ナルータの奇策
「ちょっとまった。
今はあの頼りになるネイピアがいないんだよ!?
あたし達だけであの体の一部でもほんのちょっとかすっただけでストレンジ物質に変えちゃうような極悪チート能力を持った闇落ちネイピアに勝てる訳ないじゃん!」
「あんたね〜、ネイピアと約束して無かったっけ?
もしもの時はみんなを頼むって?」
「そうノラよ!」
「う、うん……。
そうだね」
「ラジアナ?
早くあいつを追いかけなくていいの?」
「だって、追いかけたところで上手く出し抜く策なんてあたし考えてないよ……」
「それはあたしが考えてあるよ」
「ナルータ、凄いノラ……。
オラ、見直したノラ♪」
「ナルータ、あんたさっきまでダブルスパイで
あたしたちを裏切って危険な目に遭わせていたよね?
どうして急に態度を変えたのさ?」
「ナルータ……ね」
「???」「???」
ナルータの予想外の反応にラジアナとアイピスは一緒驚きを隠せなかった。
「ねえ、ナルータ?
あんた、本当にナルータ……だよね?」
「は!? そうに決まってるじゃん」
「ラジアナ、大丈夫ノラか?」
「大丈夫大丈夫。
ところで、策って何か、
奴に追いつくまでに教えて」
「策も何も、ラジアナ?
あなたがネイピアに聞いてた作戦とそんな変わりはないよ。
闇落ちネイピアより先回りして、
ラジアナの神ウニとワンちゃんとアイピスのクマ虫耐性で時限式ブラックホールを設置した場所を先に占拠するの。
さあ、急ごう!」
ナルータの後に続き、ラジアナとアイピスの2人も走り出した。
「なるほど、そっか……。
でもさ、闇落ちネイピア、足早く無かった?
あたし達が遅れて行ったところで追いつけずに先にブラックホールのタイマーを無効化されそうじゃん?」
「確かに、闇落ちしたネイピアは、
生前の彼女とは身体能力が大違いだよね。
だけど、
彼女の知性は失われてる。
だから、あたし達の方が絶対先に目的のポイントに辿り着けるよ」
「ナルータ?
あんた、なんでそんな自信持ってそう言い切れるのさ?」
「ここは中性子星だよ。
普通、超重力で歩くことすらままならないんだよ。
だけど、あたし達は何故か何ものかの手によってバリアーの様なものが施された安全なルートを知っている」
「そっか。
じゃあ、闇落ちしたネイピアは、
ネイピアの時の記憶が無いから、
行き当たりばったりの試行錯誤で
後から出発した私達より遅く到着するに違いないってわけだね」
「そうだよ。
だから、上手くいけば、
闇落ちネイピアが到着する前に、
このストレンジ物質に汚染されかけた中性子星ごとブラックホールに飲み込ませて別の時空に転送させることも可能かもしれないよ」
「え? でもさ、ナルータちょっと待って!
もし本当にそうなってしまったら……」
「は〜い、話は一旦おしまい!!
いくらあたし達が安全な道を知ってるとしても、時間が開き過ぎると流石に危なくなるよ。
早くいこうよ!」
「あ、うん……」
あたし達、
本当に
これでいいのか?
この時、ラジアナの心には強く引っかかるものがあった。
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