第186話「鉄の棺桶」前編
第十一話「
そしてそのまま、激戦は六時間以上にわたり継続されていた。
ワァァッ!ワァァッ!
その渦中で幾度も中央突破を試みる
ギャリィィン!ギギィィーーン!
「今だ!隊を開け!!」
ドドドドドッ!
ドドドドドッ!
新政・
ワァァッ!ワァァッ!
そして空いた空間には、後方で控えていた新たな二隊が詰め寄せて再び防壁となった。
「くっ……また最初からかっ!」
ワァァッ!ワァァッ!
「き、切が無いっ!」
「くそっ!返す返す……
中央突破による分断で敵軍後方の城を攻略、
「怯むな!浮き足立つな!敵とて無限に対応できる訳では無い、秩序を保って役目を果たす事のみ専念せよ!」
オオオオオオッ!
前衛部隊の指揮官である
お互いがお互いの陣形や意図を熟知してぶつかり合った以上は――
そして――
「と、突破ぁっ!!」
地味であっても実を重ね続けた労はその先の結果に繋がる!
「敵陣突破!つ、遂に……」
開戦から”十三度目の突撃”にして!
六時間を越える死闘の末にて!
ドドドドドッ!ドドドドドッ!
ワァァッ!ワァァッ!
遂に新政・
ドドドドドッ!ドドドドドッ!
「やるぞ!おおっ!」
「このまま一気に!」
ドドドドド…………!?
やっとの思いで切り開いた先に!
「……あれは」
恐らく蹴散らした左右どちらかの部隊に潜んでいたのだろう。
だからこそ群影は少数であり、それは新たな障壁というよりも、城へと開いた空間にポツリと取り残されたかの様にさえ見えた。
――騎馬部隊……数は
――無論、陣形の不手際などでなく”
――それを考慮してもこの程度なら……
「敵は少数だ、このまま突破する!!」
この時の
――新たな敵部隊の出現、だが数は数百騎程度
――
判断は間違っていない。が、しかし……
「
俺は馬上にて、思わず自らの太ももを叩いて
前方に立ちはだかっていた新政・
その時、比較的距離のある後方の第三部隊内に居た
――また”違う
城前に展開された六部隊を左右二列三段に配置した
目的は無論、我が
だが我が
十を越える突撃にして六時間以上にも及ぶ不休の乱戦の中……
それも物理的な損失を抑え、兵士達の士気を高く維持し続けた
だがそれさえも!
その突破さえもを!見据えていたからこその”あの騎馬部隊”の投入だ!
一見して難無く蹴散らせそうな、あの少数騎馬部隊が俺には
―― ”
そう確信した時には既に……
「ちっ!」
この時点で戦場を広く見渡せば――
左右、後方と我が
これまで同じ動作を繰り返していたかのように見えていた新政・
――前方の突撃突破に意識を集中しすぎた!
――いや!
包囲を狙われているのも十分承知の上で、それより先に突破すれば!と……
こちらの作戦目標を逆手に取られて”あんな罠”を……
――”
「突撃ぃっ!!」
――数は数百騎程度……
――
判断は真っ当で間違い無い!間違い無いんだ……
――が!”アレ”は!!
ドドドドドッ!ドドドドドッ!
その突撃が、この大戦の終結へ向けた強烈な一撃になると信じて疑わない馬群が、砂埃を巻き上げ少数部隊に襲いかかる!
ドドドドドッ!ドドドドドッ!
後背に無防備な主城を残した状況で新政・
そう、まるで”
ヒヒッ!ヒヒィィーン!!
「なっ!?」
勢い込んで突撃していた
その一団の馬達が一斉に
ブルルルッ!
ヒッ!ヒヒィィンッ!
「わっ!?」
ドサッ!
「こ、この!なんでっ!」
ドサリ!
兵士達の意志に反して乗馬は皆一様に停止し、その場で勢いよく垂直になって操者を地べたに振り落としていた!
「変わらず……化物染みた
目を懲らさずともこの距離でもビリビリと伝わる強者の波動!
我が軍の突撃を
”あの時”の様に、騎馬部隊の最前に仁王立つ
「……」
そして、俺よりも間近でそれに遭遇した
たった独りの男の登場、”動”から急転して”静”に移行した戦場に……
ザザザァァァァ
不意に吹き抜けた一陣の風が、先ほどまでの馬群が巻き起こした砂埃をさらに高く巻き上げ一帯の視界を奪う。
ブゥオォォォーーーーン!!
「なっ!?」
「うっ!?」
「いざ……」
しっかりとした鼻筋の下にある大きめの口が、まるで童のように楽しみを抑えきれない笑みを浮かべる。
――そして
「いざ、
鍛え抜かれた”
第十一話「
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