第76話「武者斬姫 壱」後編(改訂版)
第三十六話「
それは
――
武力も一軍の将としての器も、また軍略家としても他の追随を許さない名将中の名将として”
大いに主君を助け、
無事主君を救出することに成功した
以降、戦場で武勇を示せなくなった
部下数人に担がせた御輿に乗り、剣を杖に持ち替えて……
それで輿の欄干を叩いて指示を出す。
カンッカンッカンッ!と音が響けば鬼が来る!
と、
こうして戦場では軍師として、より一層の才を咲かせた
四十六にして跡取りを作れなくなった彼は自家の存続の危機を乗り越えるために当時六歳であった娘に自ら武芸を仕込み鍛え上げ、家督を継がせようと考えた。
――娘の名は
少女は十四で父、
そしてその後も三十を超える戦に出陣し、そのどれもで驚異的な手柄を上げた
暫くしてから……
数々の戦で手柄を立てた
「結婚……ですか?」
「うむ、
今、目の前に居る父、
「…………」
美しく成長した
娘の縁談……それも主君の家系筋で実力もある人物。
なのに父の顔はどこか冴えない。
「
だから
この縁談の
「うむ、まぁ……な」
――この頃、
南の国家、”
圧倒的になりつつある”
そしてその君主を諫める役回りが彼女の父、
最初こそはそれに従い良く国を治めたが、徐々に過剰な自信をつけて太鼓持ちの様な取り巻きを周りに
この”
父の言う事に耳を貸さず、
なら、その娘に自分の息のかかった相手を
――なんて小さい男……
「まぁな、
「…………はい」
そう言う父に
それに、もうそろそろ……
”
父は先代の主君から
近隣諸国から”軍神”と恐れられ、その名に恥じない実績を残してきた”
だから……もうそろそろ良いのではないかと……
それが父を安心させる事ならばと……
これも親孝行と自分に言い聞かせ、決断した彼女の選択がこの後の人生を波乱に満ちたものに変えるとは……
この時、
――そう、それから僅か二年後……
元々人望の乏しい国主、
”
しかし全体の劣勢は覆し難く、”頑強なる鉄門”と呼ばれる
”俺の守る”
とあしらわれるばかりだった。
「”
――そんな状況の中
確かに、国主が熱心な信者であるこの”
なによりも今は藁をも掴む状況……
「けれど奥方様……これは極秘裏に進めなければなりません。国主である
しかし、本州中部の宗教国家”
途中、海を挟んだ地である本州西部の大国”
”
――それでも
その時、
「奥様、”
「
しかし、
成る程、そう言う事ならば納得のいく話だと。
――この大役は”
主君である
また夫である
自分はあの男がどうしても許せない……
”あの一件”から夫として見たことも無い。
「…………」
心残りがあるとすれば、隠居した父……
こうして
世界が近代国家世界に切り替わる寸前に”
それは”
そうした経緯で
――
ー
夜の帳が下りる頃。
”
「…………」
蝋燭の頼りなげな灯りの
部屋には布団が一組……
そして自分の身につけているものは白い薄手の夜着が一枚だけ。
そうだ。
あの時、侍女が囁いた……
”
と言う言葉を。
「柔軟……話が通じる……そう、そういうこと……なの」
二十年も生きてきて、戦場以外を殆ど
「どうした?
薄暗がりの部屋で、薄絹一枚きりの着物を羽織っただけの自分の
「…………」
「中々素直だな、”
下卑た視線、下卑た言葉……
こんな男が多くの門徒を持つ”
「……」
「くく、良い顔だ……さぁ、立って俺に見せろ」
暗闇に灯された一本の蝋燭の前で……
瞳を閉じる女の表情を別の意味に取った男は、より興奮した荒い息でせっついた。
――情けない……
――この下衆男が?それとも落ちぶれた我が領国が?
――それとも……
自問しても彼女は答えを得ない。
「……」
「良いぞ……良い!……脱げ、全部脱いで俺に”
「……」
シュルリ……
いや、”葛藤”なんて上等なモノはこの時の
自問しても自答はしない。
それは彼女のこれまでの人生そのもの。
そして、この先も……
ファサ……
「おっ!おおぉぉっ!!」
――
―
第三十六話「
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