「独立編」エピローグ
第一部「独立編」エピローグ
そこに”
――”
「わたしは許してない!
畳敷きの室内で、一段上がった台座に座る
「ほほ、これは異な事を、我ら
怒鳴られているのにも拘わらず、落ち着いた様子でその前に座して
この身なりの良い、
「で、でも……無用な争いは……」
「無用?
「い……いえ、そういう意味じゃ……」
「ほほぅ!ではどういう意味ですかなっ!」
神の代行者たる”
「っ!」
そして、
「ふふんっ」
――ガタッ!
途端、何か物音がしたかと思うと、
「ちっ!」
そして、その男もそれを確認した後に、事が起こる前の状態に戻る。
「……」
その男は、まるで部外者と言わんばかりのやる気の無い態度で左端の壁にもたれ掛かって座ったのだ。
「ふん、どこの馬の骨ともしれん
「では……
一度は邪魔が入ったものの、再び下卑た笑みを浮かべるサディストな中年の言葉に、
――
―
それから小一時間。
性格の悪い中年男に結局散々やり込められた少女は、その
「あーぁ、最悪だよ……あの”嫌み
「……」
「……
「……」
部屋に残された少女の前にあった
ちょこんとした可愛らしい鼻と綻んだ桃の花のように淡い香りがしそうな優しい唇。
部屋に差し込む光を集め、サラサラとゆれ輝く栗色の髪。
毛先をカールさせたショートボブが愛らしい容姿によく似合っている。
大きめの潤んだ瞳は少し垂れぎみであり、そこから上目遣いに青年を伺う様子はなんとも男の保護的欲求がそそられそうな魅力がある。
誰の異論も挟む余地の無い美少女であろうが、どこか頼りなげな仕草と雰囲気から美女という表現よりも可愛らしい少女の印象が一際強い少女だ。
「ちょっとぉ!聞いてるの
厳かに奉られていたような彼女が、目の前の青年には明け透けに話しかけている。
しかし、それより何より驚くのはこの少女の変わり様だろう。
先ほどまでのおどおどとした態度はどこへやら、可愛らしい感じはそのままだが多少なりとも行儀が悪くなっているのは確実だ。
「さくた……」
「俺は知らない」
「うっ!」
少女の愚痴をにべもなく跳ね返す、やる気無さ気な青年。
「……だ、だよねぇ?……自分で決めなきゃ……駄目……だよね……わたし、”
青年のぶっきらぼうな言葉を受け、少女の顔は少しだけ真剣な顔になった。
「……」
「ごめんね、
「べつに……迷惑とは思っていない」
「……うん」
そして彼の返事に少女は少し頬を染めて俯いた。
「俺は……」
「?」
「どんな状況でも、俺は……
「……う、うん!……ありがと」
宗教国家”
先程までの憂鬱な顔はすっかりなりを潜めて、花が綻んだような満面の笑みを浮かべていたのだった。
第一部「独立編」END
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