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※チルダ視点
一チルダの手紙一
母さん、クオーリア先輩、アーレス先輩。
あたしがイケニエの儀式に選ばれた事を内緒にして、
勝手にいなくなって、親不孝な娘で本当にごめんなさい。
儀式の準備を終え、あたしは外でそう呟くとゲートに入った。
ゲートに足を入れたら、そこにはもう足場は無なかった。
あたしは慌てて体勢を崩してしまい、その真っ逆さまに……は落ちなかった。
落ちようとする瞬間、あたしのゲートをまだ通過していなかった左手を、硬く大きな誰かの手がしっかり掴んでひき止めようとしてるくれている。
「誰? もしかして……先輩?」
「チルダ! 無事かー?」
「先輩、どうしてここに?」
「チルダを助けに来たに決まってるじゃんか!」
掃除機のノズルのようにあたしを吸い込もうとしているゲートには先輩の力だけでは抗えず、吸い込まれるのは時間の問題だった。
「先輩、手を離して下さい! 先輩を巻き込む訳には
いきません!」
「絶対に離さん!」
「そうよ! 理不尽な宗教儀式とかなんかで可愛い後輩を失ってたまるもんですか!」
「え? クオーリア先輩まで!」
「あー! 引き込まれる~!」
「キュイ~ン!」
「わ! わー!」
「…………」
※チルダ視点おわり
「……輩? 先輩? アーレス先輩?
大丈夫ですか?」
「チルダ、ちょっと代わりなさい」
「は、はい」
『あれ? なんだか口の中が生温かい感じが……』
僕は、もうろうとした意識から、
少しずつ意識を取り戻した。
『これは、も、もしかして人工呼吸!
今僕は先輩とキスしてるってこと?』
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