第191話「伽藍の先触れ」前編

 第十六話「伽藍がらんの先触れ」前編


 「…………」


 六花むつのはな てるは絶望的な表情で絶句していた。


 ――臨海りんかいと新政・天都原あまつはらがぶつかった尾宇美おうみ城決戦とほぼ同時刻


 ――七峰しちほう宗都、鶴賀つるが……


 七神しちがみの総本山たる慈瑠院じりゅういんにて。



 「僕としてはごく内々でつ平和裏に解決したいんですけど、どうでしょう?」


 七神しちがみ信仰最高神の威光を地上で代行する”神代じんだいの巫女姫”が座した一段高い御簾みす越しの主座に向け笑顔でそう言葉を投げかけるのは――


 涼しげな碧眼と蜂蜜のような甘いブロンドが特徴である恵まれた容姿の青年。


 「我が”七峰しちほう”もすっかり困った状況でしょう?新政・天都原あまつはらの実質傘下に在りながら臨海りんかいの顔色も窺って兵を動かさず、結局は両国の不興を買っている。それで今後はどうするつもりですか?どうもならないでしょう」


 容姿から外人けにんと呼ばれる世界分断以前にあかつきへと移住した、大陸人の血が混ざっているのが明白な青年はその口調と涼しい瞳から一見柔和な人物に見えるが……


 「しかし揃いも揃って渋い表情ですね。”コレ”を持参してみせても六神道ろくしんどうの方々は僕が信用できませんか?」


 碧眼ブルーアイ蜂蜜髪ハニーブロンドの青年が微笑んで言葉を並べ座る前には、無造作に置かれた二つの”モノ”が……


 「な、なんて”モノ”を神代じんだいの御前に……」


 腰まである艶やかな長い黒髪が美しい色白の如何いかにもな大和撫子である女剣士”波紫野はしの 嬰美えいみ”と、


 「くっ……悪趣味」


 前髪を横に流した肩までのミディアムヘアで清潔で生真面目な印象を受けつつも、毛先を軽くワンカールしている辺りオシャレにも気を遣っている最近の女子という、利発そうな瞳の闘士”東外とが 真理奈まりな


 巫女姫の両脇を固めた二人の側近は、明らかに眉をひそめた不快な表情であった。


 「奸賊”壬橋みはし 尚明しょうめい”と”久嗣ひさつぐ”の御首級みしるしだけじゃ足りないと?」


 碧眼ブルーアイ蜂蜜髪ハニーブロンドの青年は言葉とは裏腹にさほど困った風でも無く、目前に置いた二つのソレをポンポンと手の平で叩いて見せる。


 「……」「……」


 反応を示さず、物も言わぬ”ソレ”は――


 人体の頭部を切り取った代物。


 簡潔に言うならば”生首”であった。


 人から物に成り下がった二つのそれは、両目と口を縫い付けられ、保存用にだろう塩漬けにされ萎びて一回りは小さく見えた。


 「壬橋みはしの二心無きを”コレ”で証明できないとなると……」


 ”ソレ”は七峰しちほうの最高職である”神代じんだい”を蔑ろに、宗教国家を牛耳っていた壬橋みはし家の長兄と次兄のなれの果て。


 「そ、そうじゃなくて……」


 「うぅ……グロい……く……それって來斗らいとさんのお兄様達じゃないですか……それをこんな……」


 絶句したままのてるに代わって波紫野はしの 嬰美えいみ東外とが 真理奈まりなが問いただすものの、


 「”奸賊”に親も兄も無いだろう?二人は変な事を言う」


 その蜂蜜髪ハニーブロンド碧眼ブルーアイが印象的な青年は微塵も陰りの無い笑みで反論する。


 「くっ……」


 「うっ……」


 その笑顔に二人の女はゾッとした。


 そう、これが……


 壬橋みはし三人衆が末弟……壬橋みはし 來斗らいとの本質なのだ。


 野心多き三兄弟の中に在って最も忌みされ、身内からさえも恐れられた……


 家督どころかあらゆるまつりごとから遠ざけられて表舞台から隔絶されていた壬橋みはし家の末弟。


 「しかし……ここまで我が壬橋みはしへりくだって忠臣を示しても和解できないとなると、当方こちらもそれなりの覚悟が要る事になりますね」


 ――っ!?


 言うが早く!


 てるの横に控えた”六神道ろくしんどう”二人の女戦士が反応するよりも速く!


 「ふふん」


 壬橋みはし 來斗らいとという青年は立ち上がっていた。


 「ふ、不遜なっ!神代じんだいの御前よ!」


 嬰美えいみが叫び、腰の刀に手をかける!


 「な、なにをするつもりですか!?壬橋みはし 來斗らいと!!」


 東外とが 真理奈まりなは座したままのてるを庇うように前に出る。


 「なにって?それは……それは”一戦交える”しかないだろう?」


 そしてそれが予定通りだとでも言うように、碧眼ブルーアイ蜂蜜髪ハニーブロンド壬橋みはし 來斗らいとは特に構えもせずに突っ立ったままで端正な口元を歪めてわらっていた。


 「今までの兄達による神代じんだいに仕える六神道ろくしんどうにあるまじき行いを恥じて許しを乞いに来た……というのは矢張やはり真っ赤な嘘なのね!壬橋みはしはあくまで謀反を……」


 「謀反?ははは、このままじゃ七峰しちほうは滅亡じゃ無いか?庇護して貰っている新政・天都原あまつはらの派兵要請に応じず、りとて多少なりとも恩のある臨海りんかいとも距離を置く恩知らずぶり……なら、尾宇美おうみの戦いがどちらに転んでも次に滅ぶのはこの七峰しちほうだよ。下手を打ったんだよ君達……お前等は」


 怒鳴りつける嬰美えいみにそう平然と応え、壬橋みはし 來斗らいとは薄ら笑いを浮かべながら床に置かれた首の頭頂部、髪の毛部分を二つ無造作に纏めて掴むと肩に担いだ。


 「このまま……私たちが貴方をただで帰すと思っているの?」


 早々に背を向ける青年に真理奈まりなは凄むが……


 「へえ?取り戻した鶴賀ここは既に自分達の居城てのうち、これ幸いと僕を葬って壬橋みはしを完全に排除しようと……ははは!詰めが甘い、甘甘あまあまだねぇ、相変わらず真理奈まりなちゃんは」


 「このっ!衛兵!出なさいっ!狼藉者です!!」


 本気の警告を鼻で笑われて、東外とが 真理奈まりなは眉をつり上げて衛士を呼び込む!


 ザザザザザッ!ザザザザザッ!


 直ぐに部屋へと雪崩なだれ込んで来た七峰しちほう兵士達に囲まれる壬橋みはし 來斗らいと


 だが――


 ブォォォォーーーーン


 その瞬間、唯独りだった青年の背後が揺らぎ……


 まるでそこだけ度の強いレンズのように空間がひしゃげたかと思うと――


 ズズズズズズ……


 何も無い虚空から”新たな人物"が姿を現す!


 「なっ!?」


 得体の知れない不気味な気配に東外とが 真理奈まりなは咄嗟に両手を前に構えを取らされ……


 「なっ!なにっ!?」


 感じたことの無い悪寒に波紫野はしの 嬰美えいみは思わず刀を抜き放っていた!


 「荒事は極力控えるように……そう言われていたのではありませんか?」


 そこには――


 開口一番、白けた声色でそういう台詞を呟く……


 肩まである黒髪と白い肌、細い腕で華奢な、十代半ばの清楚な少女が佇んでいた。



 「な……なんで……」


 突然の謎少女登場に、護衛である二人の六神道ろくしんどう以上に眉をひそめて驚く六花むつのはな てる


 「仕方ないだろう?成り行きだよ」


 「成り行きですか……”今回は”そういう事にしておきましょう」


 悪びれる様子も無くそう応える壬橋みはし 來斗らいとに謎の少女は軽い溜息をいてから了承する。


 儚そうな印象の少女。


 彼女はその顔に呪符のような、幾つもの目の如き奇妙な文様を施した黒い布を巻いて目隠しをしている。


 ――見た目通りなら彼女は盲人であるだろう


 如何いかにも華奢な腰には右に三本、左に二本と、計五振りの刀が連なって下げられていた。


 ――”単身ひとりの剣士”に”五振りの刀”


 本数も過多だが……それらはとてもこの華奢な少女が扱えるとも思えない重量なのは誰の目にも明白だ。


 「くっ!」


 「なんなの……いったい」


 纏う雰囲気を含めてとびきりの異形を目の当たりにし、直ぐに言葉にならない二人の六神道ろくしんどう戦士たち。


 「わたくしとしたことが……大変失礼致しました」


 そういう視線を受けて、謎の盲目少女剣士はまるで今更気付いたかのように薄く微笑む。


 「わたくし、浅い深いの深いと姫君という姫で”深姫しき”……成就し完成した現在いまは、”天眼てんがん 鹿深姫ろくしき”と名乗っておりますわ」


 そうしてそういう奇妙な見た目に沿う奇天烈な呼称を名乗ったかと思うと、盲目少女剣士は五振りの凶器を従えた革製ベルト下でスカート調になった上着の裾を摘まみ、貴婦人然と優雅に会釈してみせる。


 「こ、この狼藉者二人を取り押さえなさいっ!」


 ”天眼てんがん 鹿深姫ろくしき”と名乗った盲目少女剣士に尋常ならざる危機感を感じた東外とが 真理奈まりなは、得意の思考で無く動物的本能で命令を出す!


 「おおっ!」「やああっ!」「はぁぁっ!」


 壬橋みはし 來斗らいとと盲目少女剣士を囲むように抜刀していた十数人の兵士達が一斉に襲いかかるも……


 ヒュバ!ヒュバ!ヒューーヒュォン!


 「おっ?」「へ?」「っ!」「なっ!」


 盲目少女剣士が両腰に携えた刀を二本同時に抜き放ったかと思うと、信じられないことにその二刀を宙に置いたまま、目にもとどめられぬ速度で新たに腰に残った二刀が新たに抜刀されて、


 ギン!ギン!ギン!ギギィィーーン!!


 あっという間に先行して襲いかかった四人の兵士の剣が宙に舞う。


 ヒュ、ヒュ、ヒュ、ヒューーーーキン!


 そして四振りの刀をほぼ同時に腰の鞘に戻す!


 「な……!?」


 「なにが……いったい!?」


 四本の刀刃とうじんが地に落ちること無く宙を舞い、襲い来る四人を一瞬で無力化するその様はまるで奇術を見ているよう……


 武術の源流である六神道ろくしんどうの彼女達でさえ、二本の腕のみで四刀を自在に、まるでジャグリングの如く操る彼女の手元は肉眼で確認するのは不可能であった。


 「おめになった方が良いですよ。力の差は歴然ですから」


 ――改めて


 肩まである黒髪と白い肌、そして細い腕。


 武人というにはあまりに無縁そうな、華奢で清楚な十代半ばの盲目少女。


 呪符のような、幾つもの目の如き奇妙な文様を施した黒い布を巻いて目隠しをしている奇異な少女剣士の存在は、人の及ばぬ”狂った刃神とうじん”そのもので在った。


 「というワケだ。雑魚はこの程度の頭数じゃ物の数にもならない。武の達人である”六神道ろくしんどう”の君達でも二人だけじゃね。まぁ僕を除いた三人と、あと何と言ったっけ?あの喧嘩しか能の無い無頼が揃ったところで全然無理だから、この場で降伏した方が良いよ」


 壬橋みはし 來斗らいとに至っては構えもせずに棒立ちで完全に見下した嫌な笑みを浮かべながら降伏を勧告してくる。


 「この……言わせておけば!主神に仇なす恥知らず!」


 口惜しいがどうにも相手の言うとおりである事実に、波紫野はしの 嬰美えいみは刀を手に歯ぎしりする。


 「…………壬橋みはし 來斗らいとを除いた三人?」


 だが東外とが 真理奈まりなは同じ状況には違いないが、相手が口にしたその言い方に疑問を浮かべていた。



 そもそも現在の六神道ろくしんどう神代じんだいである六花むつのはな てるを守護する選ばれし面子は……


 永心伏捨えいしんふくしゃ流古武術の永伏ながふし 剛士たけし


 波紫野はしの流剣術の波紫野はしの 嬰美えいみけん姉弟きょうだい


 岩流がんりゅう柔術の岩家いわいえ 禮雄れお


 鹿古かこ流弓術のしい 凛子りんこ


 東外とが流衛術の東外とが 真理奈まりな


 そして、壬橋みはし流合気術の壬橋みはし……



 七神しちがみ信仰最高神、”光輪神”の御業みわざを体現する第十三代”神代じんだいの巫女”を守護する各家の代表戦士は現在は七人で、壬橋みはし 來斗らいとを除けば六人になるはずが……


 つまり――


 「永伏ながふしさん達は裏切って壬橋 來斗あなた側についたという事ですか?」


 認めたくは無いがそういう言い回しに真理奈まりなは確認するしか無い。


 「まさか!?真理奈まりな!!」


 隣で嬰美えいみが驚きの声を上げるも、


 「そうだ。まあね、人間誰しも弱みはあるものでね。とはいえ、真面目一徹な波紫野はしのや陰謀に長けた東外とがにはこっちの裏工作は通用しなかったから残念だが……」


 「そ、そんな……今までずっと同士として……」


 「まんまと……して……やられたというワケね、くっ!」


 ここに来て明るみになった予期せぬ第三勢力の台頭に愕然とする二人。


 「ははは、ほんと!正面から争うばかりの脳筋のうきん共め!才能あると自惚れたバカ兄達もそうだが、馬鹿正直なお前らも僕に言わせれば馬鹿ばっかだよ、はははははっ!!」


 言い当てられて自慢げに暴露する壬橋みはし 來斗らいとは女達の慌てふためき悔しがる様が愉しくて仕方が無いようだった。


 「壬橋みはし 來斗らいとさん、そろそろ方針を決めて頂けますか?わたくしとしても上からは貴方の身を守るようにしか言われていないので」


 そんな馬鹿笑い真っ只中の來斗らいとに、まるで冷や水を浴びせるかの如き、盲目少女の冷静な声が掛けられる。


 「ちっ!ちょっと黙っててくれないか?いま最高に良い気分……」


 自らを庇うように立つ”天眼てんがん 鹿深姫ろくしき”を名乗る盲目少女剣士に不機嫌な碧眼ブルーアイが向けられるが――


 「…………少し不快ですね」


 変わらず落ち着いた柔らかい声ながらも、少女はゆっくり無表情に微笑わらっていた。


 ――ゾクリ!


 壬橋みはし 來斗らいとだけでなくその場にいた全員、盲目少女剣士のその仕草だけで全員の全身が異質な恐怖に強ばっていた。


 ――それはまるで遙か海の向こうに存在するという、人を石に変える魔女の邪眼


 実際は彼女の本当の瞳は幾つもの異形の瞳を形取った文様の記された布きれで覆われており、それ故に実際に視線を放つ双瞳ひとみが見えたわけではないのだが……


 そこに居る者達はそういうお伽噺を思い出すほどに、盲目少女が今し方見せた微弱な表情の変化はそれを再現させていたのだ。


 「……くっ……わかったよ……六花むつのはな てるを確保、抵抗するようならこの場にいる奴らを殲滅、そしたら速やかに撤収だ」


 話の腰を折られたからか?それとも多少なりとも怯んでしまった自分に苛立ったのか?壬橋みはし 來斗らいと蜂蜜髪ハニーブロンドを掻き上げてから面白くなさそうにそう吐き捨ててから再び盲目少女剣士の後ろに下がっていた。


 「承知致しましたわ」


 スッと天眼てんがん 鹿深姫ろくしきの足が半歩前に出て、僅かに漏れていた感情が消えた表情で両腰の剣に両手を添える。


 「や、約束が違う!!”あなた達”は手を出さないって!!」


 誰もが息を飲む場面に声を張り上げて立ち上がったのは主座に居た六花むつのはな てるだった。


 「て、てる……」


 「約束?それはどういう……」


 不本意極まる展開であったものの選択肢無く戦闘に入る直前だった波紫野はしの 嬰美えいみ東外とが 真理奈まりなは守るべき主の……


 突然出たその意味不明な言葉に一瞬、意識を逸れさせられる。


 「あ!……それは……ちがくて……あの……」


 そして”しまった”とばかりに咄嗟に淡い桃色の唇を両手で隠すてる


 それは壬橋みはし 來斗らいとではなく、天眼てんがん 鹿深姫ろくしき……


 いや、その背後に居る怪人に向けた言葉であった。


 だがまさか以前に……


 この七峰しちほう宗都、鶴賀つるがの総本山”慈瑠院じりゅういん”近くの山林にて――


 ”天啓を得た”という嘘でみそぎをすると偽って――


 全人類の敵かもしれないという怪人、”幾万いくま 目貫めぬき”と取引したとは、この場では口が裂けても言えない事であった。


 「約束はたがえていません。今は別の任務……天都原あまつはら藤桐ふじきり閣下の命令で動いているのです」


 「そ……そんな屁理屈……」


 一応返ってきた盲目少女剣士の意外にも丁寧で優しささえ感じる口調に、納得していないもののてるはそれ以上は言い淀む。


 「藤桐ふじきり……なら壬橋みはし 來斗らいとの背後には天都原あまつはらがいるのね!」


 素手の両手を身体からだの前面に構えた東外とが 真理奈まりなは、寧ろそっちの単語に意識が向けられたようで深く頷いていた。


 「ちっ!なにしてるんだよ、天眼てんがん 鹿深姫ろくしき!さっさとしろと言ったのはお前だろう!この雑魚共を始末して神代じんだいさらうんだ!!」


 お楽しみの時間を邪魔されてから一気にご機嫌斜めになっていた壬橋みはし 來斗らいとは、もうどうでもいいから早く済ませろと後ろからせっついて怒鳴っていた。


 「くっ!恥知らず……」


 「これは……少し不味いですね」


 とはいえ、波紫野はしの 嬰美えいみ東外とが 真理奈まりなもこの窮地を脱する方法は――


 「はははは!もう死ねよ!六神道ろくしんどうの馬鹿ども!!雑魚はどんだけ集まっても駆逐される側なんだよっ!!」


 殴殺の快感に再び酔い始めた蜂蜜髪ハニーブロンドの男は碧眼ブルーアイを濁らせて高らかに嘲りわらって――


 ――――


 「それはどうかなぁ、ねぇさくちゃん?」


 ――っ!?


 一瞬、皆が目を向けた声の先、広間の入り口付近には……


 軽薄な美形の剣士、波紫野はしの けんと――


 「くだらねぇ……」


 やる気の無い態度が表に出た、見た目は悪くないが目つきは少々悪い男。


 いや、目つきが悪いと言うよりも本当の意味で何者にも動じない瞳を思わせる不感症ぶりが黒い瞳に宿った、ある意味得体の知れない見るからに不貞不貞ふてぶてしい男……


 ――折山おりやま 朔太郎さくたろう


 が立っていたのだった。


 第十六話「伽藍がらんの先触れ」前編 END

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