第177話「借刀殺人」前編
第二話「
仰々しい
「”
岩石の如き
小国群がひとつ、
「はい、数キロ先……
足下に
「で、首尾はどうなんだ?」
報告を聞き終えた
「ふむ、そうですな……出世に欲深い者は得てして用心深い一面も併せ持ちます
不揃いに生えた
計算高い
「なんだぁ?じゃあ失敗かよ」
「”
「……」
「まぁ、あれですな、
そして、それを話す途中で察したのだろう
「そうか、あの”食わせ者”の鈴原……”大将”の思惑通りってか。見たとこ
求めていた回答を得た
その後は大きく頷く。
――つまり、
しかし、野心溢れる
その能力は全般的に高い!
そんな男を偽報に踊らせるのも中々困難であるが……
――”現在、
しかし、それでも用心深い
そこで今度は……
実際に
――この情報が真実で、
既に二陣営の軍は、
――こちらが虚報だ
現在、
今回は出世の機会を得られなかった
「
先ほど
「で、お前もこの先は、俺達に随伴して攻め込むのか?」
本心を隠すなんていう繊細さを持たない熊男は、その気にくわない相手である”
「ふむ、私は将軍と違い単純な戦には向いておりませんからなぁ……それに、この先も領王閣下から別の任務を任されておりますれば」
自身を好かぬと公言する相手にも何食わぬ顔で応対する
”単純な”と、わざわざ余計な”モノ”を付け足す辺り、少々の意趣返しは含めていたが……
「任務だと?」
「ふむ、”
「では”
最後にそう挨拶して去る
――ペコリ
同じように一礼してから続く
どうやら
「気に食わんが、鈴原……”大将”が選んだだけあってあの男、仕事は確かだな」
小さくなる背にはもう聞こえないだろう距離だが、
「さっきからずっと
そして自身の横……少し離れた位置で他人事のように、
最初からずっと無言で立っている女に、
「…………スミヨシはどうせぇ、”
長く艶やかな黒髪を後ろで束ねたポニーテール、
実は猛禽の如き視力を
「柄にも無く勤勉だな、大将が用意した
その情報を敵対関係の第三国に流し、
そして手薄になった城そのものを、
まさに”空き巣狙い”……
――
この場合、虎を巣よりおびき出す”豹”の役割は
まんまと巣を空にした”虎”は
そしてその隙を狙って防御が薄くなった”虎の子”つまり
さらに、さらに、意識が完全に城防衛に向いてしまった余裕のない城防衛軍の虚を突いて”空き巣狙い”
――”
と、
「いらないわぁ、鈍重なスミヨシの家来なんて」
ポニーテールの美女もまた、僅かな自身の手勢を引き連れてそこを去ったのだった。
「相変わらずマイペースな女だ……まぁいい、俺は大将の二手目の準備にかかるとするか」
――
―
それから丸二日……
守備する新政・
「チッ、城に残ってるのは精々二、三千ほどだろうに、往生際の悪い”
基本的には締まりの無いニヤけ
「裏切り者ぉぉ!!恥をしれぇえっ!」
男は襲いかかる兵士を難なく、
「ふん、しょうもない事を
ザシュゥッ!
斬って捨て、そして馬上から周りを確認する。
――ワァァッ!
――ワァァッ!
そこは戦場
「どんなもんだ?」
隣で槍を振り回し、群がる敵兵をはね除けていた部下に緊張感無く聞く男。
ドス!
「ぎゃっ!」
ドス!
「うわぁっ!」
ブン!
軽々と二人を突き殺してから穂先の血を払った武将は、
「そうですな……敵は必死の抵抗を見せていますが、それも長くは持ちますまい」
戦況を纏めて報告する。
聞いた男は”はぁ”と、ため息を吐いてから再び城を見上げた。
「どうせ落ちるんだ、余計な抵抗すんなよ……はぁ~
口調は粗雑でいまいちやる気が見えない男だが、
ニヤけ顔の”
大国、
「死ねぇっ!この変節漢!!」
「……」
ドシュゥ!
そんな間にも襲いかかる敵兵を軽くいなして斬り落とし、馬上の
「まぁだ、根に持ってんのかよ?
――この場合の”好き勝手”とは……戦勝時を含む狼藉などを指すのだろう
この
――が、
情勢を見て王太子である
それはひとえに自身の”利”のためだ。
そして今回も!敵対国との国境を守る領主という立場上、西の覇権を賭けた大戦に出られず、
新政・
「領土内の軍、基本兵権は領主に帰属するとはいえ……こんな勝手をしたからにはやっぱ、でっかい成果をみせつけないと、なぁ?」
その身に過剰な野望と欲望を溢れさせ、
「完全に
部下の問いかけに――
「いいねぇ、今度こそあの生意気な
ヒヒィィン!!
部下も呆れるような下品な事をサラリと口にして――
”
第二話「
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