第167話「盟友」
第五十五話「盟友」
「なんだよ、ジロジロと気色の悪い……」
玉座に居られる
「いや、なんていうかな、色々と」
そしてその異国の男……
我が
もちろん
無礼を承知で言うなら”
「……」
――そう!もうキュンキュンしてしまうのっ!!
母性本能を
その凜々しさと男らしさの中に微妙にトッピングされる少年のはにかみというかっ!?
――そうそうっ!!
格好良さと愛らしさの絶妙なコラボレーションというっ!
――そうそうそうそうっ!!
私の
――あ!?
う……うぅ……ごほん、
まぁ、今回それを引き出したこの
その理由はこの男自身と言うより彼の主君、
”
――そう、私がこの世で一番嫌いな”
――新政・
「ニヤニヤと、俺の足が片方になったのがそんなに嬉しいのかよ」
「ばぁか、他人様の不幸を喜ぶためにわざわざ
「ちっ……」
そのやり取りで再びばつが悪そうにそっぽを向く
――きゃーーっっ!!
――あ!?
う……うぅ……ごほん、ごほん。
つまり、
――そう、あるのよっ!!
だから諸々の事情であまり好きじゃないこの男もその存在価値を認めるって言うか……
「それこそ暇人だろうが?わざわざ嫌み言いに来たのかよ、この
――っ!?
愛しい御方の傍らに控え、少々”心ここに在らず”であった私、鈴原
「は、はい!?え……で、ですが」
そして私としたことが、そのお言葉の真意を測りかね、思わず行動に躊躇してしまう。
「おいおい鈴原、俺は超重要な外交案件で来たんだぞ。そういう悪質な冗談はよせよ」
そしてその私に助け船を出すように、気さくな
ごほん、
「ちっ、なんだよ、なら最初からそう言え。で?」
勿論、天下一の賢人たる私の
ただ、この
「ったく、相変わらず”ひねくれ者”だな、鈴原」
「
――二人の応酬は、ぱっと見は巫山戯ていて雑に見えるけど……
双方の瞳は見る見る真剣味が増し、そして玉座の間に漂う空気も張り詰め出す。
「……」
「……」
暫し無言で見つめ合う二人。
「…………はぁ」
二人……いえ、
――こういう真剣なお顔も!とても絵になる私の
「……」
そして今更だけど、
玉座に座する
――うう、忌々しいけどその反応は正義だ
私は張り詰め出す緊張感の中で、不謹慎にもそんなことを考えていた。
「それでだな、鈴原」
――!
そして、正統・
「鈴原、お前……」
――
現在各国の戦況、今後の
「お前、ちょっとその軍服を脱げよ」
「…………………………は?」
――高まって……??
「だ・か・らぁ、その軍服を……そうだ、下だけで
「下の方が良くないだろっ!?いや、なんで俺が公開ストリップを……」
思わず
「??」
私は――
「な……なな!?」
――どういうことっ!?
――ってええ!!もしかしてっ!?
――もしかしなくてもっ!?そんな魅惑的な展開がっ!?
「ほ、
――じゃなかった!!
「
私も慌てて異国の使者を
「ああ?大丈夫、大丈夫、痛くしないから。目を瞑っている間にすぐ終わるって」
――ぶっ!!
――それって!?それって!?
何故かドキドキ跳ねる私の心臓!
そしてそれらを一切無視して、正統・
「おまっ!?ちょっと!正気かよっ!!
「え?え?でも……もったいな……」
本来なら有無を言わず従うはずの愛しい主君のお言葉にも、私は何故か直ぐに体が反応しない。
「ゆ、
「んん……でも、なんか殺気ないよ?」
しかし空気を理解しない馬鹿娘はキョトンとしたままだ。
「まぁ、野良犬に噛まれたとでも思って諦めろ鈴原、優しくしてやるから……」
「ちょっ!!ちょぉぉっとぉぉっ!!た、確かに
ババッ!
「あ、おい!!」
ガチャガチャ
「やめ!おお!!……………………あ」
――きゃぁぁっ!!そんな!でも、ああ
両手で顔を覆いつつも私の手の隙間からはしっかりと愛しい
――
―
――閑話休題
「そんな拗ねた顔するなって、ちょっとした冗談だろう?」
さらに今し方、自ら詳細に記したメモを歪みのないレンズの向こうにある左目で眺める。
「さ、採寸なら採寸と言えよ、この
ブスッと拗ねた表情で玉座に座り直す
――ああ、こういう少年の様な拗ねたお顔も素敵っ!!
「はは、まあ楽しみにして待ってろよ、本物よりずっと使い勝手の良い足を用意してやるから」
この
独眼竜が率いる”
戦国世界では近代国家世界で確立されている既存の科学技術は殆ど成立しないのが常識なのに……
確立されている”既存の技術”でなければ戦国世界でも存在できるはずだと、そういう
唯一の女のため”神の
――そんな人物が
――その……ぬ、脱がし……
――脱がし……下着に……あぁ眼福……じゃなくて
と、
その行動の意味は、右足を失った
その行為に多少の”戯れ心”が混ざり合っての行動だったみたいだけど……
「ち、この
「……」
私は先ほどまでの光景をそっと心の奥に仕舞い、そして見えない角度で密かに親指を立てる。
――こ、今回だけは
「本物の右足よりねぇ?お前のけったいな”
「…………」
「いや!返事しろよ!この
――私が思うにこの二人は……
もちろん、
――そういうのを別にして雰囲気が……
「まぁいい、それより流石にもうそろそろ本題に入れよ、正統・
――っ!
自らの考えに浸っていた私は、
「…………」
その時既に、
澄んだレンズの向こうにある左目も、作り物の右目以上の冷たさに変わっていた。
「
「近いうちに俺は
――!
そして……とうとう、
「
そう、言ってしまわれた。
――
「我が
「
そこまでは黙って聞いていた
「なんだ?正統・
そして、その先を予測済みである我が主は、玉座に頬杖をついて不適に笑っていた。
「貴公には長年の我らが宿敵、逆賊、
その
「気にするな独眼竜、これも戦国の常だ」
それを受ける
「そうか、なら……」
――
敵として相対し打ち倒さなければならない存在が多すぎる。
――
私はぎゅっと拳を握る。
――
私は胸が締め付けられる思いをこらえ、そして私が唯一生涯をかけてお仕えする主君の横で顔をあげた。
――ううん!だからこそ!私は”あの時”からずっとこの場所にいるの!
「ああ、遠慮するな」
「我が正統・
「……」
予期出来ていても改めて言葉にされると、やはりピリリと緊張はさらに高まり、その後に続くだろう宣戦布告の言葉に
――新政・
「……」
「……」
――”
「そして我が正統・
――
―
「は?」
「え?えええっ!」
第五十五話「盟友」 END
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