第84話「世界が変わっても多忙な男」後編(改訂版)
第四十四話「世界が変わっても多忙な男」後編
――
「…………で、
数分後……すっかり落ち着いた
――いや、完全に杞憂だ、
――とっくに昼休憩終わったからなぁ……
俺はなんともいえぬ精神的疲労を感じながらも、頷いて、そのまま彼女に報告を促す。
「は、はい!……し、
「……そうか」
その報告に俺は内心ニヤリとほくそ笑む。
「よし、第一段階はクリアだな、やはり”交換条件”が効いたか」
俺は”
――四大国が上辺だけとはいえ協力する大軍勢に
しかし、これには選択できる策は一つしか無い。
軍の規模、兵力差から
――これしか無い!
しかし、それは並大抵では無いだろう。
相手がどの大国相手だろうと、現状の
――ならどうする?
答えは単純明快、無ければ作れば良いのだ。
「お、王様……
――成る程、怒り心頭か?……無理も無い
俺はオドオドとした
「捕らえた
”戦国世界”で捕らえた”
なまじ”
そして……
”戦国世界”での処刑は”近代国家世界”でも死になる。
「……」
俺は、敵大連合の一国と”極秘交渉”という唯一の活路を見いだすために、手段を選ばなかった。
「お、王様……やはり、あ、危ないです……よ……あ、相手はあの……」
個人戦闘では戦国最強と称されるひとり……
だが、
「まぁな、けど、”虎穴に入らずんば虎児を得ず”だ!」
心配で、死にそうな顔で訴える”お団子女子”にそう格好はつけたものの……
勿論、俺もそこまで”命知らず”では無い。
ちゃんと対策はして行くつもりだ。
――そこで……
俺は
「
俺はそう言うと、未だ頬を染めたままで俺達二人のやり取りを見ている
「?……ふぐ?」
因みに”
「
そして再度の俺の問いかけに……
「…………」
「?」
――これが
予測もしない彼女の反応に俺は暫し観察するが……
「…………」
だが、やはり……返事を返した後も少女はなにやら”モジモジ”としていた。
「え……と、
――おかしい……この食いしん坊将軍が?
「あ、あの……王様?」
「ああ、
おっと、今までに無い
そう結論づけて俺は
「い、いいえ、そ、その件なのですが……
――!?
その言葉に俺は少しばかり面食らう。
「”
「は、はい、”
「”首を洗って”?」
「は、はい、”首を洗って”……です」
確認する俺にオウム返しする
――どういうことだ?
俺が交渉場所を相手の本拠地、
「…………」
流石は戦国最強と噂もある”覇王姫”、ペリカ・ルシアノ=ニトゥと言うことか?
それとも、それだけ怒り心頭ってことだろうか?
「わかった、で……到着予定は?」
俺は今考えても仕方の無いことだと、それを受け入れて確認する。
「は、はい、あ、明後日の午後になると……も、勿論、極秘裏に来訪するとの事です」
――明後日……日曜の午後、”
俺は期限的余裕を考慮しつつ、その先に思考を走らせる。
「その件は解った、会見場所のセッティング等は俺から
そして、昨夜の会議で議題に上がったもう一つ……
報告のあった
――これも多分、あの妖怪ジジィ……
――ちっ!散々引っかき回しやがって、忌忌しいジジィだよ!
「その件は……あ、あの、今日にも担当者が直接、王様に……ご、ご説明したいと……」
――担当者?……だれだ?
怪訝な顔になる俺を見て、直ぐに
「あの……く、
「…………」
――
その名に俺は思う。
――あの”計算高い
俺の居る”
――これは……俺が想定していた以上に、色々な輩が動き出しているようだな
「その件も解った……他にあるか?」
「は、はい……後は緊急では無いですが、
――
俺はなんとなく、”面倒くさい事じゃなけりゃ良いが……”と心配しながらも、気怠げでやる気無い垂れ目女を思い浮かべていた。
因みに”
”戦国世界”での応急処置が功を奏して、後遺症の残るような大きな怪我は無いようだ。
俺は緊急会議で受けた報告内容を思い出し、目の前の”お団子女子”に笑いかける。
「い、いえ……わ、私は最善を尽くした……だけですので……」
俺の趣旨を察した
「大体解った……以上か?」
そして俺の確認に
――
俺は帰ってから目の当たりにするであろう、かつて無いほどに
クイクイ
――
クイクイ……
――本来なら学校なんて来ている暇は……っ!?
と、そこで俺は後ろから学生服の裾を引っ張る少女に気がついた。
「………………なんだ……
そして、多分、碌な事じゃ無いだろうが……一応聞いてみる。
「旅行は?……ふぐは?」
「…………」
俺は”はぁ”と溜息を
「無しだ、行く必要が無くなった……だが、お前は会見の場には俺と同席してもら……」
「っ!?……い、行かないのっ!?」
――なんだ?
さっきまで乗り気じゃない様な態度だったくせに……
「あぁ、行かない」
不可解な少女に俺は即答する。
「だ、だって”新婚旅行”……だよっ!」
「ち、ちっがぁぁーーーーうっ!!」
最後もやはりこの話題で締めかと……
俺はいつか、そう近いうちに……この話題と向き合う必要があると……
「はぁ……」
第四十四話「世界が変わっても多忙な男」後編 END
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