第162話「因縁生起(フェイト)」中編
第四十九話「
前髪を横に流した肩までのミディアムヘア、
「そのことですが……少々問題が」
「別件の対応で遅れて申し訳ありません、それでその……」
――なるほど。ざっと見、肉体派ばかりに偏った
俺は納得し、彼女の言葉の続きを待った。
「新政・
――
俺はその名と
”
そしてこのタイミングで介入してきたとなると……
「戦国世界側での我ら
最後まで聞かずとも解るという俺の言葉に、
――確かに
それどころか新政・
元を正せばこの一連の騒動の発端は、
”
――だがしかし……
結果、”
半分は事は成り、半分は潰えた。
――痛み分けというか、結局、俺の一人負けというか……
そんな状況の中で
我が
――
「…………」
――
彼女の周到な策による結末に俺は唸るしかない。
俺の嫌がらせ的思考を逆手に取った愛しの暗黒の美姫の華麗なる
あの時、ほんの僅かに眉を
「……わかった」
「い、良いんですかっ!?」
アッサリ引き下がる俺に、
それもそうだろう、利用されるだけされて放り出されるわけだから。
――しかし
俺は表向き何食わぬ顔で続ける。
「それより、週明けにはまた
鈴原
いや、ちっとも自慢にもならないけど……
けどだっ!
それだけに俺は動じない!
今回はこれで済ますつもりもない!
――そう、答え合わせは未だ済んでいないのだ!!
「それは……わ、解りました。それで陛下はこれから?」
若干戸惑っている
――これから?
――取りあえず……俺は
「ああ、まだ残ってる雑務があってな」
そう、雑務だ。
「……ふっ」
俺には”キッチリ”と代価を支払わす相手が居るのだ!
「そ、そうですか……」
俺の意味在りげな笑みが気味悪かったのか、
――やれやれ、表面に負の感情が漏れる辺り、俺もまだまだだなぁ
「じゃあ、俺とアルトォーヌはこれにて……」
そして、自身の未熟さを自嘲しながらも俺はこの場を後にしようとするが、
――!?
直後に右足に激痛が走った!!
「くっ!」
俺はたまらず片膝を床に着く。
「
「へ、陛下!?」
異変に驚く
「さ、
古傷を抱えて
……Zu……ZuZo……ZoZoooooo……
――な、なんだ!?この感覚!!
だが俺は首筋に感じる悪寒とも言うべき感覚に自分どころで無くて、その強烈な悪寒の元凶だろう気配を意識的に追っていた!
尋常ならざる殺気が二つ……
一つは入り口付近を塞ぐように。
一つは……
――しまっ!
その殺気が目的を察し、俺は止めようと足に力を入れるが激痛に折れた俺の右足は直ぐには従わないっ!
ブワッ!!
――視界を過る
それは”宗主の間”最奥へと座する少女へと襲いかかる!!
――くそっ!間に合わないっ!!
俺の右足……
それが急激に疼き!そしてその元凶らしき敵の狙いは序列五位の巫女姫。
ならば予測出来る敵は……
――くっ!油断だ!!
思い込み故に俺は取り返しの付かない失態を……
――――ガシィィィィィィィィィィッ!
「!?」
だがその俺の失態を!
誰もが虚を突かれた状況の強烈無比な敵の一撃を!
「ちっ!重いな」
いつの間にか強引に間へ割り込んだ”無愛想男”が、顔面の前に交差させた腕の肘部分でしっかりと受け止めていた!
――お、
「それに大概、
ズッ!
――バシュ!
そしてその強烈な拳の一撃を素手で受け止めた男は、その威力を両肘で下方へと受け流し、そして無防備になった敵へと蹴りを放つ!
「……」
ヒュッ
――――トン
鋭い蹴り!
――やはり俺の直感通り、この
俺はその一部始終を見て改めて確信したが……
飛び退いた方、一つの影の正体は……
「ぺ、ペリカ!?」
俺に寄り添おうとしていた白き才女が驚きのあまり固まっていた。
情熱的な
深紅の髪を燃えさかる炎の如きに
「……」
竹馬の友たるアルトォーヌにも反応せず無言で拳を構える美女は、
この圧倒的な
――そして、もうひとつの影は……
入り口付近にて微動だにせず
「ゆき……しろ」
白磁のようなきめ細かい白い肌、それを少し紅葉させた頬と控えめな桜色の唇。
腰までありそうな輝くプラチナブロンドをひとつの三つ編みにまとめて肩から垂らし、
彼女の輝く銀河を再現したような
第四十九話「
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