第79話「多事多端な日(ハードワーク・デイ)」後編(改訂版)
第三十九話「
――あり得るのか?直線の攻撃より曲線を描く剣が先に当たるなど……
「せっかくだけど、ここまでだよ、”
ババッ
睨む
「なっ!?貴様!
ドドドドドドドッ!!
わぁぁぁぁっっーー!!
わぁぁぁぁっっーー!!
その瞬間、その場に駆けつけて来たのは荒々しい男の軍勢!
「兄者ぁぁっーー!!無事かぁぁっーー!!」
「うぎゃっ!」
「がはぁっ!」
敵味方の兵士諸共、障害物を弾き跳ばして、踏みつけて強引に割り込んで来る豪胆な男は……
赤い
「何者……だ、まさか……」
爽やかで優しげで、少し浮世離れした美青年、
似ても似つかぬはずの容姿の二人だが、何故か似ていると……
「じゃあね、
そう軽口を残して、駆けつけた荒々しい男の隊と供に去って行く優男。
去り際一度だけ振り返ったは
――”本気”の君と……
見送る
最早、仮面の範疇に入るほどの大きな眼帯が装着されている。
「…………」
すっかり切り替えた顔で剣を天に掲げた。
「勝ち鬨だっ!敵の本隊は撤退したぞっ!!」
おおおおおぉぉぉぉっっーー!!!!
おおおおおぉぉぉぉっっーー!!!!
途端に彼女に呼応して戦場の
「て、撤退!撤退だぁっ!」
そして自軍本隊が撤退した事を知った
「大物は逃がしたが、一応”あの男”の策通りに進んだ……鈴原
――”事が予定通り進んだとしても、
あの“
それは……”敵を侮るな、相手はあの
――言い換えれば
”
”
結果的に
「あの
地面が揺れるほどの大歓声の中、馬上の
自身が突き進んできた道を遡って見つめる。
――”鈴原
「そう、”
最強の
彼女の見詰めるその先には……
――
―
「まぁなぁ……撤退したと言っても一時的なモノだ、殲滅したわけでも降伏したわけでもないからなぁ」
俺はすっかりへばった馬から降り、よく頑張ってくれた相棒の首をポンポンと叩きながら答える。
「そうですかな?これは局地的で在るにせよ、確かに勝利と言える代物では……」
”
「”
「いやいや、それでも流石ですな……鈴原……鈴木殿は」
「私も感服致しました、流石は姫様の見込まれた御方、鈴原……失礼、鈴木様」
老将と銀縁フレームの美女がそう言って微笑みかけてくる。
「…………」
――この二人にはバレバレってか……
「まぁ、その話はもういい……てか、助けに来てくれて命拾いした」
勘の鋭い二人を前に、身元が
「危険な賭けでしたな」
「ご無事で何よりです」
そんな俺の心中を察してか、老将は”ハハハッ”と屈託無く笑い、眼鏡の美女は
――取りあえず第一、第二段階は無事終了した。後は第三段階と最終段階……
俺はそっと暮れかけた空を見上げる。
昼間はボンヤリと頼りなげに存在する月が、
「出来れば明日以降に持ち越してくれれば俺的には大助かりなんだが……」
「鈴木殿?」
「?」
天を仰いで思わず呟いた言葉に、二人が不思議な顔をする。
今日一日……
俺は想定外の一騎打ちと逃走劇、水泳大会に、この囮作戦と……
早朝からかなりハードに働き詰めだ。
――明日は金曜日だから……
出来うることなら、第三段階以降は世界が”
ダダダッダダダッ……
未だ天を仰いで祈っていた俺の耳に、彼方から走り寄る馬の蹄の音が聞こえてくる。
「鈴木
馬を駆るのは
くせっ毛のショートカットにそばかす顔の快活そうな少女だ。
ヒュルルルーー
ヒュルルーー
「なに
「…………」
――いや、”
天を仰いだままの俺の目尻には光るモノがあっただろう。
「いやはや、なんというか……」
「……ご、ご愁傷様です」
傍に立つ二人の人物が向ける同情の視線に晒され……
「くそっ!
包帯男による悲痛な声が……
夕暮れの戦場跡に響いていた。
第三十九話「
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