第154話「天衣無縫Ⅰ」
第四十一話「天衣無縫Ⅰ」
「
「ああそうだ、
唐突に
「確かにその人物は
それでも、前置きも無い俺の問いにも律儀に答える少女。
宗教国家
――因みに
合気の”
剣術の”
拳法の”
弓術の”
柔術の”
隠術の”
そして
「いや、たいした理由は無いが、どの程度の腕前なのか知れればと思ってな」
あえて詳細を話さずに続ける俺の言葉を最初は怪訝な顔で聞いていた
「それは
――貴方の部下程度に由緒ある
と、透けて見えそうな含みのある悪い笑み。
前髪を横に流した肩までのミディアムヘアで、
多分”
「……機会を得たから参考までに聞いただけだ」
向けられた軽い嫌みを受け流しつつ、
――”策士”という輩には
兎にも角にも、閑話休題。
「そうだな、雑談はこれくらいにして……で、
俺は自分から始めた雑談をアッサリと仕舞い、視線を動かして、この部屋の主座に居心地悪そうに腰掛けた主役の少女に問う。
「あ、はいっ!?ええと……た、たぶん?あはは」
なんとも解り易い愛想笑いで誤魔化す少女。
宗教国家”
――当世の”
「
そして主座に座した巫女姫の隣には、俺を牽制するかの様な鋭い瞳で立つ
「う……はい、大丈夫です、も、もちろん」
”興味が無いのでちょっと聞いていませんでした”と言うような顔、
腰まである艶やかな長い黒髪が美しい色白の
――ああそういえば、忘れていたがこの巫女姫と俺とは確か初対面では無いはずだ……
前回の”六大国家会議”で面識だけはあるはず。
とはいえ、それも覚えているのかさえ怪しい巫女姫の反応に呆れながらも、俺は引き続き今までじっくり対面する機会を得られなかった
先にも言ったが、ここは
”
そして、本来の主たる
神の代行者であるという彼女の前にはその威光を示すためだろう、来賓からの直接的な視線を遮る
それらは
それは多分、協力者であり他国の王である俺に謝意を表してという感じでだろう。
――まぁ、つまり……
今現在、俺には巫女姫である”
「ええと?
隣で控えて立つ女剣士の鋭い視線に促されるように、ちょこんとした可愛らしい鼻の下にある綻んだ桃の花のように淡い香りがしそうな優しい唇がたどたどしく動く。
「それで、し、守備の兵は……お借りできるの……ですよね?」
部屋に差し込んだ光を集めサラサラとゆれ輝く栗色の髪は、毛先をカールさせたショートボブで
「……」
――改めて見るこの少女の容姿……
――あの
「………………最後の”魔眼の姫”……か」
独り呟く俺。
大きめの潤んだ瞳は少し垂れぎみであり、そこから上目遣いに俺を伺う様子はなんとも男の保護的欲求がそそられそうな、特異ともいえる魅力がある。
誰の異論も挟む余地の無い美少女であるが、どこか頼りなげな仕草と雰囲気から美女という表現よりも可愛らしい少女の印象が一際強いこの美少女は……
――確かに他の”魔眼の姫”と共通する神秘的なまでの偉質な魅力の片鱗を感じるな
「…………」
「あ、あの?鈴原
――おおっと!
俺の悪い癖だ。
また色々と考え込んでしまっていた。
「ええ大丈夫ですよ、巫女姫」
俺は直ぐに頭を切り替えてそう応えると、そっと視線を自身の背後へと送る。
「はい、お任せください!この地の防衛と治安は、鈴原
スイッと半歩だけ前に出たショートカットの美少女は、胸を張って敬礼する。
――俺の方へ同行したいと随分とごねた
「この鈴原
俺は
「では、我ら
俺はそう考え、
「あっ……ええと、お待ちください!!」
意外にもその俺の足を止めたのは、この場で最も政治に疎そうなお飾りの巫女姫だった
「え、ええと……この度のご恩に多少でも報いたいと、お、思いますので……ええと、
「
俺は
――
そこには二人の男、
ひとりは
で、もうひとりの男、”
「どうも、王様」
どこか
「……」
その横で”やる気の無い態度”があからさまに
――
本当の意味で何者にも動じない瞳を思わせる不感症ぶりが黒い瞳に宿った、ある意味得体の知れない男だ。
「なるほど、それでは有り難く」
チラリと二人を見た後、とりあえず俺はそう返事をする。
――それにしても”ご恩”ねぇ?……なるほど
ひねくれ者の俺は”それ”が純粋な厚意だとは勿論、受け取らない。
実際、二人の男は我が
ここら辺は、
――だが……
「……」
少々目つきの悪い
――そう、これは……
――雰囲気的にはまるで正反対だが……
この”
正統・
第四十一話「天衣無縫Ⅰ」 END
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます