第157話「轟刃乱舞」
第四十四話「
明け方、
「これは……どうしたことだ?」
「
夜陰と濃霧に紛れ背後から奇襲をかけるため、細心の注意を図りつつ隠密行動にて辿り着いた
「この状況は……」
オオオオオオォォッ!!
――!?
反対側の霧中から
「我が名は
呆然としていた
「お?おお!?待たれよ!!待つのだ
「ぬ!?なに!!き、貴殿は
ヒィィーーン!!
そしてその声の主を視界に収めた将は慌てて手綱を引き、乗馬は砂煙を巻き上げてその場に
――
「やはり……
――
家督を継ぐ身でなかった事から幼少時に
「これは……どうしたことだ?
完全に馬を止め、そして自らが率いてきた左軍も停止させた
「あの暗黒の美姫、”
――そう、
新政・
自分達
――
黒仮面の軍師が彼女の策を看破したのでは無く、わざと濃霧の情報を流して、そしてあの
「……」
「兎に角……早急に下山致しましょう」
――
―
――
「慌てることはないっ!!霧中の遭遇戦は敵も同じだ!所持する兵力は拮抗しているのだ、落ち着いて隊列を保持せ……」
「うわぁぁーー!!」
「ぎゃぁぁーー!!」
「ぬぅぅっ!!」
――
だが、未だ霧が晴れきらぬ悪視界の中で同兵力であるはずの趨勢は、新政・
突然目の前に現れた敵軍に慌てふためく
「ぬぅぅっ!!」
――そうだ!これは遭遇戦などという偶然の産物では無い!!
計算され尽くした、新政・
「うわぁぁーー!!」
「ぎゃぁぁーー!!」
――そして、戦闘準備以上に差を付けたのはその戦術……
ダダダッ!ダダダッ!
ギギィィーーン!!
「”
「ぎゃぁぁーー!!」
「わぁぁ!!」
密集して動けず逆走にて同士討ちする
軽微な鎧を着込んだ女騎士が駆る騎馬隊は
「予定の三筋!それで我が隊は離脱するわ!」
背筋がスッと伸びて凜とした女騎士は、簡易的な金属製の
防御を極限まで抑えた速度のみを追求し突破力に特化した
「下がるわ、後は任せたわよ、
”
――そして
「はぁぁい、どっかぁぁんっ!!」
ギィィィーーン!
「ぎゃぁぁ!!」
ズバァァッ!!
「ひぃぃっ!」
ヒュヒュ、ヒュオン……
キィィン!ギャリィィン!!
虚空を暴れ狂う白刃!そして強烈な火花の数々が乱れ咲いては散り去って消える!
ザスゥゥ!
「がはぁっ!」
右に左にと廻りを取り囲んだ兵士達を千切っては斬り捨て、千切っては斬り捨てる三つ編みの女剣士が堂々と馬にて乗り着けた。
「おーけー!おーけー!全部この
戦場只中に在っても緊張感の欠けた、飄々とした雰囲気の三つ編みの女剣士もまた”
彼女の性格通り大雑把にして奔放な剣技は、一度”
――狂剣の
「どっせーーい!」
ザシュウゥゥ!!
「ぎゃぁぁぁ!」
「あはっ!斬れてるねぇ、のってるねぇ!」
「あ……と、もうかにゃ?はぁぁい、じゃぁバイビー!」
そしてその名の如く、気ままな剣風にて散々にその場を血に染め、あっけらかんと撤収する
「くっ!立て直すには被害が出すぎたか、ならば負傷兵は捨て置いて……」
「戦意の無い者は捨て置いて構いません!そこを一気に越えて中央へ押し寄せるのです!」
キラリと銀縁フレームの眼鏡を光らせた美女、
「ぎゃっ!」
「く!しま……」
反転しようとした隊は直ぐには立ち直れず、追走する長槍の
「なんの!敵は少数だぁっ!は、反撃の体勢を……」
ダダダッ……
――!?
だがそれに対処しようとした
ドドォォーーン!!
「ぎゃぁぁぁ!!」
「うわぁぁ!!」
そしてその背を呆然と見送った、肩すかし状態の
「
新たな小部隊を率いるのは、
「覚悟を決めた鼠の必死と対峙せず……」
ドドドドドドッ!!
ザシュ!
「ぎゃっ!」
ドスッ!
「うぎゃぁ!」
同じく数百の部隊で
「……慢心の敵を撃つ、打つ、討つ!!」
このように、突如現れては大胆に斬り込んで波が引くように消える。
混乱の
当初の目論見では、地形が小細工の効かぬ草原だからと……
対して――
新政・
――濃霧による悪い視界と、遭遇戦による混乱は大軍にとっては致命的である!
一旦浮き足立った大軍は立て直すのも容易ではないのだ。
そこへ奇襲を仕掛けた新政・
織り込み済みの状況であるが故の、”悪条件下”でも指揮の行き渡る少数部隊編制。
そして、その
「はい、では私達の出番です。慌てずに、敵はもう組織立った動きは出来ていませんから、一定の距離を保ちつつ正確に射る事のみ考えましょう!」
彼女は自らも二丁拳銃の如き構えで、馬上から両手にある若干小型の西洋風”
バシュッ!バシュッ!!
「ぎゃっ!」
「ぐわっ!」
同時に放たれた矢は見事に二人の兵士の眉間を貫いて射落とした。
――”
当然、彼女もまた、
「ぐ……ぬぬぬ」
「て、撤退だ……どこでも良い、城の一つに……
だが、その判断は少しばかり遅かった。
その時既に状況は――
「夜盲症の巨人が懐に舞い込んでは一撃を放つ小蝙蝠の群れ……そりゃあ堪らないだろうさ」
視力を失った巨人は、反撃どころか足元さえ
つまりは、悪条件下で兵力集中させたばかりにどうにも動けぬ二万の
――そして、そこへ闇目の効く蝙蝠の群れの襲来……
つまりは、新政・
統率と機動力に重点を傾倒させた小部隊の攻撃は、その規模から一つ一つは小さな戦果に過ぎない。
しかし、たとえそれが巨人にとって小さな”
現状で回避する術を見いだせない巨人にとってそれは、幾重にも重なりあって蓄積され、連携され、
「とどのつまりは、絶対不可避に巡る輪の
占拠している城塞群の方へと、退却の兆しを見せる
――”
彼女と彼女が率いる
「…………”
そして、その対極から
煌めく紫電の刀身、愛刀”
第四十四話「
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