」


 ルイの視線は、自然とオリビアに行く。


「はっ?まさか、アンタ死ぬ気なの?」


 ルイの考えが合っていたのかオリビアは、腕を組んだまま顔を逸らす。


「馬鹿なの?そんなことして、神の国と魔の国の争いのが終わるとでも思ってるの?そんなことされて、リルが喜ぶと思ってるのかよ!!馬鹿じゃないの?!」


「ルイ・・・コイツの気持ちも考えてやってくれ」


「はっ?!ギル先輩も何言ってるの。この女は、争いを終わらせるって言ってアンタがしてることは、なんの意味もないんだよ!!!この偽善者っ!」


「ルイっ!!」


「アンタはそれでいいのかよ・・・死んでもいいのかよ」


「これで争いが終わるなら・・・その跡にいつか、シェリルが笑ってくれるなら・・・」


「アンタ、いい加減にしなよ。馬鹿も休み休み言いなって。それで、本当にリルが・・・シェリルが本当に心から笑える日が来るとでも思ってんの?!!」


 ルイの正論に、ただオリビアは耐えるしかなかった。


「アンタが居なくなっても、争いを起こそうとする胸糞悪い奴なんてこれから何十人って出てくるよ・・・。それ考えたら、アンタのそれの御大層な計画もただのゴミだって言ってんのわからないっ!!!」


 最後まで言う前に、ギルバートがルイの頬を殴り飛ばした。


「いい加減にしろよ・・・さっきから、聞いてりゃあ・・・コイツの、オリビアの気持ちも考えろって言ってんだよ!!!」


 大柄のギルバートが、小柄のルイを力いっぱい殴り飛ばすと部屋の隅から隅まで吹っ飛んだ。


「だから、オリビアの気持ちも考えてやれって言ってるんだよ・・・次、口開いてみろよ・・・アバラ、砕くぞ・・・クソガキ」


「いった・・・」


 殴られた頬を摩りながら、立ち上がるルイ。


「こうでもしないと・・・国民も納得がいかないわ。私が、食い止める・・・絶対に」


「あの・・・オリビアさん。自分は、兄のように正義感強いわけじゃないので・・・止めません。でも、肯定もしません・・・好きにすればいい」


 それだけ言うと、レイは床で座り込んでいるルイを起こしてそのまま部屋を出ると、部屋の外にいたチェイスと出くわす。


「チェイス・・・」


「オリビアが死ぬ?・・・嘘だろ?」

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