文系あるある

・一年春

「明日から大学生……やべぇ緊張する」

「カリキュラムどれ選べば良いんだよ……」

「新歓コンペ? 行ってみるか。友達出来るかもだし」

「何、あいつら。 なんであんなにテンション高いの? だるい」

「バイトしよ」


・二年春

「バイトリーダになった。 店を回すのは僕だ」

「やべぇ。やべぇ。単位やべぇ。必修だけは落とせない。バイト減らそう」

「やべぇ、俺の代わりがいねぇ。 終わったわ」

「留年はやだなぁ」


・三年春

「そろそろ就活かぁ……何やりたいんだろ」

「振り返れば、学校にも行かないでバイトばっかしてるなぁ。 バイトの先輩たちは、やりたいことのためにフリーターしてるんだよなぁ。 サラリーマンからドロップアウトした人もいるし」

「俺って社会から必要とされるのかな」

「バイトばっかしてたから金はある。 起業するか!……って言っても何でやるの? 何が出来るの俺」

(ビレッジバンガードにて)

「……ん、メメント・モリ? えっ!? なにこれ! 犬が人間食ってる!」

「インドに行こう。 自分を見つめ直そう」


・四年春

(総合商社)

「志望動機を教えて頂けますか?」

「はい、私は学生時代に海外を巡るのが好きで。 インドに行った際に、自分がなんて恵まれてるのかに気づきました。 御社に入社した後は、海外で活躍するビジネスパーソンになりたいと思います」

「……ありがとうございます。結果は一週間以内にお送りします」


(一週間後)


「つーか、あの会社絶対に学歴フィルターしてるよ。 日本でもこんな差別があるんだな……こういった差別を世間に公表するのって大事だな。 そうだ。記者になろう」


(新聞社)

「志望動機を教えて頂けますか」

「はい、私は学生時代にインドに行ったことがありまして、そこでは日本では想像できない差別が蔓延してました。 御社に入社した後は報道記者になって、弱者の味方になれる記者になりたいと思います」

「……ありがとうございます。結果は後日」


(三日後の夜)


「なんで落とすの? 公正明大とか言っといて差別すんの? あの新聞社やばくね? 内定決まらなくて良かったわ―」

「俺って社会に必要とされるのかな……いや、俺は大丈夫なはずだ! ただ単に縁がなかっただけだ! 成功するにはやり続けることだ!」




――そして、海外で活躍できるという謳い文句に釣られて、ベンチャー企業のSEに……

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