第115話「違和感」前編(改訂版)
第二話「違和感」前編
降って湧いた理不尽に作戦会議を一時中断した俺は――
「……」
俺と同じくらいという女としては長身に、良く実った
そういう絶品のプロポーションの
「これはどういう事かしら?サイカくん、重要会議だと聞いたけどぉ?」
長く艶やかな黒髪を後ろで束ねたポニーテールとやや垂れ気味の瞳、それに
――”肉奴隷”改め、
「ああ、その通りだ。それより
――どういう事かとは俺が言いたいっ!!
と、俺は色々と主張したい事はあるが……取りあえず”
「
――なるほど”肉奴隷”発言は、そういう風に振り回された事による腹いせか……
何たる迷惑!全くの逆ギレ!
俺にとっては身に覚えの無い、理不尽極まりない風評被害である。
「お前なぁ……一応、
俺の文句を聞いているのかいないのか?
その時、
「
そしてなにやらボソリと呟き、呆れた様な溜息を
「こんなこと?何のことだ、俺達は次戦の為に作戦会議を……」
スチャ!
カシィィン!
軽く一振りすると、それは中央から開いて元の倍の長さの”短弓”となった!
「お、おいっ!」
――”仕込み弓”ってっ!
「……」
少しばかり面食らった俺の言葉を無視し、
ヒュン――――バシュッ!
折り畳み式の紅弓から放たれた矢は、部屋の脇に控えて立つ三人の女達の足元に突き刺さった!
「っ!」
矢の到達点、”
「……」
「……」
ピリリと――
両陣営の間の空気が一気に張り詰める。
「思った通り”工作員”ね、それも……」
だが、それを引き起こした
「それも”
”
「……」
名指しされた
「
「ムネミツくん、部外者とは失礼ね。私はこの
堪らず
――”
それは正室、側室を指す言葉だ。
で……”正室”でなく
「その話は……無論聞いておりますが、たとえそうだとしてもそれと軍事とは別の……」
「そうねぇ、だから”
なおも食い下がる
否!その奥に隠れた鋭い視線を突き刺す!
「…………」
”
それは
精々、
だがそれでもこの
そう全く以て堂々としたものだ!!
――ははっ……
俺は
「それはお前も任務に加わりたいという事なのか、
そう思いながらも、俺は彼女の傷の完治具合を聞いてみる。
かなりの負傷をした
「剣はね……まだ万全じゃ無いわ、でもねぇ」
――
俺は先程、彼女が放って床に突き刺さったままの矢を見直してから頷く。
――
俺の所領である”
なによりこの優れた容姿であれば……
今回の任務の特性である、”
「わかった、だが……少しばかり”売り込み”が過激じゃないか?」
俺は
「…………」
だが
「どういう任務で
少し行き過ぎた行為を諫めた俺の言葉に対し、素直な謝罪が返ってくるものとばかり思っていた俺には少々意外な返答。
悪びれもせずに言うと
「
こういう
「
――遊女
――そんな者達?
「
「
俺は
「……」
「……」
そして、それを受けても未だ平然とした顔で俺を見据える女と暫し睨み合い……
「そうか……」
その後にクイクイと人差し指を上方に数回曲げて呼び寄せる。
――
「……なに?」
「いや、つまりな……」
主座に腰掛けた俺の元まで数歩、歩いてきた女に俺はゆっくり立ち上がると……
パンッ!
結構思い切りその白い頬を張った。
――っ!!
周りはざわめくが……
「…………」
当の
――中々どうして……やっぱ大したタマだ
俺は心中にて、一方ではそう賛辞しながらも言葉を続けた。
「お前を参加させるのは良いが、さっきのお前の言は聞き捨てならない。直ぐに三人に謝罪をしろ、そうすれば”今回は”聞かなかったことにしてやる」
「…………」
俺の言葉にも依然と
「お、
「そ、そうです!大丈夫ですっ!」
「こういう仕事ですもの、
傍目には非常に険悪に見える俺達二人の雰囲気に、慌てて”
「別に”
俺の言葉は真実だ。
そう、それが例え神でも……俺は最後まで抗うだろう。
それこそが
「お、
”
「ふっ」
「ひっく、うう……ひっく」
そして何故か
――
「…………そう、ふふ……そうねサイカくん、貴方はそういう……ふふ」
更に――
何故だか咎められているはずの
「ええとぉ……失礼、貴女達は確か
「
「
「ペオニア=カートライトですわ」
三人の自己紹介に頷いた
――っ!?
その態度に三人の女達は共に目を丸くする。
「
「いえ!とんでもないですっ!
「どうぞ頭をお上げ下さい!」
「ぜんぜん、まったく、気にしておりませんのでっ!!」
そして、ここまで丁寧に謝罪された三人は寧ろ困り果て
「……まったく」
――どうやら、この件はこれで丸く収まったようだな。
第二話「違和感」前編 END
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