第155話「焔の闘姫神」前編
第四十二話「
「流石は”
「……」
”敵ながら天晴れ”だと称える将官の言葉に、燃えるように紅い
――ガシャリ!!
表面積の殆どがボコボコに変形してしまった鋼鉄製の
「閣下の剣をっ!”
直ちに取り巻きの兵士達は慌ただしく動き、今し方打ち捨てられた武具と同型の武具を持って走り寄る。
「いやはや、それにしても覇王閣下が剣の扱いも
大の男である兵士が二人がかりで赤毛の美女が右肩に巨大な
「……」
装着する間中は無言である赤毛の美女、
その
通常を遙かに凌駕する巨大さと
そう、”だった”と過去形なのは……
現在の“覇者の拳”が表面は、ボコボコに凹み、特に拳に近い部分は大きく変形している。
見るからに頑強そうな
――
――
武力も一軍の将としての器も、また軍略家としても他の追随を許さない名将中の名将として”
そして現在は……
――
「それで覇王閣下、
赤毛の美女が白い肌に対照的な、右肩から指先までをすっかり覆う
真新しく猛々しい”
「
情熱的な
気高くも豪奢な姫将を形容せし唯一の言葉は、
――”戦場に燃え咲く一輪の
「なるほど、
――革新の戦王としての彼女は”覇王姫”
――戦場で畏怖されし御名は”紅蓮の
戦国最強の一角、
少し癖のある燃えるような深紅の髪は、戦場を駆る風に煽られ揺らめく様は燃えさかる炎の様に!
透き通る肌に映える鮮烈な石榴の唇は、勝ち気な微笑みを
「あまり時をかけるほどの”お
――高く高く……
巨大で、激しく、雄雄しい造形の覇者の拳!!
「精強にして信愛なる
――ただ
――
――
――彼女こそが覇王の冠を頂く
ブワッ!!
目の覚めるような深紅の長い髪を風に
――
密かに結託し、
ペリカの英断は正に乾坤一擲の一手だったのだ。
何しろ防戦においては”頑強なる鉄門”と評され、”
この機に乗じ、長年攻めあぐねていた
そして即断即決、即実行!
こうなると英雄たる資質を備えた”覇王姫”、ペリカ・ルシアノ=ニトゥの行動は電光石火そのものだ!
対して守るは――
彼は義父に劣らぬ武勇を誇る猛将にして現在は
「どうだ、”紅蓮の
鎧支度を済ませた立派な風貌の将が聞く。
「は!破竹の勢いにて、間を置かず城門へ至るかと……」
「ふむ……」
部下の応えを聞き、その将、
考える仕草も中々に堂々とした風格のある……
上背も肩幅もあり、ガッチリとした偉丈夫でありながらどこか繊細さも兼ね備えた好男子。
三十半ばといった男盛りの益荒男は、新参で在りながらも
知略、軍略は勿論、個武で百武を一蹴し、千軍を率いては万軍を打ち破る!
数多の戦果から”
「殿の軍が戻るのにはまだ数日かかるか……ならば
僅かな思案後、
「そ、それは……城門を死守せよと下知した
家臣のひとりが皆の心中を代表し、言いにくそうに口にする。
「切り捨て?」
だがそれを受けた
「異な事を言うな、戦場で大を生かすために小を用いるのは常軌で在る。況してや槍無双を喧伝する
「……」
「……」
譜代の臣までもをここまでアッサリと割り切って捨て、そして淀みなく策を実行できるどこか常人離れしたところ……
それは軍を率いる将としてはある意味では才能で在ろうが、人情としては受け入れ難いのも事実。
戦とは勝たねばならぬ。
そして勝つための犠牲は必要経費で真っ当な代価。
優秀故に勝敗に
そしてある意味、
「
だがこの場面では文句の付けようのない判断。
部下達は複雑ながらも皆が頷き、そして
第四十二話「
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