第19話 果たし状と失恋


そして、トドメは。


「すっごい!!オリビアっ!!銃術のテスト全学年一位だなんて!!」


「そんな・・・たいしたことじゃないよ」


ーーこれだ。


廊下で、聞こえて来たシェリルとオリビアの会話。会話の内容を聞いてしまったノアは、大袈裟だが世界が真っ暗になった気分になった。


ーー俺様に惚れない女がこの世の中に居たなんて・・・。


成績優秀、眉目秀麗、欲しいものはなんでも手に入る。そう、彼は思っていた。なのに、昨日言われたあの言葉。


『あんたの事が嫌いだから』


その言葉が、何度も何度も頭の中をグルグルと巡っていた。


昼食の時間、ノアは二学年下の神の国の住人のレイ。彼のいる教室の彼の席を占領していた。お昼ご飯を買って帰って来たレイは、悩みに悩んだ挙句教室でご飯を諦めよう。と思いその場を去ろうとしたが、ノアが彼の服の裾を掴みそれを離そうとしなかった。


「えっとぉ・・・なんの嫌がらせですか?自分・・・ご飯食べたいんですが」


「まぁ、座れよ」


「いや、そこ自分の席だし・・・」


ノアは、前の席に誰も座っていなかったのを知っていたのでそこに、レイを座らせた。購買部で買ってきた牛乳を飲みながら、なにも言葉を発さないノアを横目にずぅずっーと、音を立てながら飲み干した。


「んで?なんで、ヘコんでいるのですか?」


ノアは、ちょいちょい。と指で彼を呼び耳元で囁くのだ。


「え・・・女に振られた?・・・ダッサ。あ、スミマセン・・・ココロの声が漏れました」


彼の話し方にイラつきを覚えるノア。思わず、立ち上がり机に足を掛けてレイの胸倉を掴み上げて、拳を振りかざす。そんなことをされても、レイは顔色一つ変えない。


「ジョークですよ、ジョーク」


「冗談になってねえんだよ!!」


椅子に腰掛け直して、彼が飲んでいた牛乳を取り上げて自分で飲む。


「へぇー・・・ノア先輩が振られる瞬間見てみたかったなぁー。さぞや、無様だったんでしょうね・・・あ、コレもジョークですよ」


再び彼が拳を振りかざすところが見えたレイは、咄嗟に付け足す。


「てめぇ・・・ジョーク付ければなんでもいいと思ってるんじゃねえだろうな?」


「ぎくりっ」


「表出な・・・お望み通り銃の的にしてやんよ」


「あ、銃で思い出しましたぁー。先輩・・・今回、銃のテスト全学年で二位でしたね。おめでとうおございまーす」


わざとらしく手を叩くが、当の本人は落ち込みを隠せずには居られない。


「でも、先輩いつもトップでしたよねー?しかも今回のトップは魔の国の次期女王様とか?いやぁー流石に、その人に告白して振られてたらもう、自分なら恥ずかしくて表出られないですよぉー。あははは・・・・?先輩?」


ズズーん。と、机に伏せるノアを見てレイは思わず全てを察してしまった。


「マジか・・・」


そうして、話しは放課後へとつづく。

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