ネイピアの残した微かな手がかり
「クゥ、クゥ」
「え、今の何の声?」
ナルータには、突然近くから動物の微かな鳴き声のような音が聞こえた気がした。
「何かの鳴き声みたいノラね?」
「えっと、これはさ……」
「ワン、ワン!!」
「???」
「???」
「こ、こら、ファンシー!」
ラジアナの胸元から、隠していた愛犬
ファンシーが顔を出した。
「ラジアナ?
この子犬、もしかしてずっとあんたの懐の中にいたの?」
「いやいや、流石にそれは無いよ。
他の5次元少女の知人にあたしのペットを時空転送してもらうように頼んでて、やっと今転送してもらえたみたい」
「そっか。
この子、可愛いね〜♪」
「本当、可愛いノラ〜♪」
「そうでしょ♪
ファンシーって言うんだよ♪
……、
って今はのろけてる場合じゃ無いって」
「そうだね。急ごう!」
「ワン、ワン!!」
シュッ!!
「あ、こらー!!」
「うわー!!」」
ファンシーは、ワンワンと2回吠えた次の瞬間、
飼い主のラジアナの胸元から勢いよく遥か前方に飛び出した。
ドサッ!!
ファンシーは軽やかに地面に着地すると、
「ワォ〜〜〜ン!!」
まるで満月に感化された狼のように
意味深な遠吠えを上げた。
「ねえ、ラジアナ?
目的の場所ってもしかしてあそこじゃない?」
「あ、そう言えば確かネイピアから言われてたよ。時限式ブラックホールのポイントは見えなくしてるって」
「でもそれっておかしいナリよ!
何で、ラジアナもわからないのに飼い犬のファンシーがこの場所ってわかったのナリか?」
「確かにそこは疑問よね?
ラジアナ?あなたは何か心当たりがあるの?」
「有る!」
「おー!
話が早くて助かるよ〜♪」
「無い!」
「どっちやねん!」
「そうノラ!そうノラ!」
「ネイピア、あいつとあたしは長い付き合いだからね。
多分、ここにあるのは……」
ラジアナはそう言いながら、ファンシーがさし示す何も無い足元の一点をまさぐった。
「え、すごーい!!」
ナルータとアイピスは驚きを隠せなかったが、
当のラジアナは特に驚いては無さそうだった。
ラジアナが見つけ出したものの実体が目の前に現れた。
「あの靴下は何?」
「くんくん。
何かすごく臭いノラね?」
「まるで何ヶ月も洗わずに放置したみたいな匂いね」
「うっさい、うっさい!」
「何でラジアナが怒るの?」
「そうノラよ?」
クソ、とぼけんな!
こいつら……わかってるくせに
「あんたら、後で2人仲良く説教な♪」
「あ、2人とも見て見て!」
「ちょっとナルータ!
そんなこと言って話題を逸らしても
あたしはごまかられないよ」
「違うよ。
ほら。あれ、よく見ると何か靴下に何かを書いた紙が貼っているみたいだよ!」
「あ、ほんとだ」
「オラが視力を進化させて読んでみるノラ。
なになに……、
・-・--・ ・-・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・ ・--- ・-・ ・--・ ・-・
点と線しか書いて無いノラよ」
「馬鹿ね、きっとモールス信号ね。
えーと……」
「ナルータ、モールス信号読めるの?」
「あ、え〜と、昔推理小説にハマっていた時に少し興味本位で覚えた事があってね」
「アヤシイ」
「アヤシイ」
「2人とも、あたしに読んでもらわなくていいの?」
「ご、ごめん。
お願いします」
「お願いするノラ」
「え〜と、
"私は……"
だって」
「何?
声が小さくてあたし聞こえなかったんだけど」
「オラは耳を超絶進化させてるから聞こえ……」
「ねえ、アイピス?
後で大切な話があるんだけど、
大丈夫……かな?」
「何ノラ?」
「大丈夫、かな!?」
「わ、わかったノラ……」
「ねー?
ナルーター?アイピスー?
さっきから2人だけでそこで何を話してるの?
今回ラジアナ達が闇落ちネイピアから守らないといけない時限式ブラックホールは、ラジアナの靴下の中に仕込まれていた。
そして、
ナルータとアイピスだけが知る
靴下に貼られたメッセージの意味とは
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