第34話 オリビアの目的
その後、オリビアはルイとレイを自室へと呼び出した。
自室には、ベッドの上にギルバートが座って待っていた。
「おや?これから、殴られるのかな?」
殺気を剥き出しのギルバートと目が合うルイ。
「違うわよ。用があるのは、そこのなんでも見えてるレイにあるのよ」
「え?自分ですかぁ?」
オリビアは、窓辺に寄りかかり腕を組んでレイを見つめた。
「それともう一つ、アンタたちがシェリルを裏切るとは思えない。なにが狙いなの」
「なに?あの資料を見ても分かってもらえないの?悲しいね」
全然悲しそうな顔一つしないで、肩を竦めたルイ。
「さっきから、黙ってるけど・・・レイ、私はアンタの意見が聞きたいの。私の心を透視したわね」
「レイ、話さなくていい」
「オリビアさん・・・あなたこそ、何を考えているんですか」
「レイ!!」
レイに話さないように、圧を掛けるルイだが、レイは止まらない。
「もちろん、自分には全て見えています。でも、あなたの意思まで自分には透視することができない。オリビアさん、自分の心に黒魔術を掛けましたね」
「黒魔術?」
『黒魔術』というのは、魔の国の住人しか掛けることができない恐ろしい魔術。基本は、相手を呪ったりと、敵に掛けるものだがオリビアは心に黒魔術を掛けたのだ。黒魔術を掛けるのは、何かを代償として捧げないといけないのだ。
「自分の知りたいことは、三つ。黒魔術に何を代償として自分自身に掛けたのか、なんの目的で掛けたのか、そしてあなたの目的です」
「それを知ってどうするつもり?」
「さぁ?それは、その目的次第で動きます」
オリビアは、なにかを諦めたかのようにレイの質問に順番に応え始める。
「まず、一つ目の質問の答えは、私の魔力よ。私の魔力、風の力を操る能力。それを代償として自分自身に黒魔術を掛けたわ。そのおかげで、アンタは勿論、人の記憶を操ることができるエリアにも私の考えが読めないようだった・・・けど、掛けるのが少し遅かったようね。レイ、いつから私の計画に気が付いてた?」
「最初から」
「ちょっと待って!!話が読めないんだけど?!」
淡々と話を続ける二人に、ルイのストップが入った。
「兄さん、鈍いですね」
「は?意味わかんない。ちゃんと、教えてくれる?」
「そうね・・・。話さないとだめね。でも、シェリルに言ってみなさい・・・その時は、アンタたちの命が無いと思いなさい」
「神の国を裏切ってる僕たちに、それ言う?本当に、疑い深いな・・・姫様は」
「私の目的は・・・戦争を終わらせることっ!!!」
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