ax²+bx+c=0 完全情報化社会
アーレスの妄想
『せ、先輩大胆ですね! 舌まで絡めてくるんですか。
先輩どんだけ、僕の事を。ウフ、ウフフフフ!」
僕はモテモテな自分が嬉しくて仕方なく、
にやけきってしまっていた。
「あれ? それにしてもやけに臭いぞ?』
僕はもしやと思い、それまでお約束で閉じていたまぶたを
恐る恐る開いてみた。
「ギャ~!」
僕は心臓が止まるかという勢いで驚き、
その場で飛び上がった!
「アハハ、ハハハ、アーレス面白い~!」
僕の口を唾液まみれにしたそいつの頭をなでながら
先輩は僕をみて爆笑していた。
そいつは……野犬だった。
「クオーリア先輩、そんなにアーレス先輩を
いじめちゃ可哀想ですよ、クスクス」
「ちょっと、二人とも、
さっきのは寝ぼけてただけで。
そもそも、だいたい僕の口の中に
見ず知らずの野犬の舌なんて
入れないで下さいよ!
これフィクションじゃなかったら
全く洒落(しゃれ)になりませんよ!」
※よい子は絶対に真似をしないで下さい。
「せ、先輩大胆ですね~!
舌まで絡めてくるんですか。
先輩どんだけ僕の事を、ムフフ~ン!
だって~?
アハハ、傑作~!」
「先輩? 僕さっきそんなふうに口に出してました?」
「アーレスってホントかわいい奴やな~!
ハハハ、ハハハ、
笑い過ぎて苦し~!」
「まるで、ビデオで撮ったかって言うくらい完璧に僕の失態を真似しないで下さいよ~!
しかもアホ顔で!」
「あ、あたし一応記念にビデオも撮っておきましたよ」
「チルダ、ナイス!」
「おい、チルダまで酷いよ~!」
「はぁ? あなたに言ってません。クオーリア先輩に言ったんです。先輩顔近いです。キモいです。きやすくあたしに話かけないでください」
チルダは僕の顔に右手の手のひらを真っ直ぐ突き出すと、
まるで汚いモノを払いのけるかのように、
早口で冷酷にそう言いきった。
「何?その態度の変わりよう?
え~ん、チルダちゃんひどいよ~!」
「死ねっ!」
「ショボ~ン……」
ハァ~。チルダにドン引きされ完全に嫌われてしまった~。
「チルダ! 私にパス!」
「はい、先輩」
僕が落ち込んで肩を落としている隙に、
僕の恥ずかしい動画の入った※2 ファイアーフライデバイス(蛍デバイス)は先輩に隠されてしまった。
「ねえ、ちょっと二人とも。あれを見て!」
先輩は突然真面目な態度に戻り、ある方向を指さした。
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