第131話「子供(ガキ)」中編(改訂版)
第十八話「
「独眼竜!?ま、まさか……まさか!
――んん?
いや、その人物に目を奪われているようだった。
「
先ほどまでの怒りをすっかり置いてきぼりに、座した俺の隣に立った
「……」
俺を見る目とはエライ違いだ。
それだけ十二歳で軍籍に身を置いてから僅か二年足らずで”
――ちっ!俺の軍歴も似たようなもんだぞ……
どうでも良いが、それでもなんだか納得がいかない。
「まぁいい、それよりも俺が手を貸す道理が無いのは変わらないぞ!」
俺は目前の
「無論”手ぶら”ではありませぬ。聞けば
「お、おい!?
――成る程、そうきたか
――やはり古狸、いや流石、”
あの”
「
しかし――
当のこの
「なんだ?
「な、なにっ!?また侮辱するかっ!」
――おお、レスポンス良いなぁ!
部下に怒っていても、俺の茶々には即座に反応する
「ええ、ゴホン」
多感な
「我らが引き連れてきたのは若輩で新兵ばかりなれど、”
「…………ほぅ」
――”
――”
その単語を聞いた俺は興味と同時に心がチクリと痛む。
――”彼女”……
――そう、
「
一旦抑えたはずの感傷に再びドップリと浸るつもりはないが……
少しばかり心を波打たせたのは確かな俺の鼓膜を
「……」
どうやらこの反応を見る限り、
「確か
尻込みする
「……」
だが――
先に耳に入った二つの単語が少なからず心を乱していた俺は、こんな子供をフォローする気も起こらず、”
「くっ!」
無言の俺の態度が自身を見下したと取ったのか、
――戦は怖い、怖いが……
憧れる
多分、
「…………その軍だが、
だが俺は、そんな甘ちゃんの思考が結論に至るのを気長に待ってやるほど暇ではない。
「な、
「…………」
――臆病な癖にそういうところは引かないのか……面倒臭いな
自身を無視して頭越しに交渉を続けられる事に激しい反発を見せる
「お前みたいな雑魚の
「なっ!この!誰が
「この場に素人のお子様はお前一人きりしかいないだろ?」
「ぐっぬぅぅう!なら僕……私が率いるっ!!」
「無理だな」
再び始まる低次元な言い合い。
無論、相手が子供なのはもう承知なのだから、俺の方が随分と大人げないのだが……
「私は
「!?」
――たかが?
――ごとき……だと?
それでもその時、自分の大人げなさを十分承知でありながらも、俺は少々感情的になっていたのだろう。
何年も縛り付けて挙げ句使い捨てにしようとした
その男の馬鹿息子によるこの
直前に
「…………ほぅ……たかが……ね」
タイミング最悪な一言は、
「す、鈴原様っ!!」
唯ならぬ異変を察知した
「ひっ!!」
その
「…………はぁ、”この場にお子様は一人きりしかいない”そう言ったのは
――っ!
だが間一髪……
俺の傍らに立った
「…………ちっ」
――感情を制御できぬ”お子様”
――そうだ、俺は……
自身でも抑えきれぬ衝動に腰を数センチ浮かせ、愛刀”
「たく……
場のなんともいえぬ緊張感を払拭するように、
「だよな?」
椅子から腰を浮かした凶相な俺の顔を、緊張感の無い笑みで見下ろす傍らに立った
「……」
――ちっ、年上の経験談かよ
それは確かに多少の役には立つみたいだ。
俺はこの
「…………
が、内心危ういところだったと安堵の息を吐きながらも、天邪鬼な俺は負けじと軽口を返しながら再び尻を椅子に据える。
「はは、”
それを受けた
――ふん……
目前の
「そうだな……
まぁ、
取りあえず”誰が”指揮官だろうが、この
要は俺の指示を忠実に実行出来る能力があればそれで良い。
「……」
言葉に頷く整った髭の男を確認した後――
俺は再び数秒で心を落ち着け、そして一度周りを再確認してから――
「………………
気配から――
天幕外に控えているはずであろう、腹心の少女の名を呼んでいた。
第十八話「
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