第192話「再編」中編
第十七話「再編」中編
――東の
――西の
数多の大小国家が覇を競う戦国世界に在って……
最強国”
そしてその
”
それは、
つまり――
それ故に仲間意識は薄く、一部を除いて個々で動くことが多いのだが……
その”
「閣下の招集であるにも
軍の大将軍が一人であり、
「来たくても来られないのだろう。あのような失態を演じて、
白髪交じりで
軍の大将軍が一人で
「それは僕には関係ないかなぁ?門下生といっても彼も良い大人だしねぇ……って、どっちかというと悪い大人だっけ?
あからさまな嫌みを全く他人事として、無邪気な笑顔で返す青年将校は
若き
”
その一室に猛者達を集めての会合――
「…………」
ピリピリとした空気の中で静かに光る鋭い眼光の主は……
長めの黒髪を雑に
誰もが距離を置きたくなる様な、そんな危険極まりない
流派は不明で軍の大将軍が一人……
戦場での凄まじい戦果の数々から”戦場の羅刹””鬼
「
無機質な人間離れした声色にて、少しばかり荒れた場を収めるのは、
近代国家世界でも仮面に僧衣鎧姿という異質な風体の人物……
年齢不祥だが
「うむ、無駄口は好かんな。それより
剃り上げた頭にへの字に堅く結ばれた口、
武の道一本でこの場に名を連ねる剛の者で、眉唾ものの最古参、
「
歌でも詠む様に流暢に、面々のやり取りを冷めた眼で流す、長髪を後ろで結わえた色白で細身の男……
常人離れした眼と感覚を生まれつき所持し、相手に何をもさせること無く立ち会いで勝負を決する神技から”音無の剣"との異名で知られる凄腕の剣客であった。
「お主と一緒にするなっ!俺にとっては貴重な修行の時間だぁっ!!」
太い両手首、両足首と、見えている部分だけでも相当な
見た目通り普段から全身に負荷をかけて過ごす、常識を逸した修行の虫である。
「あの……私は初めてなので勝手が判らないですが、方々はいつもこうなのですか?」
動揺しながらその情景を見守っていた若者が遠慮がちに言葉を発する。
そして――
現在
軽薄な外面を装いながら自らの欲望のためには手段を選ばず外聞も気にしない、何かと評判の悪い男であった。
ガチャリ!
と、九人の猛者達銘々が独特の存在感で緊張を保っていた空間に、外気が流れ込んだ。
「お待たせ致した。”
ドアを開けて入って来たのは――
小太りで頭髪にチラホラと白髪の交じった、やや
「待たれよ
「……」
呼び止めようと声をかけた”
その中年男……
「閣下は大変に多忙である。故に今回はリモートで
――ブツ!
そう言うと、
「それと……
問いかけた
彼は、唯我独尊、
とはいえ――
緊急軍議と招集をかけられ、
”最初から全員が
”近代国家世界の会議で実際に来る必要があったのか?”
等々、武人であるが故に基本的には血の気が多い面々だから、そういう不満を爆発させても仕方の無い状況であったのだが……
――ブブゥゥーーン
「……」「……」「……」「……」「……」
「……」「……」「……」「……」
大型モニターに”その人物”が映し出された途端に全員が不満などは一ミリも無いという
「ご苦労。貴様ら”
対して画面の中の男は――
部下達への労いというには尊大な態度で、返礼の敬礼を短くすると直ぐに本題へと入る。
当然、六十インチの大画面に映し出されたのは
現王が病に伏せっている現在は、政治の最高職である宰相を、そして軍の最高位である大元帥をも務める大国、
「
――!
その権力者から出た言葉は、前後の文脈をすっ飛ばして行き成りの開戦宣言。
その場に集った
流石にこれには動揺を隠せないでいた。
未だ誰も言葉を発することは無いが……
それでも面々は――
”
”
そういう至って常識的な理由から、納得するには色々と問題がある発言に難しい表情であったのだ。
「不満か?だが新政・
「愚かにも俺と敵対していたとはいえ
「ぬぅ……」「た、確かに」「……そう来るのかぁ」「…………」
「
たとえ今までは自分がその
”それはそれ””これはこれ”なのだ。
開戦の口実として――
”
は、充分に大義名分に成り得るだろう。
「ならば、
――ブッ!
画面の中から面々を見渡して
ブブブブ……
突如映像は乱れ、そして――
ブブブブ……プッ!
「これで良いのかしら?ああ、大丈夫みたいね。見知った難しい顔達が並んでいるわ」
モニターが復帰した後にはもう一つの子画面が……
画面を強引に二分割して、
「は、
現場を進行していた
「お久しぶりね、
「
「ふふふ、まんまと簒奪した仮の玉座、座り心地は
画面の向こう……
抜ける様な青い空をバックに、どうやら車中であるかの場所から強引に通信に割り込んだお姫様は意地悪く紅の端を上げて微笑む。
「ふん、今更負け惜しみか?
そして――
もうひとつの画面内で
眉間に影を落とした険しい表情からも中々に心中は穏やかでない事は容易に解る。
「お、おい!
「別に大したことじゃないわ。久しぶりだから
――
リボンと花飾りのあしらわれた小さめの日除け用
「貴様!
「そうよ、これからデートなの」
苦虫を噛み潰したような表情である
「……むぅ」「……おぉ」「変わらず可愛いなぁ」「……」「
「茶番だな」「……
当然、こんな予測などとても出来ない成り行きに面々は言葉も無く……
「で、なんの用だ……
地の底から響くような低い声で問う
「別に?言った通り挨拶だけよ。ご機嫌よう、
しかし
「あ……そうそう」
そして、今気付いたかのように動作を止めて言葉を付け足す。
「私はこの通り充分に幸せを満喫しているから、呉々も邪魔はしないで下さいね?間違っても”開戦の口実”なんて下らないモノに利用されるようなことになったら――」
ニッコリと至高の微笑みを
「凄く迷惑だから……
――ブツッ!
最後は少しも笑っていない暗黒の
お土産とばかりに
割り込んだ時と同様に通信を一方的に切断したのだった。
「…………あわわわっ」
これ以上無いくらいに、まんまと面目を潰された
「会議は終わりだ、以降の子細は
冷たい瞳でそうとだけ言った。
「あの……
堪らず、
「当然滅ぼすっ!!」
第十七話「再編」中編 END
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