謎の男からの取引

ネイピアの住むマンション大規模火災の鎮火から2日が経った。

新聞やテレビ等のマスコミはこぞってネイピアのマンション全焼騒ぎを取り上げたが、

テレビ局や出版社等のマスコミはどこも不幸中の奇跡や死亡者は無しとして取り上げていた。

アイラはそのまるで他人事のように表面上しか書かれていないスクープにただただ腹が立ち苛立ちを隠せ無かった。

しかし、その時のアイラの中では怒りよりもむしろ混乱のほうが遥かに大きかった。

それも当然だ。アイラは火災現場で体験した走馬灯の中で姉だと思っていた人が 化けケットシーだったことを初めて知ったのだから。

アイラは、最愛の姉フエルマの死の悲しみより先に化かされていたんだと言う事実を受け止め、記憶の認識を修正することに一生懸命だった。



『おかけになった電話番号は電波がとどかないところにあるか、電源が入っていないためお繋ぎできません』


『ピッ』


「ネイピア!

いつまで起きているんだ?

また、音信不通の例の友達か?」


「パパには関係無いでしょ……」


「パパには関係無いか……。

まあいい、明日学校なんだろ?

早く寝るとこ、いいね?」


「はい、パパ。

おやすみなさい」


「はい。 ネイピア、おやすみ」


マンションは火災の後引っ越した為新しい。

ネイピアは寝る前に自分の部屋の窓を開け、そして月を眺めた。

ネイピア

「ねえ、アイラ?

どうしてあんたはあれから私の前から行方を眩ましてしまったの。

あなたは私と同じ、人間の姿をしたフエルマお姉ちゃんと自然豊かな場所に住むあたしのおじいさんの記憶を持っている唯一の……」



一一一方、アイラは一一一一一一一一一一

『それはどういうことナリか?』

アイラのところにはアスーと名乗る年齢不詳の謎の成人男性が現れ、アイラになにやら取引を持ちかけていた。


◇じゃあ単刀直入に言おう!

君のお姉さんを人間の姿で生き返らせる方法を教えてあげる。

だから、交換条件に私のお願いを聞いて欲しいんだ。

それは……◇


「それは、ゴクン!

あんたの交換条件は何ナリか?」


◇それは、

君に になって欲しいんだ……◇









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る