ラジアナの決意

アイピスとアイラ。

2人は、普段から周りに無駄に明るく振る舞うラジアナの様子が変な事が気になっていた。


ラジアナは下を向き、みなに背を向けている。

これは彼女の行動として明らかに不自然だった。



「ねえ、ラジアナ?

顔からクビまで真っ赤だけどあんた大丈夫ナリか?」


「……」


「無、無視ナリか?」


「あんたはえ〜とアイラ……だったノラよね?

今はラジアナをそっとしておいてあげて欲しいノラ」


「え? あ……うん」



アイピスは薄々気が付いていた。


ラジアナは頭では本当は分かっていた。

今更抗っても結果は変わらないことは。


 しかし、

心の中ではどうしてもネイピアの死を認めることが出来ず、諦め切れないでいたのだ。


ラジアナは決して、

ネイピアが生存している可能性を。

そして、闇落ちが解けて一緒に生還する可能性を。

諦めるつもりは無いのだ。


「ねえ……」


「突然、どうしたノラか?」


アイピスはラジアナの予想外の行動に意表をつかれ驚いた。

ラジアナが突然、か細い声でアイピスに語りかけてきたのだ。


「ねえ、アイピス?

あんたはそこの厨二病ツインテールと一緒に先に遠くへ逃げて」


「ちょ、誰が厨二病ツインテールナリか!?」


「まあまあ、アイラしゃん、落ち着くノラ!」


「そ、そうナリね。取り乱して悪かったナリ」


「ところで、ラジアナ?

何であんただけ残して吾輩達だけ逃げなきゃいけないナリ!?」


「そうノラよ!」


「あたしはね、ネイピアの心がまだ生きてるって信じてるんだ。

だから、ネイピアの目を覚まさせて一緒に帰還するつもりだよ」


「何を言ってるナリ!!

あいつは、あの闇落ちネイピアは……」





『最初からネイピアなんかじゃ無いノラ!!!』



「え!?」


・・・・・・。


アイピスから打ち明けられた台詞に、

ラジアナは一瞬言葉を失った。


「ねえ?

それってつまりどういうこと?」


「ネイピアは別……、

ぐ、ぐるしい……ノラ」


「ツインテール!

あんた、アイピスに何するんだよ!」


「申し訳ないナリ。

だけど、これだけは今あんたには知られたく無いナリ。

だけど、その代わりとして、今回だけ特別に吾輩が全力であんたとアイピスを助けてあげるナリよ」


「助ける?

え、どういうこと?」


ラジアナとアイピスはアイラの言葉の意味がわからず首を傾げた。


「ほら、向こうを観てみるナリ。

中性子星の中心部の方から、無数の長い触手が吹き出してくるの見えるナリか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る