奈落の麗姫(うるわしひめ)編
第175話「奈落の麗姫篇」プロローグ
第四部「
我が
第三軍は旧本拠地である
そして
三軍に別たれた進軍ルートだが、最終的に目指すのは新政・
「そろそろ出方を伺ってみるか?」
北の中継地を潰し、南の支城を潰す。
――しかる後に三方より敵本拠地を包囲して殲滅する!
援軍を遮断し、物流を止めるための奇襲と包囲戦、のはずだったのだが……
事もあろうか三方とも先回りされたうえに
――相手はあの”
こちらの意図をある程度看破されるとは考えていたが、これほど手の内を見透かされるとは流石に舌を巻くしかない。
とはいえ、こういう状況も想定済みだ。
「一足先に
その後方に
対する
古来から城攻めには三倍の兵、より安全を期すならば六倍の兵と云われるが……
名だたる堅城を相手にこの程度の数的優位は問題外だろう。
だが、戦術的には絶望的だが今回は状況が”それ”を可能にする!
俺も
城を用いた籠城戦は時間的に選択肢から除外される。
それは
つまり――
「結局最後はガチンコの
戦略的要因が戦術的選択肢を限定する!
俺はだからこそこの機会に出兵し、
「三方同時攻撃は阻止されましたが、残る二軍も引き続きここ
本陣で座した俺に、参謀であるアルトォーヌが進言してくる。
「まぁ定石だな、その通り……」
謎の怪人、
未だ
「……けど、
敵を良く識る俺はそう応えると、”二本”の足でしっかりと戦場を踏みしめて立ち上がった。
「
ここ最近の、もう癖になっていたのだろう……
すかさずアルトォーヌは補助のため俺を支えようとするが、俺は必要ないと笑ってみせる。
「もう大丈夫だって。あのお節介の”
約束通り、正統・
案の定、この義足は癖がある。
あれほど普通のにしろと要請していたのに、あの
――こんな
と、抗議の一つもしたいところだったが、俺には時間が無かったし、なにより……
ザシ!ザシ!
俺は失った右足に装着した鋼鉄の義足で二、三度大地を踏みしめる動作をする。
「
「……義足としては完璧なんだよなぁ、ああくそ!小憎らしい!!」
俺の突然の奇行に一瞬
「流石は
「……」
確かにアルトォーヌの言うとおり、ここまで完璧な義足を造れる技術者はいないだろう。
見た目も、動作も、在りし日の右足と全く遜色ない。
いや、遜色ないと言うより、この鋼鉄製の義足は……
「まぁいい……というか今は
俺は顔を引き締めて、白き参謀に言う。
「敵と交戦中である前衛部隊、
続けて出る俺の指示にアルトォーヌは頷き、直ぐさま伝令兵を呼び寄せて段取りを整えてゆく。
――
――取りあえずはこんな感じか……
――”
「……」
――いや、ないだろうな
お互いが矜恃を譲れない性分で、この経過は必定だったろう。
なら……
最愛の相手を害する事無く手に入れるには――
俺が
「……」
いいや、それでも彼女は矜恃を捨て惰性での生を良しとしないだろう。
――ったく……厄介な女に惚れてしまったものだ
俺は愚痴りながらも思う。
だが、それは俺も同じだ。
「悪いが、俺は
俺は独り呟くと鉄臭い戦場の天を仰いでいた。
――あの”
唯一つ、確実に”鈴原
「
思いに
――そうだ、始めてしまったからにはもう後には退けない!
俺は頷いて、そして右手を高々と掲げたのだった。
「
勇ましい俺の軍令と共に速やかに動き出す鈴原
その蹄の音を聞く俺の脳裏に、未練がましくも
――
第四部「
◆雑談
「近況報告」にですが第四部開始時点の勢力図イラスト、
あと、侵攻ルート入り拡大地図乗せてます!
作者自身がチマチマ作ったので拙い出来ですが、
全体像の把握にお役に立てたら幸いです。(^0^;)
小説のイメージがより鮮明になって楽しんで頂けたらいいなぁ。
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