第17話 首席になれなかった男ノア
ーー俺は、一番だ。
「ねえ!!!ノア先輩、また銃のテスト学年で一番らしいよ!!」
「えっ!!凄すぎ!!!だって、この前の試験でも一番だったじゃない!!」
「てか、かっこいいよねえ・・・」
「分かる・・・私、結構タイプなんだよね・・・」
彼に手に入らないものなんてない。当時のノアは、そう思っていた。
神の国の生まれで、成績優秀、眉目秀麗、女子からの人気も高い。あえて、欠点を一つあげるとしたら、少しだけ国語が弱いところだ。
「俺に叶うヤツなんか、この世の中にいないんじゃね?」
そう、呟きながら銃口から出る湯気を吹く。
歓声を待っていると、隣のクラスから女子の声援が彼の耳に届く。
「凄い!!オリビアっ!!!」
「キャアァっ!!!オリビアさんっっ!!素敵っ」
なんだなんだ。と、隣のバラ園へと向かうクラスメイトたちにつられてノアもついていくとそこには、的に命中させていた髪の毛をポニーテールにしていたまだ少し幼きオリビアの姿だった。
「んだ?アイツ」
ーー結構、可愛い顔してるな・・・。
完璧な成績、容姿の次に彼が欲しがったっモノそれは。
「アイツにきーめた☆」
完璧な彼女だ。
とりあえず、しもべである者たちからの捜査を教室で待っていると帰ってきたしもべと呼んでいたクラスの男子たちがボロボロになって帰ってきた。
「どうした?」
「の、ノア様っ・・・あ、あの女は凄まじいです・・・」
どうやら、調査中にオリビアに見つかりボコボコにされたようだった。しかし、ポジティブなノアは、そんな話し聞いていない。
「普通の女じゃつまらない・・・ククッ。あの女は、このノア様の女に相応しい」
ふははは。っと、笑いながら教室の椅子に足を掛ける。
「イイじゃんイイじゃん♪この俺様から会いに来いって意味だろ?会いに行ってやろうじゃねえか」
そして、放課後。オリビアの下駄箱に入っていた手紙を読む。そこに、チェイスと下校を共にしているシェリルの姿があった。
「なにこれ・・・」
後ろから、チェイスがオリビアの読んでいた手紙を取り上げて音読し始める前に一言。
「なにこれ・・・字が汚ねえ」
「チェイスくんっ!!いいから!!続き!!」
身長が足りなくて、手紙の内容が読めないシェリルが声を出す。
「バラ園で松・・・?待つって書きたかったのかな?」
「えっ!!!?オリビア!!コレ、まさかっ!!」
「果たし状か・・・」
「え?」
オリビアは、腕を組み少し考える素振りをしながら、続ける。
「そういえば、最近変な男たちにつきまとわれてたわね・・・もしかしてアレは・・・この為に・・・」
「オリビア?」
「大丈夫よ、シェリル。こんな事もあろうかと私の銃術も、体術も、剣術はシェリルには及ばないけど、完璧だもの」
真顔でそう言われても怖いだけである。一人の世界に入ってしまうオリビア。
「あのさ、オリビア?コレって、告白なんじゃないかな?」
恐る恐るシェリルは、口を開いた。
「こくはっく?」
「告白な」
チェイスとシェリルの顔を見つめる。どうやら、オリビアは告白の意味がわからないらしい。
「告白の意味は、そいつにでも聞きな。ノアって書いてある」
「ノアさんって、先輩の?」
「よし、そのノブさんに聞けばイイのね」
「「ノア」」
「それ」
物覚えが悪いオリビアである。
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