第29話 暗殺会議

一週間前。


魔の国 レインアールド。


「シェリル暗殺計画?」


 議題に挙げられたのは神の国アインドロールのシェリル暗殺計画についてだ。


「はい」


「ほう、なぜ?」


 あくまで、冷静なオリビアだが隣にいるチェイスには分かった、かなり怒っていた。


「戦争はもう終わったのよ。それを、まだ引きずっている方がこの国の恥です」


 国のトップである次期女王が普通この議題は、終了だろう。しかし、この議題は終わらなかった。


「しかし、オリビア様!これでは、この国の示しがつきません!そもそも、オリビア様!!最近、神の国の教師と仲が宜しいようで・・・」


 会議を終わらせてすぐにでも、リアムに会おうとしていたことを見透かされたように思い一瞬ドキっとした。


「あのリアムこそ、我らが同胞を殺した張本人ですぞ!!」


「そうだ、神の国に再び恐怖と魔の国の恐ろしさを刻み込みましょうぞ!!!」


 その声に『そうだ!そうだ!!』と、声を揃えて騒ぎ出す。


 ーー ダンッ!!!!


 会議用の長いテーブルを足蹴りして、その場を沈めさせるオリビア。


「何回も言わせんじゃないわよ。戦争は終わったの!!!それをいじいじと・・・しつこい!!!」


「しかしっ!!オリビアさっぐあ!!」


 再び、同じ議題を出そうとした老人をチェイスが首を締め上げる。


「オリビア様の話を聞いてなかったのか、じじぃ・・・しつけーんだよ。コイツの気持ちも考えろよな」


「なにを言う!!このキメラごときがっ!!!」


「あん?」


「お前なんか、オリビア様が拾わなかったら野垂れ死にしてたくせに!!生意気な!!」


 再び『そうだ!!!そうだ!!』と、騒ぎ始める者たちにオリビアの拳銃が鳴り響く。弾丸は、しっかりと会議室の扉を直撃。部屋は、先ほどの騒がしさと対照的に静まり返った。


「黙らないと次は、お前らのこめかみを打ち込むから。わかったら、その口閉じな」


 殺気が圧となり、それぞれの体にズンッと重たくなる。


「チェイス・・・その手、放しな」


「はい」


 ガタガタと、震えている老人の手を素直に放した。


「他に議題がないのなら、以上となります。なにか、他にありますか?」


 オリビアの隣で、指をボキボキと鳴らして『これ以上、なにも言うなアピール』をするチェイス。


「では、会議を終了する」


 そのまま、オリビアはチェイスと会議室をあとにする。


 そのあとを、会議に出席していてほぼ暇をしていたエリアが追っていく。


「オリビアちゃん!あ、さま・・・」


「なんだ、エリア」


「いえ、オリビアさまのことが心配になりまして・・・」


「私なら、平気だ。気にすることはない、チェイスお前もここに居ろ」


「でも・・・」


「すまない。一人になりたい」


 その場を去るオリビア。


「あれは・・・かなり追い詰めてるわね・・・」


「それも、そうだろう・・・親友の命狙ってるんだからな・・・オレたちの仲間が」


「少しの間、一人にさせてあげましょう」


「ああ・・・」

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