第76話「武者斬姫 壱」前編(改訂版)
第三十六話「
”
その”
中部を拠点とした
そして……北部の
「…………」
――”暫し待たれよ”
そう言われてから既に一時間は経っただろうか。
座敷の下座に背筋を伸ばしてキッチリ正座した女性は、微動だにせずにそこに居た。
「…………」
長い髪を腰の辺りで結わえた若い女性。
質素ではあるが整った顔立ちと、並の女性ではとても醸し出す事の出来ない緊張感と引き締まった表情。
――ガラ
待つことさらに数十分、接見の間を仕切る引き戸が開く音が響き、ひとりの中年が供を二人ほど従えて入って来た。
「
散々待たせておいて、微塵の謝罪も無く男は上座に移動するとドッカリ
――スッ
しかし女性はそれを意に介すること無く、そっと両手の指先を畳に添えて頭を深く下げた。
「”
「……」
供を両脇に
「
「おぉ!軍神、
「…………」
頭を下げたままの女性、
客人の言葉を途中で遮ったばかりか、自身の欲求のみ満たそうとした性急な問いかけ。
他者に向かって自らを”重鎮”と恥ずかしげも無く言い放つ無神経。
「……」
それでも
「はい、
「おおっ!そういえば、
「…………」
またもや言葉を遮られた
いや、それよりも初対面の他国の使者に対してこの無作法……
流石に気持ちがざわめく
「夫、
「むふふ、聞くまでも無いか?
「…………」
畳に着いたままの彼女の白い指先が小刻みに震える。
――これは……流石に無い
人はここまで無神経になれるのだろうか?
いや、この傍若無人さ……
本州の一角を占める大国にして
耐えかねて言葉の出ない
「解らぬか?……ふぅ」
そして
「?」
怒りもそのままに、未だ頭を深く下げたままの
「これだから離島の田舎娘は……その噂高き美女とやらの顔を見せよと言うておる!!”
「っ……」
あまりにも……
あまりにもではあるが……
――スッ
「おっ!?おぉぉっ!!」
細く涼しい瞳にキリリとした口元、
「ご無礼を……改めて、
丁寧な言葉とは裏腹に、無表情で冷たい視線を向ける
「む、むふふ……」
矢張り自らの無礼を察しない
――この時、
彼女がこれほどの屈辱に耐えながらもこの”
第三十六話「
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