第178話「盤天の魔女」中編
第三話「盤天の魔女」中編
「うらうらうらぁぁーー!!きゃはは!どんどん斬り込んで、鈴木
三つ編みを
「うわっ!」「この女……つよ……」「ぎゃひ!」
いかにも
彼女と彼女の”剣風隊”が通り過ぎると同時にそこは赤に染まり、
「どっかぁぁん!あはははっ!」
その後には屍が山となって残る。
――そしてもう一つの新政・
「落ち着いて命令実行!敵の奇襲部隊は
後ろ髪をアップに
「そこも、
馬上から
彼女は素手による古流組み打ち術を極めた闘士で、
ワァァッ!
ワァァッ!
「そろそろ……頃合いさね」
そしてその更に二隊の後方にて――
全体の戦況を注視していた
「そろそろ行くよ、これが”
――まさに突入寸前!
「っ!?て、停止っ!止まれっ!止まるんだよっ!!」
――だが、それもそのはず……
「あれれ……?どうなってるんだにゃぁ?」
勢いのままに斬り廻っていた
「くっ!もっと的確に動かないと……う、動けない……かな!?」
同じく
「うっ……こっちは駄目です!?
「前方!敵陣が厚すぎますっ!と、
方向転換しては先回りされるように陣を厚くされ、また移動すればそこにまた厚き
「
「
どこに移動しても阻まれ、
前後左右から押しつぶされる!!
どこに移動しても……
――
まるでそれは
「うにゃぁぁ!!頭がこんがらがるぅぅっ!!」
「な!?なにがどうなってるの……かなっ!!」
三つ編みを振り乱し奇声を上げる
勿論、これは偶然の産物では無い。
誘い込んだ敵を内包し、そしてそのまま陣形を自在に変化させ、押しつぶす……
――陣中の敵を死の迷宮に
「な、なんだい?ありゃぁ……あれじゃまるで巨大な
その見た目通り、相手を囲い込み、
陣外から異変を察知し、トドメの突入を間一髪で
――
「姫様、敵前衛部隊の動きが……」
新政・
敵軍前衛部隊に
「……」
黒髪の
――ロイ・デ・シュヴァリエ
それは二つの陣営に別れた白と黒の多様な駒を駆使して優劣を競う盤面
縦十六マス、横十六マスの戦場で、
簡単に言うと
「……」
変わらず盤面を見つめる美姫。
腰まで届く降ろされた緑の黒髪は緩やかにウェーブがかかって輝き、白く透き通った陶器の肌と対照的な
彼女は、
大国である
そして、その
若干”十八歳”にして新政・
「……」
美しい刺繍で彩られた
そう――
戦争に必要な情報は……
地形、敵味方の陣形に始まり、そこから予測できる両陣営の動きまで、全ては智神の如き彼女の頭脳に収められ、それをロイ・デ・シュヴァリエの盤面に反映し展開していたのだ。
新政・
「……」「……」「……」
そして――
思考する
戦場
「
恐ろしいまでに
――コトリッ
銀縁眼鏡をかけた従者による再度の呼びかけに反応し、クリスタルの澄んだ盤面上に精巧な
「……そうね。”あれ”が
問いかけた銀縁フレーム眼鏡の……
どうやら大変に御満悦の様子である。
「……」
本来なら”なにを暢気な事を!”と諫言するのが家臣の勤めであろう。
だが、もう何年も付き従っている古参の
特にその暗黒色の
「し、しかし……
「アレは”もともと”そういうモノなのでしょう。
「も、もともと?……す、すみません」
だから、それ故に、彼女以外の者達の胸中が
それは天才
「そうよ、
「ふ、不完全!?……あり合わせで?……あの”
「
「…………し、信じられません」
「けれど現実だわ。この戦いを見越して、
「そこまで……」
”
――この二人は、どこまでも常人の予想する天才の範囲外なのだ……と
「それにしても、じっくりと仕込んだ自前の精鋭による陣形とはいえ、あの将の指揮は完璧だわ。流石は
「
「そうね、感心してばかりもいられないわ」
「ですが、この状況で下手に援軍を向かわせるとより混乱が……」
「……」
「
そこで薄く、ゆっくりと
「”外から”だけならそうでしょう。だから……」
――
一瞬、
「ま、まさか!?、姫様?こ、このために……最初から部隊を小隊に分けて、各部隊を配置して……そこまで
「
そして、
「備えるのは基本でしょう。私の意図していること、
「は、はい……」
主の意図を完全に理解して……
「人を呑み込む怪物退治という定番の神話なら、英雄はその体内から聖なる剣を用いて切り裂くと相場は決まっているわ。ふふ……」
そう言った
「し、承知致しました姫様、速やかにに
――
”
そういう冷たい深淵の輝きの
魔眼の姫は微笑む。
「ふふ、私の聖域……いいえ、神域で焦がれて
第三話「盤天の魔女」中編 END
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