第25話 みえーるみえーる

神の国、アインドロール。


「よし、今日も決まってる」


 嬉しいそうに白髪のツインテールに隊服姿のこの青年。


「まぁた今日も、ツインテールですか?」


「レイ、入る時はノックしろ」


「ああ・・・」


 ――コンコン。


「今更、コンコンするな」


「そんなことより、もうパトロールの時間ですよ」


「今、行く」


 ブーツを履きながら、内心今日もシェリルに会えるのではないかと内心浮かれているルイ。


「今日も、リルちゃんに会えたら良いな~。なんて、考えてるんでしょ」


「透視をするな」


 ルイの弟のレイの能力は、透視能力だ。簡単にいえば、他人の思ったことなどが直接脳内に入っくる能力と、相手の服の下などを透視することが出来る。


「いや、透視能力を使わなくても兄さんの考えていることなんて分かります」


「僕の考えは、僕の為にあるんだよ」


「今日は、リルちゃん何色のパンツ履いてるんだろうなぁ~。って思ったでしょ・・・変態」


「おい、思ってない。お前が言うと、本当に聞こえるからやめてくれ」


 こうして、パトロールは始まる。


 クラウディアに向かうと、そこにはパトロール終わりのオリビア、シェリル、チェイス、リアムに遭遇した。


「あっ!!ルイくん!」


「リル」


 嬉しいそうに駆け寄ってくるシェリルと、手を繋いで来るチェイス。


「え?」


 あからさまに嫌そうな表情を浮かばせるルイ。本当にこの人は、嫌なことがアレばすぐに顔に出ると改めてレイは思う。


「仲がよろしいようで・・・」


 やっと出てきた言葉がコレしかなかった。


「この間は、ごめんなさい。引っ叩いてしまって・・・大丈夫?」


「ああ、大丈夫だよ」


「心のほうが痛かったから」


「え?」


 思わず、ルイの思いを言葉にしてしまったのはレイだ。


「レイっ!!お前っ」


「やだな~。自分は、助け舟出しただけですよ」


「助け舟になってない!!」


「この人って・・・確か」


「アレキサンドリア軍副リーダーのレイです」


 ルイの隣に立ち、軽く微笑みながらお辞儀をする。


「ああ!やっぱり!お話しでは、伺ってましたが実際お会いするのは初めてですね。私は・・・」


「シェリル=ルーテル。身長、145センチ。外を歩く時は、厚底靴を履いてるから150センチ。体重・・・「あぁぁぁあぁあぁぁぁぁあああ」


 まるで、全てを知っているかのように話を進めるレイに対して、シェリルが大声を出す。


「な、なんでっ!!?なんでそんなに知ってるんですか?!」


 ある意味怖いだろう、ここまで自分のコトを知られているのは恐怖だ。


「なにをそんなに騒いでるの?シェリル」


 シェリルの大声を聞いて、オリビアとリアムが駆けつけてきた。


「あ、オリビア=リング。魔の国の時期女王。身長160センチ。ヒールを履くと163センチ。体重・・・「ぎゃぁぁああああああああああああああ」


 やはり、女性は体重には敏感なようでこちらも大声を出す。


「なんなの・・・この子」


 ゼーハーゼーハーと、息を上がらせながら阻止するオリビアであった。その背中を擦るリアム。


「その人は?」


 一番冷静なリアムが、レイの方を向き尋ねる。すると、レイはいつもの真顔で両手を広げて首を傾げた。


「自分は、レイ=マキア。ルイの弟でアレキサンドリア副リーダーですぅ。趣味は、人間観察・・・能力は、透視。どうぞ、仲良くして下さい」


「「透視能力?!!」」


 思わず、声を揃えてしまうオリビアとシェリル。


「透視ってあの透視?」


「はい。アナタ方の考えていることから、今日履いている下着の色までなんでも当てます」


 レイの言葉にさっと、シェリルは下半身を、オリビアは上半身を隠す。


「無駄です。無駄です。自分の透視能力には勝てません。見えーる見えーる、なんでも見えるってね・・・。でも、そろそろ黙らないとチェイスさんには喉をガッ!・・・リアムさんには頭をドーンッてされそうですね」


「わかってるなら、黙ってて下さい」


「スミマセン、久しぶりにこんなに反応してくださって自分も嬉しくなってしまいましたよぉ」


「すみません。うちの副リーダーが・・・では・・・今日のところは失礼いたします。」


 頭を下げたルイとレイはそのままパトロールに戻る。


「レイ・・・」


「分かってますよ、兄さん。見えました~・・・シェリル様の残りの寿命・・・」

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