第24話 2人の決意
「ん?ああ、少しの間眠ってしまったようですね・・・」
リアムは、少しの間ベッドで眠りについていたようで起きた時にはもう真夜中だった。
「オリビア・・・」
――コンコン。
部屋を叩く音がした。
「誰だろ・・・」
思わず、時計を見た。もう、23時。
扉を開けるとそこにいたのは、オリビア一人。
「本当は、シェリルたちと来る筈だったんですが・・・この時間で大勢で行ったら迷惑かなって思い、私だけ来ちゃいました。迷惑でした?!」
リアムは、力いっぱいオリビアを抱き寄せた。
「全く、いけない子だ。・・・でも、会いたかった」
「リアム・・・さん?」
いつもと違う彼に、胸が高鳴りながらも心配を覚えるオリビア。
「あのぉ・・・今日、お泊りしてもいいですか?」
彼女の声は緊張で震えていた。
「ダメだと思いますか?」
リアムのその言葉に嬉しそうに微笑むオリビアにいけないことだと分かっていながら、アリシアが重なる。
「愛しています・・・心から」
「私も・・・」
この笑顔を僕は、護れるのだろか。いや、護ってみせる。
その後、シェリルを神の国まで送って行こうとしていたチェイス。チェイスの心の中では、やはりオスカーに言われた言葉が胸に刺さる。これを本人に言ってもいいものかと悩んでいた。
「チェイスくん?」
「ん?・・・ああ、ごめんごめん!!どった?」
「ううん、さっきから上の空だったから」
その心配そうな表情に、チェイスはあることを決意した。
「なぁ、リル?」
「なぁに?」
「こっち来て」
チェイスは、神の国でも使われてない教会にシェリルを連れてきた。
真っ暗な教会を照らすのは、満月の光だけ。
チェイスは、教会の前までゆっくりとシェリルを連れて行き壇上に上がる。
「チェイスくん?どうしたの?」
被っていたフードを取るチェイス。あらわになる彼のキメラの証拠の猫の耳。
ずっとずっと隠してきた耳。あの日、シェリルが怖くないと言ってくれた日から、隠すことのなくなった耳。
「私、チェイスはココに誓います。健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しいときも、シェリル・・・アナタを永遠に愛し、敬い、いつくしむことをココに誓います。」
「え?それって・・・」
「オレの妻になって下さい」
チェイスは、片膝をついてシェリルの両手を握りしめキスを落とす。
暫くの沈黙に心配になるチェイス。
「チェイスくんの・・・おバカさん・・・」
「え?」
ふと、上を向くと彼女の頬に流れる美しい涙という雫。
「キスは、唇にするんだよ」
「シェリル?」
「私なんかで良いなら・・・永遠に愛して下さい」
「シェリル・・・」
「なに」
「抱きしめていいですか」
「聞かないで」
チェイスは、優しくこれまでになく優しくシェリルを抱きしめた。
「愛してる」
その言葉に、シェリルは本当に本当に言葉が出ないほど素直に嬉しかったのだ。
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