第124話「密談」前編(改訂版)
第十一話「密談」前編
「…………」
十二月初旬、冬の始まりを告げるともいえる今年一番の冷え込みの中。
俺達は
ダダッ!ダダダッ!
やがて、けたたましい馬の蹄の音と共に一騎の我が
「
俺の隣に控えた黒髪ショートカットの美少女、
ヒヒィィーーン!!
「ほ、報告致しますっ!」
馬が完全に停止するのも待たずに飛び降り、俺が座る場所へと転がり込む兵士!
「
――
「ご苦労様でした。引き続き伝令部隊は戦場の監視任務を継続し、動きがあれば直ちに報告を入れるように」
「はっ!」
――未だ暫し……かかりそうか
俺はそんな彼女に視線だけで応えて、再び思考に
――
――
「取りあえず”魔眼の姫”の話はまた機会があればだ。
「……」
そう言われても、あからさまに”
出来ないが……
「分かった。で、貴公が問題にしているのは取引の”内容”か?それとも”方法”か?」
元来はそういう話し合いで来たのだから、俺としては話を続ける他無いのだ。
――この……古タヌキめ!
「切り替えが早いのは王の資質ぞ、
「……」
――だろうな
継続中の長期的策略、”極端な輸出入の制限”とは、
四方をグルリと
その状況は謂わば戦場で
大軍はあっても兵糧が不足しては戦は出来ない。
大金はあっても民の餓えは凌げない。
実際はその話が
――国を支えるだけの物資の一括搬入、或いは複数回にわたる小分けの搬入
――そのどちらもが困難極まりない!
「そのうえ我が
しっかり張り出した
それだけで、これまでの
――戦争には大金がかかる。勿論、兵糧もだ
それを頭に置いた上でのここぞとばかり、残り少ない備蓄をも枯渇させる算段だろう。
――中々に狡猾だな
前出のように
故に非常に狡猾だが……
――流石は大国だ、家臣団には中々の切れ者が居ると見える
執拗な要請に
ならばこそ、俺の提案にこうして興味を持ったわけだし、この極秘会合も実現した。
「
「
――っ!?
――だろうなぁ……
――”援軍を出さずに静観してくれ!”
という類いのモノだろうと思い込んでいただろう。
だが、
命懸けで来訪した”
「…………良いのか?戦に我が
禿げ親父は尋常で無い圧力を隠す気も無く、四角い眼で俺をジロリと抜かりなく観察する。
「それはこっちの台詞だ。
俺は”
「……」
場の空気が一瞬で殺伐としたものに変貌する!
「冗談だ。そんな怖い顔するなよ、ははは……」
俺はそれも織り込み済みで、直ぐにサッと両手を頭の上に上げて戯ける。
――目前の
「……」
それ以上に、
「ふふ……」
そしてその尋常でない殺気を受け、隣で俺の杯に酒を注いでいた
「……」
更に逆の隣では、俺に殺気をぶつける
――おいおい……
――お嬢さん方、こんなところで
周囲の環境を鑑みて、言葉遊びもここら辺が限界だろうと俺は確信に入ることにする。
「所望の”方法”を種明かしするとだな、
「ぬぅっ!?」
「っ!」
俺の言葉に正面の
「我が
俺の説明をそこまで聞いたところで、
「…………その……”
――おぅ、中々に察しが良い!
俺は頷いた。
「そうそう、兵糧部隊を殆ど
本国の要求通り出兵、取りあえずの役目を果たした上で帰国……
敗戦による敗退ならばそれも仕方がないし、援軍の要請は一応は果たしたワケでもある。
なにより、普段は厳重な
そして
「どうだ?これなら問題無いだろう、返答は?」
俺は目前に埋め尽くされた酒池肉林を一時的に横に寄せさせ、そこに”
「うむむ……」
しっかり張り出した
「うむむむ……」
精気
「だからぁ、
「
――!?
俺が再度せっつこうとした瞬間、禿げ頭で四角い眼の
「さすれば……
主人の問いに頷き、俺を見据えて言葉を発する男。
クセのある黒髪を後頭部の
俺を捕らえるように命令されて乱入した男は、そのまま女達を
「ああ、構わない。忌憚の無い意見を述べてくれて結構だ」
主君の指名があったといえ、他国の王である俺の提案に割り込む無礼を先に詫びる形をちゃんと取る……
礼儀作法も出来た家臣だと、俺は快く許可を与えた。
「かたじけない。なれば……」
――
そうそう、確か”
俺はその面魂を改めて眺めながら思い出していた。
――
――その”武”は一軍に匹敵し、その”智”は兵法の極意を修めたり
王佐の才を用いて良く主君を助け、忠義によって命を賭する家臣の鏡たる人物……
この”
「……」
「……」
実際、俺も興味があった。
噂に高い名臣が、俺の策にどのような評価を下すのか?
――
黙して考すること数十秒……
クセのある黒髪を後頭部の
「我が領内への輸出入……
”
「うむ、よくぞ言った!
直後に
――いやいや、”
とは思ったが、当然俺はツッコミは入れない。
「流石は噂に高い
「いや、俺も”
俺は勿論、自身の策に自信はあったが……
それでも少々度を越すご大層な褒め言葉に、社交辞令が七割と受け取った方が良いだろうと
「……で、
――っ!
打って変わって、禿げ親父は薄暗い部屋で四角い
――そうだ……
目前の算段よりも本丸はこの先……その展望への足がかり。
だが!
「……」
俺は
「これ以上先は”
「ぬぅ?……かははっ!ヤケに
――些末?……そうか
”魔眼の姫”の話を些末事とは……
やはり
――事前に”誰か?”が入れ知恵したって事かよ
「……」
――まぁ、それが”誰か”は察しがつく
「わかった。
「……」
俺はそれを無言で取り、そして一気に
「良い飲みっぷりだ!度胸もある!そして頭も切れる……真に良き
「……」
禿げ親父がそう言って”かはははっ!”と豪快に笑うが、
それを見る俺の傍らの、
「で、
俺は”ややこしいこと”にならないうちに話を進めることにする。
「ふむ、少しばかり説明が必要ではあるだろうが……
しっかり張り出した
「……」
それは、俺が
序列一位、”
序列二位、”
序列三位、”
序列四位、”
そして序列五位、”
その最後の名が今……
「それはな……宗教国家”
第十一話「密談」前編 END
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