アイラの能力

「ああ、これね。

実は私、左目が義眼なのよ。

昔命を落としそうになった時があってね。

義眼はネイピアと一緒」


「ネイピアと!?」


「ネイピアも義眼なこと知らなかった?」


「知らんかった。

アイピス、あんたは知ってた?」


「知らなかったノラ」


「私の義眼は全てを見通し、知ることが出来る。

だから、自分にとって辛いことも何もかも知ってしまう。

だから、私は普段は目を前髪で隠して、

違う性格を演じているのよ」

 

「そうだったんだね」

ラジアナはそれでも、前と今との彼女の印象のギャップが強すぎて、なかなか馴染めずにいた。



「お喋りはこのくらいにしておきましょうか?」


「あ、ああ。

そうだよね」


「あの、アイピス?」


「何、何ノラか?」


「あなたにお願いがあるの」


「オイラにお願いって何なノラ?」


「いい?

よく聞いて」


アイラはアイピスに耳打ちした。


「ふ〜ん、成る程なノラ」


「そこであなたにお願いしたいのが……」


「わかったノラ!」


「ありがとう、アイピス」


「なあ、あたしは何をしたらいい!?」


「ラジアナ、もちろんあなたにも大切な役目をお願いしたいわ。

あなたの神ウニと、ファンシーちゃんの神通力はフルパワーで何分くらい持ち堪えられそうかしら?」


「え〜と、あ、そういうことね。

ファンシーと一緒のモードなら、

長くても10分くらいかな」


「ありがとう。

あなたには、アイピスの後で重要な役割をお願いするわね」


「あ、ほら!

ネイピアがこっちに向かってきてるよ!」


「丁度いいわ。

アイピス、さっそくお願いするわね!」


「わかったノラ!」


「ちょっとアイラ、逃げなきゃ!」


「ラジアナ?

いいから、あなたはこの場でじっとしてみていなさい」


闇落ちネイピアが振るう剣先はラジアナとアイラのすぐ目の前に迫ってきていた。


「あー、もうだめだ〜!!」


ラジアナは覚悟を決め目を瞑った。




あたしは死んだのかな?


多分死んだんだろうな。


ラジアナ


あたしの名前!?


何故?


ラジアナ


誰!?


ねえ?あたし、

死んだんだよね?



???

何ねごと言ってるノラ?


???

「ラジアナ?

あなた、いつまで目を瞑っているつもり?

いい加減目を開けなさい」


「え?」


「随分長く気絶していたようだけど、

やっと目が覚めたのね?」


「ごめん。

え〜と、今どういう状況?」


「ラジアナ、急に起き上がるのは良くないノラ。まだ寝てていいノラよ」


「みんな頑張ってるのにあたしだけそうはいかないよ。

ところでさ、アイラ?

これは、どういうこと?」


闇落ちネイピアの動きは止まっていた。

そして、ラジアナの目には、闇落ちネイピアがゆっくりと風化しているように見えていた。



「私が闇落ちネイピアが発する振動の周波数や振幅をオイラーの公式を使って計算したの。


 そして、その逆位相の振動をアイピスに伝えたの」


〜少し前のアイラとアイピスの会話〜


「そこであなたにお願いしたいの」


「何をなノラ?」


「アイピス、あなたには細胞をクジラモードに変化させて超音波を発生させて欲しいの。

その超音波で闇落ちネイピアを破壊するわよ」


「わかったノラ」


〜回想おわり〜



「なるほど、そういうことだったんだね」


「ラジアナが気を失っている間にアイラしゃんにいろいろ助けてもらったノラよ」


「あ、ありがとう……アイラ」


「あら、やっとまともに読んで貰えたわね。

ところで、ラジアナ?

まだ、本体はこれからよ」


「ああ、そうだよね」


「次はあなたとファンシーちゃんの能力を借りる番よ。

今からあなたに作戦を話すわ。

心して聞いてちょうだい」

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心層科学ファンタジー《イーハトーヴ》5次元少女 ★第【2】部★ 憮然野郎 @buzenguy

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