第169話「Outbreak of War And Down of Despair」前編
第五十七話「Outbreak of War And Down of Despair」前編
――それは俺が十六の時だったろうか?
忽然と俺達二人の前に姿を現した謎の怪人。
両眼の部分だけ
「
「……」
そう説明する俺を
「……封印ね?その”覆面幼女”が現れ、
――鋭いなぁ、”覇王姫”
集めた情報例通りなら、確かに
そしてその時系列の矛盾に真っ先に食いつくところがこの女の……
「魔眼の異能はその宿主と共に育ち、そして”鍵を得た”時に開花して、後に熟した果実を収穫するかの如くに出現する”覆面の怪人”によって奪われる。その際に”魔眼の姫”は多大な代償を支払うことになると……」
俺は頷いて続ける。
序列一位、”黄金”の
序列四位、”
恐らく近い将来の死という代償だったろう。
そして新たな”
――つまり、多少の差違は在れど自身の”命”かそれに値する
「アルトの一件から学んだ貴方なりの考察ね」
”それが正解”だと言わんばかりに俺を見る
――ただ
――
今更だが、我が
「序列一位の”黄金”は、その所有者たる
――実際、
「それについても感謝しているわ。
俺と遜色ない身長に太ももがチラリと見える
少し癖のある燃えるような深紅の髪と勝ち気そうな抜きん出た美貌を誇る女が豊満な双房を押さえつける様に腕組みをした格好で壁にもたれ掛かり、
「ゆ、
詳細は不明だがアルトォーヌの体調はあれ以来、生気を取り戻して回復傾向だという。
「そうね……ふふ、でも
少しだけドギマギしてしまっている俺の心中を透かして見ているかのような
「……」
実際に超強力な実力の上に築かれた
どんな強敵にも正面から立ち向かい、完膚なきまでに討ち滅ぼして進んできただろう
不意に見てしまった気弱な女性の部分に、俺もつい……
「命あってのなんとかだろ。最終的に満足いく結果が得られれば全て良し!!なんたって
と、そんな事とは無縁だったろう相手に
「……そう、ふふ……そうね。それにしても、
思わずそうした行動に出てしまった俺に、
――だって……なぁ?
多分、強さの象徴、その権化たる覇王姫に対する他の者達の反応には無かった俺の行動に彼女自身が驚いたのだろうが……
「確かに、”みっともない英雄様”のお言葉には説得力があるわ」
なんだか心持ち嬉しそうに毒のあるお返しをする美女。
「う……まぁ、そんな感じだ」
俺は変な気恥ずかしさで意味不明な反応をしてしまうが……
ペリカの
「それで?序列二位、
話も戻り、核心を突いてくるペリカに俺は直ぐに顔を引き締める。
――そう、俺じゃ無い
”負の代償”……呪い対策の手段として
――つまり
――実際に右足に呪いを受けた結果から推測すれば、最悪の場合……
「そうだ。だから
”
「けどな、よくよく考えてみるとおかしいだろう?
――そう、他の”命に関わる代償”と比べると差がありすぎる
「何度か体験したことがあるが、
「鍵を得た魔眼は”唯の異能”から”神の権能”へ変貌する。そして奪われてもその所持者に元の異能程度の能力は残る……つまり
――そう、流石に鋭いな、ペリカ・ルシアノ=ニトゥ
深く頷いた俺は、間抜けにも最近気づいた真実を口にしていた。
「
「……」
覇王姫、ペリカ・ルシアノ=ニトゥの
――間抜けな話だ
――
「つまり……
――そう、俺は”身代わり”だ
「ただ”
俺は両手の平を天井に向けてわざと
――ことさら……
”私と貴方は”あの時から呪われたまま、
”お互いがお互いの所有物。生も死も、愛憎も、この身に受けた呪いさえも分かち合う存在……私はそれに満足してる”
――胸が締め付けられるくらい甘く切ない香りと供に……
俺に身を寄せた
そして、美しい
「…………」
――なんとも……格好がつかない
――このダメージは幾多の戦場にも無かったものだ
「
「あ、ああ、つまりな、
「あの暗黒姫が
――それを言うなら
と、その理屈ならお前の炎と正反対は同じと一瞬、思ったが……
それに
「だ・か・らぁ、
――!?
「あ、ああ……いや」
「?」
今日は特に度々意識がお留守になる俺に対し不思議そうな顔をする覇王姫、俺は慌てて取り繕う。
「た、確かに
心中の想いをかき消すように出た俺の言葉に、ペリカは”はっ!”と紅蓮の
「なるほど……”
俺はとっさの返しにしては中々だったと胸をなで下ろし、”それも”一つの見方だと自分の言葉を再認する。
そう、大慈悲の象徴たる
地獄の裁判官。
無情の裁定者
冷徹なる策士、”
――”大多数の者達”には……
「それで?
ペリカもその解釈にはかなり納得したのだろう、興味は既にその能力に向いていた。
「そうだな、俺も何度か体験しているが……間合い、いや時間……いいやちょっと違うな、つまり」
素人の
具体的には俺の懐に不意に入り込み、そして誘惑するという体験を思い出しながら俺は答える。
「権能簒奪後の残滓的な異能でも
「それは……大した事ではなくて?」
一瞬、絶句した覇王姫は、呆れたように聞き返す。
――確かに、その僅かな一瞬で相手を屠ることが出来るとも考えられるが……
「
そしてその疑問に補足を入れる俺を眺めていた
「確かに……けれど、それにしても
「……」
俺は、超弩級な重兵器並の怪力と轟炎を従えるお前がそれを言うか!?とも思ったが……
我が身可愛さで、それは言わないでおいた。
「なんにしろ、戦闘に特化した
「
俺は頷く。
「五人の魔眼姫のうち四人まで奪わてしまった。残りは一人……」
――残るは
そして、魔眼集めが完了した時にどういう最悪が起こるのか……
見当もつかないが、決して吉事ではないだろう。
「けれどそれは取りあえず杞憂ではないかしら?あの巫女姫の魔眼は一応守れたのでしょう?暗黒姫もまさか怪人に協力するわけでも無し」
――確かにそうだ
世界の……人類の敵であろう
「そうだな、取りあえずは」
最終的に巫女姫を俺が保護するにしても、
彼女の身柄は現在、新政・
そして
しかし人類共通の敵である邪眼魔獣に対する考えは同じだろうから、その点は暫くの猶予があるはずだ。
戦国の世で在ろうと破滅を呼ぶ”人外”……
それが
無論、
相容れる王はいないだろうと、信じて疑う余地の無い
第五十七話「Outbreak of War And Down of Despair」前編 END
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