第161話「不倶戴天」後編
第四十八話「不倶戴天」後編
「おお、お帰り
――この男は……
刀剣を握っている時はまるで殺人鬼を彷彿させる冷酷さであるのに、普段はこの妙な気さくさという……
ギャップ萌えでも狙っているのか?と疑わせる変貌ぶりだ。
「ああ、一応、話は通った。で……」
おっと、今は"
現在は行動を共にしているのだから早めに状況を報告しておこうと、俺は
「はいはい、
いやいや、他国の王たる俺に対してもどうかと思うが……
”
――と言っても本質は
俺は中々の曲者であるだろう
――この機会により詳細な情報を得られると良いが……
魔眼の姫、序列五位である
「……」
そして数歩……
軽薄男の前から車の方へ移動する途中で、先ほどから無言で
「……」
「……」
無言で向けてくる視線。
それは決して穏やかなものでは無いと
「…………なんだ?」
俺はつい我慢できなくなり、気がつくと何か含むところが在り在りな
「別に」
「それが”別に”って視線かよ?言いたいことがあるなら……」
予想通り”
少々
――俺はどうやら
今更ながらそう事故分析する俺。
「なら聞くが……
――っ!?
そして要らぬ所に自ら首を突っ込んでしまった俺は……
返ってきた言葉に思わず息を飲む!
「別にな、
「……」
そんな俺に構わず淡々と、しかし何処か棘を仕込んだ言葉を投げる相手に俺は、飲んだ息を吐き出せずにただ男を見据えていた。
――
だがそれは、絶妙に俺の確信を突いていた。
――なんだ……
数日しか行動を共にしていないが、意外にも
と言っても策士とかそういう類いとはまた違う。
”地頭の良さ”それも勿論あるだろうが……
「…………」
――くっ!……なんかやりにくい男だ
「まぁまぁ、
無言で
――僕たちも暫く
そして俺に聞こえないようにするには雑な囁きで
「……だろうな、俺は
受けて、そんな事は解っているとばかりに
「……」
――
理由は特に無い……が!
「ああそうだっ!!
多分、
「
俺はこの時点で初耳の情報に
「あ……ええと、戦闘目的じゃ無くて
実はあの時、
その時の出来事だろうが……
――たく!”報・連・相”は基本だろうがっ!!
「
俺は色々と文句を言いたいが、とりあえずそれらは飲み込んで
「そうそう!でも”美”だよ!美少女剣士っ!その
――いや、俺が聞きたいのは”
「……って?盲目の剣士だと?」
軽薄男の下らない感想に思わず聞き流してしまうところだったが、かなり興味がそそられる内容もあった。
――盲目……目隠し……目……瞳……魔眼の姫と関係が?
一瞬、
「あれ?興味ある?あるある!王様!!はは、そう美少女だねアレは!両腰に五本も剣を下げてたけど、それよりもあの綺麗な黒髪と……」
――”五本の剣?”
またもや耳に飛び込む特異な特徴に俺は更に興味をそそられるが……
――
目前の男の軽薄さは半分は演技だと分析していた俺の考えは少々グラついていた。
――そして
「……?」
もう一人、俺の視界の先に予想外の行動を取る男の姿があった。
「……」
少し離れた位置で、既に去ったはずの”ぶっきらぼう男”の足が
――なんだ?
「あ、
「おい!なにが”僕たち”だっ!?俺を
立ち止まった”ぶっきらぼう男”から冷ややかな視線を感じた俺は、慌てて否定するが……
「またまたぁ?結構”好き者”のくせにぃー!
「うっ!?」
――な、何気に詳しいな!?この軟派剣士!!
てか、後半は完全に……いや、半分……とにかく
思わず反論の言葉に詰まる俺に、向こうから更なる冷たい視線が向けられて――
「…………あのな、王覇のなんちゃら」
「うっ!」
――聞きたくない!ききたくなぁーーい!!
俺はなんだかこの
ならばこそ!
ならばこそ!この男にだけは正論で説教されるのだけは絶対に看過出来んのだっ!
人目を
奴から俺に投げられる説教はどんな類いかまでわからんが……
――”くだらねぇ”
出だしは間違いなく、
「……うぅ」
「あのな、王覇のなんちゃら……」
そしてそんな俺には構わず、”ぶっきらぼう男”こと
「アレは……多少、面倒くさい」
「……」
――は?……え、ええと?……なんだそりゃ?
俺は両耳を抑えたまま目をパチクリと見開いていた。
――てっきり
俺の予測は完全に外れたのだった。
第四十八話「不倶戴天」後編 END
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