第136話「竜吟虎嘯」(改訂版)
第二十三話「
ガギィィーーン!!
――
ガギィィーーン!!
ガギィィーーン!!
難攻不落”黄金の
プシュゥゥーー!!
プシュゥゥーー!!
頭部らしき部位に二つの円形状の双眼に似たレンズを赤く光らせる異形達。
数十体に及ぶ異形の兵士達が一列に並び、そして胸部に施された直径三十センチほどの穴から光の粒子を溢れさせる。
「よし!第二射、放つぞ」
伊達眼鏡の奥にある右目の光りが僅かに鈍い義眼の男は、馬上から軍配
シュオォォォォーーーーーーン
シュオォォォォーーーーーーン
その号令に従って異形兵から再び放たれる幾本もの”光槍”達!!
「ま、また……うわぁぁっ!!」
「く、来るぞ!!下がれ!下がれぇぇっ!!」
城壁上の
ガガッ!
ガギィィーーン!!
ガギィィーーン!
ガギィィーーン!
戦国随一の強固さを誇る
刀剣や弓矢を主とするこの”戦国世界”では決して在ってはならない未来文明の兵器なのだが……
それは”銃や大砲”などという、実弾を伴う代物でさえない!
「
――それは、技術的に”
「よし、機体冷却のため”
果たして放たれた”光槍”の正体は……
高出力のパルスを生成、指向性のあるエネルギーとして放出する拠点破壊砲……
つまりは”
ザッ!ザッ!ザッ!
ザッ!ザッ!ザッ!
「破損した城壁箇所へ
そして今度は、重装歩兵部隊隊長が総大将たる
ゴロゴロ、ゴロゴロ……
十名ほどの兵士に引かれてその場に現れたのは、巨大な車輪の荷台に設置された
ゴロゴロゴロ……
ゴロゴロゴロ……
二台、三台、四台と……
それらはそれぞれの位置に配置され、その各々が先程のレーザー兵器で穿たれた城壁の亀裂部分に向けて突進の照準を合わせる。
「よし!かかれっ!!」
オオオオッッ!!
オオオオッッ!!
隊長の号令と共に屈強な兵士達が木製兵器を引き回し、その勢いのままに――
ドドーーン!!
ドドーーン!!
穿たれた城壁穴に何度も何度も衝突させるっ!!
「良いぞ!そのまま継続せよっ!!」
ドドォォーーン!!
ズズゥゥーーン!!
強大な城壁に兵器が激突する度にビリビリと大気は震え、崩れた石壁と塵が濛々と大量に舞って辺りを覆う。
ドドーーン!!
ズズゥゥーーン!!
「古来から城壁破壊を目的として使用される兵器といえば、この”
後方から全体を見届ける
「まぁなぁ……とは言え、ここまでされれば
城壁破壊に勤しむ味方兵を見ながら
「いっそのこと全部あの
続けてそう聞いてくる小太り眼鏡の参謀に、
「”
「なるほど……確かにあんな”とんでも兵器”を毎回お手軽に使えてたらこの世界の戦争は楽勝ッスからねぇ」
これは合点がいったとばかりに、
彼の主君である
――正統・
この
”
”神が定めた
そういう世界の理屈から、石油やガスといった内燃機関や電気を用いたものでも、また核燃料でもないのは確実だ。
「……」
――
「”
「っ!?」
母国の今後のため、この常識外れの科学者にどうやってその辺を聞き出そうかと密かに思考を巡らせていた
「え?……ええと」
それはもう驚いて、眼鏡がズレ落ち、まん丸く見開いた目とポカンと空いた口になるというような、絵に描いた間抜け
「そ、そりは……そんな簡単に他人に、はにゃ……はなしても?……えと……り、
噛み噛みでそう反応する
「別にこの程度、知られても大したことないし、ウッチーのご主人様はそのくらいは当然調査済みだろう?それに……」
「それに……?ってぇ!!ウッチー言わないで下さいよっ!」
真剣な話のはずが、色々緊張感無く返答する相手に
「ははは、まぁなぁ。実際、
本当にこの”独眼竜”は……内に秘めたものを中々見せない男だ。
「………………”それに”の続きはなんスか?」
ここに来て肝心なことは多分”はぐらかされている”だろうと感じ取っている
「そうだな……」
「どうしたところで、天地がひっくり返ったとしても……”
「…………」
――なんという自信か
確かにこんな”馬鹿げた偉業”は他の誰にも為し得ないだろうと心のどこかで納得もいく。
――”ただ独りの女”のためだけに実現させた偉業
「”黄金竜姫”……
――”ただ独りの女”
――”ただ一つの想い”
形は違えど……
――やっぱり”二人”は似ている
――
竜の雷鳴で雲が渦巻き、虎の咆哮で風生じる。
異端とはいえ、英雄は根底で通じ合い相応じ合うということなのか……
「やっぱり……似てるッスよ」
「…………」
――
―
「城壁の状況はどうかっ!?」
「亀裂多数!中にはかなり深いものも……このまま敵方”
「……ちっ!」
部下の返答に、若き将……秋山
――
睨み合い二日、実質的な戦闘が始まってからでは”一日”と持ちそうに無い状況だ。
「城壁上から弓隊による迎撃や工作部隊による投石などの妨害も行っておりますが、敵の勢い強く……」
次々と入る情報は、彼にとってどれも喜ばしくないものばかりだ。
「…………」
――どうするか?
――
考えが
「他の砦はどうか?」
「は、はい!
――場合によっては二砦からの援軍を用いて一気に包囲殲滅する
しかし、その”二砦”は、この
この状況……
「ちっ!ちっ!」
――
「…………」
――ここに来てこの状況では……
兵力で勝って
「
「…………」
――
戦場を見下ろす秋山
――あの男は数年前の内乱で当時の”
その若き当主たる秋山
「このままでは最悪、城壁を破られる恐れがありますっ!あの最年少で
――っ!
彼の表情はその名を聞いた途端にピリリと引き
「
幼少期から利発で何事にも器用だった
だが、彼の人生には大きな壁が出現する。
それが……
「あ、あの……あ、
ガッ!
「ひ、ひぃぃっ!」
上官の豹変に何事かと怯える兵士、そしてその部下の胸ぐらを乱暴に掴む
「
顔を真っ赤に染めて怒りを放出する若い将の様子は……
どうやら秋山
「あ、あの……あ、
「…………ふん」
咄嗟に吹き出した感情、自らの行動に”ばつ”が悪くなったのだろう……
あからさまに視線を外した秋山
「行くぞ」
そして吐き捨てるように言葉を発する。
「は?」
「ええと……」
そんな上官の言葉に戸惑う部下達の思考は、まるで追いついてない様子だった。
「だから!打って出る!これ以上好き勝手させられるか!!」
――!?
その命令に、そこに居合わせた彼の部下達はサッと顔色を変えた。
「し、しかし
「この状況下で防御に徹するのは下策だ!城壁攻略にかかりきっている敵を城壁上からの攻撃と打って出た我が騎馬部隊で
感情のままに、乱暴な動作で秋山
「そ、それは……なら、せめて筆頭参謀殿に相談を……」
「筆頭参謀ぉ!?俺があんなコロコロと主君を変える様な節操なしの中年に劣ると思うのかよ!見ろっ!!」
そして
「あの布陣……城壁攻略に集中するあまり隙ができているだろう?あそこを突いて一気に
「お……おおっ!!」
「た、確かに……さすが
部下達が見下ろす敵陣容は、確かにそういう隙があった。
秋山
「奴の”
「おおっ!!」
「な、なるほど!」
そして秋山
「ふん、俺を誰だと思っている。次期”八竜”の秋山
「はっ!」
「はいっ!」
こうして
第二十三話「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます